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Z0450 閑亭後世物語 隆寛 画像

続浄の割書は、青字で小さく表示。

巻_頁段行 本文
Z09_0039A01: 答。懺悔の心と云は。作たる罪を(くゆ)る心也。後世ねがは
Z09_0039A02: ん人は。爭か其心なかるべき。懺悔すれば罪滅す。罪
Z09_0039A03: 滅すれば。(しやう)()になる也。
Z09_0039A04: 問。念佛は申とも。懺悔の心(をこら)ずば罪滅すべからずや。
Z09_0039A05: 答。たとひ其心なくとも。念佛を申さば罪滅すべし。た
Z09_0039A06: とひ其心ありとも。念佛を申さずば罪消ゆべからず。
Z09_0039A07: 但罪を悔る心なくば念佛も申さるべからず。念佛を
Z09_0039A08: 申さずば罪きゆべからず。つみ消えずば定で三(あく)(だう)
Z09_0039A09: に墮すべし。三惡道の(おそろしき)故に念佛申べし。念佛申せば
Z09_0039A10: 罪を(めつ)すべし。罪をめつする故に地獄に墮すべから
Z09_0039A11: ず。此故に(さん)()の心あるべしと云也。
Z09_0039A12: 問。日所作に限りたる數遍をかく事の候をば。次の日
Z09_0039A13: 申入べきにて候やらん。答。長樂寺の律師の記には。
Z09_0039A14: 構で闕くべからず。重病より外には。何事にさへられ
Z09_0039A15: てか日所作をかぐべき。不力かけたらば。心に懸て
Z09_0039A16: 歎くべし。後に申入れんずればとて兼て思へば。心の
Z09_0039A17: (ゆるき)也。又心にか〻りて(うたがは)れば。せめてず※をはやくと
Z09_0039B01: いかにも〱して。申(はて)つと思ふべき也。つぎの日
Z09_0039B02: も申入べし。
Z09_0039B03: 問。()()をはやくこして。(した)をばおそくして念佛何萬
Z09_0039B04: 遍と云事は。有名無實にてや候べき。答。詮ずる所は
Z09_0039B05: 思をかけて(さう)(ぞく)せん(れう)なれば。()()はやくとも。數遍
Z09_0039B06: だに(おほ)く申さば目出度事也。
Z09_0039B07: 問。或は一日廿萬卅萬。或は每日に四十八萬遍申候な
Z09_0039B08: んど云人の候は。(まこと)しからぬ方も候。(おそらく)は佛を(あざむ)き奉
Z09_0039B09: る咎にや候らん。答。其儀はふしんすまじきにて候
Z09_0039B10: 也。高野に到來の非人念佛者一人參りて。明遍僧都の
Z09_0039B11: (むろ)に尋入て。念佛の數遍は如何程か定て申べきと問。
Z09_0039B12: 僧都又いくら定て申さる〻ぞと問れて。客僧申て
Z09_0039B13: 云。一日に百萬遍闕退なく申候也。僧都是を聞て心に
Z09_0039B14: うけぬ事に思はれて。(やがて)而目もみせず詞も懸ずして
Z09_0039B15: 止れければ。修行者歸りぬ。其夜僧都の夢に見樣。善
Z09_0039B16: 導現じての給はく。いかに念佛每日に百萬遍の行者
Z09_0039B17: をば。疑ひ惡みて歸し給へるぞと。云々僧都夢さめ夜明

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