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Z0470 唯信鈔 聖覚 画像

続浄の割書は、青字で小さく表示。

巻_頁段行 本文
Z09_0075A01: しわが身にそなへたらむ。惡趣の業ちからつよくば。
Z09_0075A02: 人界の生をうけずしてまづ惡道におつべきなり。す
Z09_0075A03: ぐに人界の生をうけたるにてしりぬ。たとひ惡趣の
Z09_0075A04: 業を身にそなへたりとも。その業は人界の生をうけ
Z09_0075A05: し五戒よりは。ちからよはしといふことを。もししか
Z09_0075A06: らば五戒をだにもなほさへず。いはんや十念の功德
Z09_0075A07: をや。五戒は有漏の業なり。念佛は無漏の功德なり。五
Z09_0075A08: 戒は佛願のたすけなし。彌陀の本願のみちびくとこ
Z09_0075A09: ろなり。念佛の功德はなほし十善にもすぐれ。すべて
Z09_0075A10: 三界の一切の善根にもまされり。いはんや五戒の少
Z09_0075A11: 善をや。五戒をだにもさへざる惡業なり。往生のさは
Z09_0075A12: りとなることあるべからず。
Z09_0075A13: 三。つぎにまた人のいはく。五逆の罪人。十念によりて。
Z09_0075A14: 往生すといふは。宿善によるなり。われら宿善そなへ
Z09_0075A15: たらむことかたし。いかでか往生することをえんや
Z09_0075A16: と。これまた癡闇にまどへるゆゑに。いたづらにこの
Z09_0075A17: うたがひをなす。そのゆゑは宿善のあつきものは。今
Z09_0075B01: 生も善根を修し惡業をおそる。宿善すくなきものは。
Z09_0075B02: 今生にも惡業をこのみ善根をつくらず。宿業の善惡
Z09_0075B03: は。今生のありさまにて。あきらかにしりぬべし。しか
Z09_0075B04: るに善心なし。はかりしりぬ宿善すくなしといふこ
Z09_0075B05: とを。われら罪業おもしといへども五逆をばつくら
Z09_0075B06: ず。善根すくなしといへどもふかく本願を信ぜり。逆
Z09_0075B07: 者の十念すら宿善によるなり。いはんや盡形の稱念
Z09_0075B08: むしろ宿善によらざらんや。なにのゆゑにか逆者の
Z09_0075B09: 十念をば宿善とおもひ。われらが一生の稱念をば宿
Z09_0075B10: 善あさしとおもふべきや。小智は菩提のさまたげと
Z09_0075B11: いへる。まことにこのたぐひか。
Z09_0075B12: 四。つぎに念佛を信ずる人のいはく。往生淨土のみち
Z09_0075B13: は信心を先とす。信心決定しぬるにはあながちに稱
Z09_0075B14: 念を要とせず。經にすでに乃至一念と〻けり。このゆ
Z09_0075B15: ゑに一念にてたれりとす。遍數をかさねむとするは。
Z09_0075B16: かへりて佛の願を信ぜざるなり。念佛を信ぜざる人
Z09_0075B17: とて。おほきにあざけりふかくそしると。まづ專修念

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