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Z0450 閑亭後世物語 隆寛 画像

続浄の割書は、青字で小さく表示。

巻_頁段行 本文
Z09_0052A01: を出して聞しめたまはんに。いかなる(しう)(しん)(まう)(ねん)
Z09_0052A02: (のこり)(と※まる)べき。後白河法皇の御臨終に。(てう)(けん)法印御(ぜん)()(しき)
Z09_0052A03: にて申されけるは。(せい)()(くも)の上に(きこ)へて。耳に(をん)(あい)
Z09_0052A04: (こゑ)を忘れ。(じやう)(しゆ)(には)の前にみへて。(まなこ)(にん)(げん)の色を隔つ
Z09_0052A05: と。云々
Z09_0052A06: 問。臨終に(てん)()の來迎と云ふ事の候なるをば。(いかで)か知
Z09_0052A07: るべきや。答。三心具足の念佛者は全く魔の便(たより)をう
Z09_0052A08: る事なし。縱さやうの(あく)(さう)現ず共。念佛を申さば皆失
Z09_0052A09: すべし。又魔は目を(ふさ)げば見へず。佛は目を閉れば彌
Z09_0052A10: あらたに見へ給ふ。
Z09_0052A11: 問。夢などに見る事をば。用ゆべしや。答。夢も(せう)(きやう)
Z09_0052A12: に叶ひたるをば用ゆ。(ぶつ)(きやう)(たがひ)たるを(まう)(さう)とて用ひ
Z09_0052A13: ぬ事也。夢を(しう)して(せい)(きやう)(そむく)事の候は。ゆ〻しき僻事
Z09_0052A14: 也。
Z09_0052A15: 問。(たつとき)事を夢にもうつ〻にも見ては。人に語るべしや。
Z09_0052A16: 答。(もろ〱)にかたらぬ事也。語れば天()便(たより)を得て。惡き事の
Z09_0052A17: 有也。
Z09_0052B01: 問。臨終の行儀語るべしと申すはいかに。答。それは後
Z09_0052B02: の人の爲に註しをけと申したり。(びやう)(にん)語る事あたは
Z09_0052B03: ずば。()(しき)しば〲(とふ)べし。いかやうの事をかみると。
Z09_0052B04: 惡き相を語らば。念佛申て(さん)()せしむべし。善の相な
Z09_0052B05: らば(きく)(したがつ)てしるし止べしと。云々是は今死なんずる
Z09_0052B06: 人なれば。後の人の爲に(ひろ)むべし。平生なる人は。貴き
Z09_0052B07: 事を人にしられぬれば。(きやう)(まん)の心を一念も(おこ)して。我
Z09_0052B08: は貴き身と思ひつれば。(もろ〱)の罪を得る事也と(いましめ)たり。
Z09_0052B09: 問。佛の境界をみる事は。夢とうつ〻と。彼の差別如何
Z09_0052B10: 候。答。貴き事は夢にもうつ〻にも見る程の事は。同
Z09_0052B11: じき事也。
Z09_0052B12: 問。本尊に向ひ奉る時は。いかに(ほか)(しゃう)(しん)の佛御座(おはします)
Z09_0052B13: 思ふべきか。又此(ぎやう)像(ざう)と思ふべきか。此()像(ざう)(もく)像(ざう)こそ
Z09_0052B14: (やが)て生身の佛よと思ふべきか。答。二の()共に(たが)
Z09_0052B15: ず。(けう)(にち)上人云く。此(ぎやう)像(ざう)を以て生身の佛を想像(おもひやる)便(たより)
Z09_0052B16: して。此佛だにも()()(たく)御座(おはします)(まし)て生身の佛如何に目
Z09_0052B17: 出度おはしますらんと。(こひ)(しく)思ひ奉れば。此(ぎやう)像(ざう)に思

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