浄土宗全書を検索する
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巻_頁段行 | 本文 |
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Z09_0045A01: | 閑亭後世物語卷下 |
Z09_0045A02: | 問。念佛に一念多念と申義の候なるは。いかなる事ぞ。 |
Z09_0045A03: | 答。一念と申は。命つ※まれる時に是を聞て。一遍南 |
Z09_0045A04: | 無阿彌陀佛と申て。二遍に及ばずして終を。一念往生 |
Z09_0045A05: | と申す也。多念と申すは。命のびたる時是を聞て。一遍 |
Z09_0045A06: | は十遍になり。百遍は千遍乃至一日一年二年十年廿年 |
Z09_0045A07: | に延るま〻に。念佛の數遍つもりて終を。多念往生と |
Z09_0045A08: | 申す也。然ば則一念往生と云ふは。臨終の時に遇機也。 |
Z09_0045A09: | 多念往生といふは。平生の時にあへる機也。 |
Z09_0045A10: | 問。さては平生の多念の念佛は。一念の信をとれりと |
Z09_0045A11: | 申す事候は。僻事にて候か。答。ひが事もあり道理も |
Z09_0045A12: | あり。僻事と申すは。往生は一念にきはまりたりと云 |
Z09_0045A13: | ふて。念佛多く申すは。一念の功德をしらぬ故信ぜぬ |
Z09_0045A14: | 故とぞしるなり。彼一念に往生すと云ふは。二念に及 |
Z09_0045A15: | ばずして命終故にてこそあれ。た※〲命延ば彌多 |
Z09_0045A16: | 申べきを。還て申す人をそしるはひが事也。道理と申 |
Z09_0045B01: | は。念佛は一念にも往生をとぐるを。然べく命延て彌 |
Z09_0045B02: | 申しかさねて。多念の功をつめるよと思ひて。數遍を |
Z09_0045B03: | 申すべき也。上人常の御詞には。罪は五逆もさはり無 |
Z09_0045B04: | と知とも。構て小罪をもつくらじと思ふべし。往生は |
Z09_0045B05: | 一念に足ぬと存ずとも。多念を重ねんと思ふべし。信 |
Z09_0045B06: | をば一念に往生すと取て。行をば多念にはげむべし |
Z09_0045B07: | と云々。隆寬律師云く。同く淨土宗に入て。專修の行を |
Z09_0045B08: | 立て。本願を信じ名號を唱へながら。一念多念の二の |
Z09_0045B09: | 義うしろあはせなるべき樣。いかにも〱有るまじ |
Z09_0045B10: | き事ぞかし。一念を執する行者は。よく彌陀の本願を |
Z09_0045B11: | さとり。能名號の功能を證したる人なり。實の如く說 |
Z09_0045B12: | のごとく。一念の功力の增上にして必ず往生し。一念 |
Z09_0045B13: | の利益無窮にして定て攝取せらる〻深き趣入たる旨 |
Z09_0045B14: | を。眞實に信知してんに取ては。仰崇の心も骨にとを |
Z09_0045B15: | り。歸敬の思も肝に銘じて。重ても〱唱まほしく返 |
Z09_0045B16: | 々も稱せんこそと覺ゆべき事なれ。多念して飽期な |
Z09_0045B17: | く。常に唱へて退せじと存ずるをば。もろともに隨喜 |