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Z0400 空花和歌集 湛澄 画像

続浄の割書は、青字で小さく表示。

巻_頁段行 本文
Z08_0352A01: 新千載 花園院御製
Z08_0352A02: 尋くる人もをとせぬしはの戶に
Z08_0352A03: あけくれきくは嶺の松かせ
Z08_0352A04: 拾遺愚草
Z08_0352A05: おもひ入るみ山にふかきまきの戶の
Z08_0352A06: あけくれしのふ人はふりにき
Z08_0352A07: 永德御百首 前內大臣
Z08_0352A08: 柴の戶のあけくれなる〻かひもなく
Z08_0352A09: 吹くはさひしき軒のまつかせ
Z08_0352A10: 結句印行の語燈錄に。色と見なさんと侍るは。傳寫
Z08_0352A11: のあやまりなり。古き(カキ)(ホン)には。色に見なさんと有
Z08_0352A12: り。扨この色に見なさんといへる一句。此歌の肝心
Z08_0352A13: なり。此句に樣々の見やう侍るべし。一義云。平生は
Z08_0352A14: 徒に穢土の白雲を見る。いつか往生の時至て。淨土
Z08_0352A15: の紫雲を見るべきぞと。切に佛の來迎を待ち給へ
Z08_0352A16: る心なるべし。是は白雲の外に。紫雲ありと見る義
Z08_0352A17: 也。又。まのあたり來迎あれば。佛の神力に依て白
Z08_0352A18: 雲やがて紫雲を見んとの心にや。是は白色紫色と
Z08_0352A19: 變ずる義也。又。平生はた▲白雲と見るを。臨終
Z08_0352A20: に業事成辨しつれば。わが業力に依て。白雲を其ま
Z08_0352B01: ま紫雲と感見するの心もあり。是は白雲の外に紫
Z08_0352B02: 雲なしと見る義なり。されども皆これ僻案なり。取
Z08_0352B03: 捨人の心にまかす。よく〱工夫あるべし。そも
Z08_0352B04: そも紫雲は。聖衆來迎の詳瑞にて。和漢の諸傳にお
Z08_0352B05: ほく載せたり。上人の御終焉は。此御願ひのごとく。
Z08_0352B06: たび〲紫雲の瑞ありけり。傳云。建曆二年正月廿
Z08_0352B07: 日巳時。坊の上に紫雲そびく。中に圓形の雲あり。そ
Z08_0352B08: の色五色にして。圖繪の佛の圓光のごとし。路次往
Z08_0352B09: 反の人。處々にしてこれを見る。弟子申さく。此上
Z08_0352B10: に紫雲あり。御往生のちかづき給へるかと。上人の
Z08_0352B11: たまはく。あはれなる哉。わが往生は一切衆生の爲
Z08_0352B12: なり。念佛の信をとらしめんが爲に。瑞相現ずる也
Z08_0352B13: と云云。廿四日の午時に。紫雲おほきにたなびく。西
Z08_0352B14: 山の水ノ尾の峰に。炭やく輩十餘人。これを見て來
Z08_0352B15: て申す。廣隆寺より下向しける禪尼も。途中にして
Z08_0352B16: これを見て。尋ね來て。此由を申す。見聞の諸人。隨
Z08_0352B17: 喜せずといふことなし云云。
Z08_0352B18: ○見なさん。物の義を正とすべし。見なすとは
Z08_0352B19: 平生を送て。臨終に至るの義なり。定家の歌に。日
Z08_0352B20: もくれぬことしもけふに成りにけり。霞を雪にな

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