ウィンドウを閉じる

Z0400 空花和歌集 湛澄 画像

続浄の割書は、青字で小さく表示。

巻_頁段行 本文
Z08_0358A01: 願也。聲ぞ凉しきは行也。願行そなはりて。方に往
Z08_0358A02: 生す。行者常に心を西方に運ぶへし。
Z08_0358A03: 櫨菴法師日觀頌云。身雖華池上。先送心歸
Z08_0358A04: 極樂天云云。
Z08_0358A05: 淨土文云。凡起居飮食。語嘿動靜。皆不淨土。則
Z08_0358A06: 此身雖五濁。而其心已在淨土云云。禪林云。運
Z08_0358A07: 心日久引接何疑云云。
Z08_0358A08: 風雅集 從三位親子
Z08_0358A09: 心をはかねて西にそをくりぬる
Z08_0358A10: わか身をさそへ山のはの月
Z08_0358A11: 草庵集
Z08_0358A12: 露の身のまたきえぬより心こそ
Z08_0358A13: 花のうてなにまつやとりぬれ
Z08_0358A14: 此歌。身は此界に有ともとそへて見るべし。○
Z08_0358A15: 新古今。よそにのみ〻てやみなんかつらきの。た
Z08_0358A16: かまの山のみねのしら雲。○此歌も第二の句に
Z08_0358A17: て切て見るといへり。○後撰。をりはへてねに鳴
Z08_0358A18: きくらすうつせみの。むなしき戀も我はするか
Z08_0358A19: な。○是はねになきくらすと書きたれは。いき
Z08_0358A20: たる蟬なり。○萬葉十二云。ともしひの影にかよ
Z08_0358B01: ふうつせみの。妹かえめりし面影にみゆ。○是は
Z08_0358B02: うつくしき蟬をいふべし。なを此事奧義抄に問
Z08_0358B03: 答ある枕詞燭明抄にも。くはしくみゆ。○烏瑟膩
Z08_0358B04: 沙最勝總持經云。如蛇蛻皮。卽生極樂云云。一本蛇作蟬
Z08_0358B05: ○案ずるに。うつせみのたとへに摠別あり。摠じ
Z08_0358B06: ては。人の世にたとへたり。列子口義云。人世
Z08_0358B07: ルヿ蟬蛻云云。○萬葉に。うつせみの人め
Z08_0358B08: をしけみあはすして。年をしふれはいけるとも
Z08_0358B09: なし。右せみは。もぬけて。からをばをきてゆきさ
Z08_0358B10: るもの也。人もしりあれは。はかなき物によそへ
Z08_0358B11: て。人といはんとてうつせみといへり云云。○古
Z08_0358B12: 今。うつせみの世にもにたるか花櫻。さくとみし
Z08_0358B13: まにかつ散りにけり。延五記云。蟬ばかりを木に
Z08_0358B14: とめて。やがて其身ながら落る所もなき物なれ
Z08_0358B15: ば。あだなる世を空蟬の世といへり云云。○無住
Z08_0358B16: の歌にも。よしさらはもぬけてさらんおしから
Z08_0358B17: す。八十にあまるうつせみのから。右みな摠じて
Z08_0358B18: たとへたり。別しては此歌のごとし。又○新撰六
Z08_0358B19: 帖。ねのみなく身は我からそうつせみの。むなし
Z08_0358B20: き物になりはて〻より。○是は別しての歌歟。○

ウィンドウを閉じる