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Z0450 閑亭後世物語 隆寛 画像

続浄の割書は、青字で小さく表示。

巻_頁段行 本文
Z09_0043A01: き。本心正念に(ぢう)して往生すべき也。
Z09_0043A02: 問。念佛の行者(ふく)(やく)(きう)()などは。する事いか※候べき。
Z09_0043A03: 極樂には死なずして(まいる)べきに非ず。命を惜まば往生を
Z09_0043A04: すまじきに似たり。いかんぞ。答。服藥灸治するに二
Z09_0043A05: 樣有り。一には命をたすからん爲には非ず。苦痛を止
Z09_0043A06: て。心のどかに念佛申さん爲也。二には命の惜さに服
Z09_0043A07: 藥灸治する(ぼん)()の習也。然共(れう)()には。病は癒れども
Z09_0043A08: 命は延る事なし。(ぢやう)(ごふ)には死ぬべし。始には命を惜め
Z09_0043A09: ども。實に死なん時には先の念佛の功によりて。佛の
Z09_0043A10: (ちかひ)なれば必ず迎へ給ふべし。命を惜むは凡夫の拙き
Z09_0043A11: 習ひ也。往生する事は佛の慈悲本願の力也。
Z09_0043A12: 問。念佛に()(りき)()(りき)と申事の候なるは。如何なる事ぞ。
Z09_0043A13: 答。(りう)(くわん)(りつ)()の云く。佛の本願は。只(みやう)(がう)(とな)へん凡夫
Z09_0043A14: を迎へんとこそ(たて)おはしますに。自力の者は。此本願
Z09_0043A15: の名號を唱へながら。我身をつくろひ我心を調(と〻のへ)(かい)
Z09_0043A16: (たもち)。齋をし。身をせめ心をくだきて。通夜(よもすがら)終日(ひめもす)(かうべ)()
Z09_0043A17: (はらう)(ごとく)(はげみ)てこそ。本願にも(かな)はめと思て。念佛申
Z09_0043B01: すを自力と申す也。他力と申すは。もとより我身のわ
Z09_0043B02: ろきを(はじめ)てつくろひと〻のへんとも思はず。元より
Z09_0043B03: 我心の(ぼん)(なう)(にご)れるを今更す〻まさんともせず。只
Z09_0043B04: 佛の御力に(まかせ)て我身の(つみ)をも滅してたべ。我心のに
Z09_0043B05: ごれるをも(きよ)めてたべ。我行のよはきを(たすけ)てたべと
Z09_0043B06: 思ふ斗にて。(わづか)(した)(はたらか)して名號を(とな)へて。四(しゆ)の威
Z09_0043B07: ()をも調(と〻の)へず。(た※)ありきくも立ても居てもねてもさ
Z09_0043B08: めても(となへ)。三(ごう)(ざい)(しやう)を〻もかへりみず。只身に(おが)
Z09_0043B09: 口に唱へ心に念じて。時を(きら)はず所をきらはず。唱ふ
Z09_0043B10: ばかりにて。往生は佛の御力に(まかせ)(たのむ)を他力の念佛
Z09_0043B11: と申て。(これ)ぞ決定往生の信心にて候。四()(せう)と申文
Z09_0043B12: を見給ふべしと。云々
Z09_0043B13: 問。念佛に(ぢやう)心の念佛(さん)心の念佛と申す事の候なる
Z09_0043B14: は。如何樣なる事ぞ。答。定心の念佛と申すは。心のち
Z09_0043B15: (みだる)るをと※めて。佛の(さう)(かう)(くわう)(みやう)に思をかけて申す
Z09_0043B16: を。定心の念佛と申也。(さん)心の念佛と申すは。心の(まう)(ねん)
Z09_0043B17: の沙汰もせず。佛の相好をも思はず。只舌を動して名

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