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Z0400 空花和歌集 湛澄 画像

続浄の割書は、青字で小さく表示。

巻_頁段行 本文
Z08_0356A01: 上盡一形は行者の本意なり。無常老を待ず。殺鬼わ
Z08_0356A02: かきをゆるさず。ゆめ〱をこたる事なかれ。寔に
Z08_0356A03: 人間の一生は。しばしの程なるに。身の終には參り
Z08_0356A04: つきなんとあるは。極樂の遠き事をおしへ給ふ也。
Z08_0356A05: 淸少納言枕草子に。とをくてちかきもの帆かけ船。
Z08_0356A06: 極樂の道とかけるは。實にもとそ覺ゆる。古事談第
Z08_0356A07: 云。慧心僧都。金峯山に正しき巫女ありと聞て。
Z08_0356A08: た▲一人向はしめ給ひて。心中の所願うらなへと
Z08_0356A09: ありければ。歌占に。十萬億の國には。海山へだて〻
Z08_0356A10: 遠けれど。心の道だに直ければ。つとめていたると
Z08_0356A11: こそきけと占ひければ。啼泣して歸り給ふ云云。
Z08_0356A12: 極樂は〻るけき程といふ歌。千載集にては空
Z08_0356A13: 也の歌也。拾遺集に仙慶法師とあり。袋草紙には
Z08_0356A14: 千觀內供の歌とみえたり。○愚問賢註云。本歌を
Z08_0356A15: とる事。萬葉の歌を古今にも取て傳れども。むか
Z08_0356A16: しはまれに見ゆ。正治。建仁の比より。さかりにな
Z08_0356A17: れり。そのとりやうさま〲也云云。赤染衞門集
Z08_0356A18: 云。つとめて歸るに。山陰なる草の露の。朝日のさ
Z08_0356A19: したるになを消えて云云。○枕草子云。曉方より
Z08_0356A20: 雨すこしふりて。つとめてはやみにけり。○土佐
Z08_0356B01: 日記云。九日つとめて大みなとよりこぎ出けり
Z08_0356B02: 云云。此等みな早朝の事也。○袋草紙云。中比ある
Z08_0356B03: 夢にきよげなる僧三人。寄り合ひてよみける一
Z08_0356B04: 人。あはれなり。次僧。日はくれかたになりぬれと。
Z08_0356B05: 又次。西へゆくべき人のなきかな。是無疑佛菩薩
Z08_0356B06: 歟云云。まいるといふ語は。參內。院參なといふ參
Z08_0356B07: の字の義なり。字書云。參覲也。諸侯北面M(シテ)而見ルヲ
Z08_0356B08: 天子云云。萬葉。日本紀に。朝參の字を。ま
Z08_0356B09: い〻なとよませたり。今世に寺社に詣するをま
Z08_0356B10: いるといふも此ゆへなり。○大經云。雖一世
Z08_0356B11: 。須臾之間。後M(シテ)無量壽佛。快樂無
Z08_0356B12: 云云。○禮讚云。上在レハ一形。似-如タレ𪜈少苦ナルニ。前
Z08_0356B13: 命終。後念卽生彼國。長時永劫。常
Z08_0356B14: 法樂。乃至リテ成佛。不生死。豈非
Z08_0356B15: 云云。○同記云。遠劫ヨリ以來。徒生死大苦
Z08_0356B16: ルマテ於今日。猶作流轉凡夫。一生空レハ
Z08_0356B17: 再會何。速萬事。以救ヘシ頭燃云云。
Z08_0356B18:
Z08_0356B19: 阿彌陀佛と心は西にうつせみの
Z08_0356B20: もぬけはてたるこゑそす〻しき

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