浄土宗全書を検索する
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巻_頁段行 | 本文 |
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Z09_0051A01: | あるべしや。答。罪を造て。其報一に非ず。順現業とて。 |
Z09_0051A02: | 五逆などの重罪は。現報を遁べからず。次に順生業と |
Z09_0051A03: | て。次の生に報を受べし。順後業とて。三生に報を受べ |
Z09_0051A04: | し。然共今生後生なを三世にも。生死の報を受べき罪 |
Z09_0051A05: | に。南無阿彌陀佛の一聲に皆滅ぬれば。臨終正念にし |
Z09_0051A06: | て往生するこそ。驗にて候へ。 |
Z09_0051A07: | 問。罪を造事は。過去多生曠劫也。いかんぞ一念の功力 |
Z09_0051A08: | 八十億劫に限るや。答。八十億劫と云ふは。過ぎつる |
Z09_0051A09: | 方には非ず。未來世を云ふ也。隆寬律師云く。三界の內 |
Z09_0051A10: | には。非想の八萬劫に過て。壽永き所なし。此八萬劫 |
Z09_0051A11: | を百倍重て。生死にかへらずと云ふ文なれば。一念に |
Z09_0051A12: | 旣に未來生死に流轉すべき罪滅しぬ。是れ正しく極 |
Z09_0051A13: | 樂に生るべき事を。八十億劫の罪滅すと也。 |
Z09_0051A14: | 問。臨終の時には。酒肉五辛食たらん者をば近付べか |
Z09_0051A15: | らずと候なる事は如何なるが故ぞや。答。くさ〱 |
Z09_0051A16: | 穢しき時は。佛遠ざかり給へば。其障を窺て惡魔便 |
Z09_0051A17: | を得て。病人に付て心をくるわする故に。地獄に墮と |
Z09_0051B01: | 申す也。 |
Z09_0051B02: | 問。信心決定の念佛者も。臨終の時。他人の酒を呑肉食 |
Z09_0051B03: | したるが來らんに依て。往生の障となるべしや。答。 |
Z09_0051B04: | それ全然べからず。日來は念佛も申さず。たとひ念佛 |
Z09_0051B05: | 申せ共。信心不定の者は。恐るべき事也。又設信心と |
Z09_0051B06: | わたる念佛者なり共。人の上にも惡と云はん事をば |
Z09_0051B07: | 愼べき也。 |
Z09_0051B08: | 問。臨終には。心とまりぬべき物をば。色をも見ざれ聲 |
Z09_0051B09: | をも聞ざれと申す事は。いか※心得候べき。答。其も |
Z09_0051B10: | 信心不定の自力の心也。又日來念佛も申さず往生も |
Z09_0051B11: | 願はぬ人を。始て勸むる樣也。信心決定の念佛者は。 |
Z09_0051B12: | 全く其障あるべからず。佛の力にて。諸の愛心妄念を |
Z09_0051B13: | 掃止給ふ故に。縱父母兄弟跡枕に有て。互に泣き歎く |
Z09_0051B14: | とも。其にも依るべからず。たとひ妻子眷屬足手に取 |
Z09_0051B15: | 付て。共に惜悲とも其れにもさへらるべからず。稱讚 |
Z09_0051B16: | 經には。佛慈悲を加へ資て。心をして亂しめずとこそ |
Z09_0051B17: | 候へ。實に佛慈悲の色を現じて見へ給ひ。微妙の御音 |