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Z0450 閑亭後世物語 隆寛 画像

続浄の割書は、青字で小さく表示。

巻_頁段行 本文
Z09_0038A01: さん料に時々別時する事は。詮ずる所念佛多く申さ
Z09_0038A02: ん爲也。然に別時する程にては。(だう)(じやう)に入り。佛像(ざう)に向
Z09_0038A03: はんに。(いかで)か身不淨なるべき。此故に(しやう)(しん)(けつ)(さい)する也。
Z09_0038A04: 全く念佛の功德を(まさん)爲めにはあらず。又日々の所作
Z09_0038A05: 三萬六萬以上數遍增を申て。一日も懈ざらん人は。い
Z09_0038A06: つのいとまにか別時すべきや。
Z09_0038A07: 問。年々の二季の()(がん)。月々の六(さい)(もし)は心ざす日な
Z09_0038A08: んど。身を(きよ)め齋なんどして念佛申さんとし候事は。
Z09_0038A09: 自力に成候べしや。答。全く自力に非ず。自力と申は。
Z09_0038A10: 身を調へ心を淸めて申こそよき念佛にてあれ。さら
Z09_0038A11: で申す念佛は。佛の御心にも背くらんと思て申こそ
Z09_0038A12: 自力なれ。(ぶつ)(おん)(ほう)ぜんために身を淸くしてこそ申
Z09_0038A13: べきに。凡夫のつたなき(ならひ)(らん)()()(だい)(ちから)(およば)ず。せめては
Z09_0038A14: 月に一日二日も身を淸めて申さんは。目出度事にて
Z09_0038A15: こそ候はめ。一日なりとも一時なり共。別時をすると
Z09_0038A16: 思事也。別時の行儀には。酒(にく)(しん)をと※めて一食長
Z09_0038A17: 齋すべしと候へば。若は十四日十五日。若は父母の月
Z09_0038B01: 忌などに別時すると存て。精進して念佛申さん事最
Z09_0038B02: 然べしと覺へ候也。
Z09_0038B03: 問。人の勸むる念佛を受て候をば。日所作の數遍の外
Z09_0038B04: に申べきか。又數遍の中にこもり候と思ふべきや。
Z09_0038B05: 答。數遍三萬以上に及迄多く申さんには。其中にあり
Z09_0038B06: と思べき也。三萬より少くば。受たらん數も所作の外
Z09_0038B07: に申べき也。
Z09_0038B08: 問。先立人を訪はんと思に。日所作の次に廻向候には。
Z09_0038B09: 所作の數遍の外に面々にいくら〱と申て廻向すべ
Z09_0038B10: く候か。又日所作の念佛を廻向し候べきか。答。所作
Z09_0038B11: の數遍の外に申べからず。一萬遍の所作ならば。十人
Z09_0038B12: に廻向せば百萬遍になるべし。(たとへ)ば火うちにて(ちり)(ばかり)
Z09_0038B13: の火を出して(もやす)に。(たきぎ)(おほき)に隨て火の多く成るが如
Z09_0038B14: し。()(ゑん)の薪多ければ。百千の()(そく)に付て取に隨て火
Z09_0038B15: は多くなれども。本の(ともしび)(すくなく)なる事なきが如し。念佛
Z09_0038B16: の廻向又々如此なるべし。
Z09_0038B17: 問。念佛申には。(さん)()の心有べしと申は如何なる心ぞ。

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