ウィンドウを閉じる

Z0470 唯信鈔 聖覚 画像

続浄の割書は、青字で小さく表示。

巻_頁段行 本文
Z09_0071A01: 放逸のこ〻ろもあるなり。これを虛假のこ〻ろとな
Z09_0071A02: づけて。眞實心にたがへる相とす。これをひるがへし
Z09_0071A03: て眞實心をばこ〻ろえつべし。このこ〻ろをあし
Z09_0071A04: くこ〻ろえたる人は。よろづのことありのま〻な
Z09_0071A05: らずば虛假になりなむずとて。身にとりてはだか
Z09_0071A06: るべくはぢがましきことをも人にあらはししらせ
Z09_0071A07: て。かへりて放逸無慚のとがをまねかんとす。いま
Z09_0071A08: 眞實心といふは。淨土をもとめ。穢土をいとひ。佛の願
Z09_0071A09: を信ずること。眞實のこ〻ろにてあるべしとなり。
Z09_0071A10: かならずしもはぢをあらはにし。とがをしめせとに
Z09_0071A11: はあらず。ことによりをりにしたがひてふかく斟酌
Z09_0071A12: すべし。善導の釋にいはく。不得外現賢善精進之相內
Z09_0071A13: 懷虛假といへり。ふたつには深心といふは信心なり。
Z09_0071A14: まづ信心の相をしるべし。信心といふは。ふかく人の
Z09_0071A15: ことばをたのみてうたがはざるなり。たとへばわが
Z09_0071A16: ためにいかにもはらくろかるまじくふかくたのみた
Z09_0071A17: る人の。まのあたりよく〱みたらむところをおし
Z09_0071B01: へむに。そのところにはやまあり。かしこにはかはあ
Z09_0071B02: りといひたらむを。ふかくたのみてそのことばを信
Z09_0071B03: じてむのちに。また人ありてそれはひがごとなり。や
Z09_0071B04: まなしかはなしといふとも。いかにもそらごとすま
Z09_0071B05: じき人のいひてしことなれば。のちに百千人のいは
Z09_0071B06: んことをばもちひず。もとき〻しことをふかくたの
Z09_0071B07: む。これを信心といふなり。いま釋迦の所說を信じ。彌
Z09_0071B08: 陀の誓願を信じて。ふたご〻ろなきことまたかくの
Z09_0071B09: ごとくなるべし。いまこの信心につきてふたつあり。
Z09_0071B10: ひとつにはわが身は罪惡生死の凡夫。曠劫よりこの
Z09_0071B11: かた。つねにしづみつねに流轉して。出離の緣あること
Z09_0071B12: なしと信ず。ふたつには決定してふかく阿彌陀佛の
Z09_0071B13: 四十八願。衆生を攝取したまふことをうたがはざれ
Z09_0071B14: ば。かの願力にのりてさだめて往生することをうと信
Z09_0071B15: ずるなり。よの人つねにいはく。佛の願を信ぜざるに
Z09_0071B16: はあらざれども。わが身のほどをはからふに。罪障の
Z09_0071B17: つもることはおほく。善心のおこることはすくなし。

ウィンドウを閉じる