浄土宗全書を検索する
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巻_頁段行 | 本文 |
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Z09_0040A01: | て件の修行者を高野一山の內を尋求らる〻に跡形 |
Z09_0040A02: | もなし。然々の者と尋さするに。更に見たりと云人も |
Z09_0040A03: | なし。此時僧都仰られけるは。た※人にはあらず。佛の |
Z09_0040A04: | 化して我日來數珠のはやくりする念佛を。不法の事 |
Z09_0040A05: | に思ひつる咎をいましめの料也とて。懺悔し給ひけ |
Z09_0040A06: | ると申つたへたり。 |
Z09_0040A07: | 問。念佛の數遍早く〻りて數遍多きと。數珠を靜にく |
Z09_0040A08: | り慥に申て念佛のすくなからんと。何れがすぐれて候。 |
Z09_0040A09: | 答。是は上人の御存生の時評定終へたり。少くともた |
Z09_0040A10: | しかなるは勝れたらんとて。六萬遍は三萬遍になり。 |
Z09_0040A11: | 三萬遍は一萬遍になしたる程に。心のさはがしき事は |
Z09_0040A12: | 凡夫の地體のならひなれば。始には靜ならんと思ひ |
Z09_0040A13: | しかども。後には怱々にして。數珠は本の如くにはや |
Z09_0040A14: | くなりて數遍のだけはし※めたり。是れゆ〻しき僻事 |
Z09_0040A15: | なるべしとて皆本のごとく早して多くなされしなり。 |
Z09_0040A16: | 問。數遍早くして多からんと。念佛たしかに申て少か |
Z09_0040A17: | らんと。何か勝れ候なん。答。日夜に忘る時なく常に |
Z09_0040B01: | 相續せん料なれば。早く數遍十萬遍を一日の所作と |
Z09_0040B02: | する程に。一萬遍なりとも餘事をまじゑず。一日に申 |
Z09_0040B03: | はつる樣に靜ならば。誠によかるべき也。上人も一萬 |
Z09_0040B04: | 遍なりとも一日一夜に申はつる樣に。靜に申さば然 |
Z09_0040B05: | るべしと仰せられける也。 |
Z09_0040B06: | 問。念佛は高聲こそ勝れたれ。聲にも出ずして只數珠 |
Z09_0040B07: | をくりて數を取は。謂なしと申候はいかに。答。長樂 |
Z09_0040B08: | 寺の律師の云く。心にも南無阿彌陀佛と念て數をと |
Z09_0040B09: | れば。同じ稱名也。口に唱ふるも南無阿彌陀佛の名號。 |
Z09_0040B10: | 身に禮するも南無阿彌陀佛と禮すれば。三業の起行 |
Z09_0040B11: | は皆稱名也と。云々上人の給はく。念佛は最も稱名を |
Z09_0040B12: | 本願とすれば。地體は高聲なるべし。さればとて。機 |
Z09_0040B13: | 嫌あしき時に申せば。聞く人此れをそしる故に。自他 |
Z09_0040B14: | たがひに罪を受る事也。此樣を心得べし。但我耳に聞 |
Z09_0040B15: | ゆる程を高聲のぶんに取る也。 |
Z09_0040B16: | 問。今は本願の不思議をも疑はず。我惡をも疑はず。但 |
Z09_0040B17: | 行の策ぬ事の歎敷候。人の上を聞くには。或は日に八 |