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Z0400 空花和歌集 湛澄 画像

続浄の割書は、青字で小さく表示。

巻_頁段行 本文
Z08_0355A01: 此歌を案ずるに。阿彌陀佛といふより外とあ
Z08_0355A02: れば。口業の惡をいましむる義あり。難波の事と
Z08_0355A03: あれば。三業の一切の惡事をやむべしといふ義
Z08_0355A04: もあり。○散善義云。一心專念スレハ彌陀名號
Z08_0355A05: 乃至是正定之業。順スルカ彼佛云云。
Z08_0355A06: ○群疑論云。依行者。廢M(シテ)一切諸願諸
Z08_0355A07: 。唯-願唯-行セヨ西方一行。雜修之者。千
Z08_0355A08: 。專修之人。萬リモフヿ云云。慧心云。
Z08_0355A09: 今勸ルハ念佛。非是遮スルニ種々妙行。只是
Z08_0355A10: 男女貴賤。不行住坐臥。不時處諸緣
Z08_0355A11: スルニカラ。乃至臨終-求スルニ往生。得ルヿ
Z08_0355A12: 便宜。不念佛ニハ云云。
Z08_0355A13:
Z08_0355A14: 極樂へつとめてはやくいてた〻は
Z08_0355A15: 身のをはりにはまいりつきなん
Z08_0355A16: 是も夫木集に載せたり。胸の句つとめてとくとあ
Z08_0355A17: り。同じ心也。此歌は。去此不遠の心と見えたり。か
Z08_0355A18: の空也上人の詠を本歌とし給へり。千載集
Z08_0355A19: 極樂は〻るけきほと〻きしかと
Z08_0355A20: つとめるていたるところなりけり
Z08_0355B01: とあり。極樂世界は。十萬億土とて遙なる所とは聞
Z08_0355B02: しかど。かの土をねがひ。彼業を修しつれば。やがて
Z08_0355B03: 程なく至るとの義也と。此歌もおなじ心也。十萬億
Z08_0355B04: 刹の遐方なれども。念佛の足をだに運びなば。一生
Z08_0355B05: の終には。往生すべしといふ也。○つとめてとは。勤
Z08_0355B06: 精進の義に。早朝の心を兼ねたる詞也。慧心の歌に。
Z08_0355B07: 朝かほのあたにはかなきいのちをは。つめてのみ
Z08_0355B08: そしはしたもたんといへる詞に同じ。その外。枕草
Z08_0355B09: 子。土佐日記の類にいくらもある詞也。伊勢物語の
Z08_0355B10: 眞名本に。晨の字を書きてつとめてと訓ぜり。極樂
Z08_0355B11: までと心ざすは。遙なる旅路なれば。早朝より出で
Z08_0355B12: 立つべしとなり。○身のをはりとは。人の臨修をい
Z08_0355B13: ふ。禮讚に。前念命終後念卽生とあり。まいりつきな
Z08_0355B14: んとは。往生すべしといふ義なり。臨終は日沒の如
Z08_0355B15: く。少年は早朝のごとし。老來るを待て。始て道を學
Z08_0355B16: ぶ事なかれ。つとめてはやく。少壯より出で立つべ
Z08_0355B17: しとの御勸なり。か〻ればとて。多年の行者のみ。往
Z08_0355B18: 生すといふにはあらず。一日七日の念佛者も。來迎
Z08_0355B19: に預ること。經文分明なり。老後に初て念佛して。往
Z08_0355B20: 生しけるためし。傳記にみえたり。さはいひながら。

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