ウィンドウを閉じる

Z0400 空花和歌集 湛澄 画像

続浄の割書は、青字で小さく表示。

巻_頁段行 本文
Z08_0351A01: 續後撰
Z08_0351A02: 上もなき道をもとむるこ〻ろには
Z08_0351A03: 命も身をもおしむものかは
Z08_0351A04: 此歌。勸持品の文意也。
Z08_0351A05: さてこの詠歌。玉葉集には
Z08_0351A06: かりそめのうき世はかりの戀にたに
Z08_0351A07: あふに命をおしみやはする
Z08_0351A08: とありて。勝命法師の歌也。又ある物には
Z08_0351A09: かりそめの此世はかりの戀にたに
Z08_0351A10: あふに命をおしむへきかは
Z08_0351A11: とありて。崇德院御製のよしをしるせり。をよそ作
Z08_0351A12: 者の相違は。おほき事也。かの五月暗おぼつかなき
Z08_0351A13: に。ほと〻ぎすといへるは。明日香皇子の歌なるに。
Z08_0351A14: 或人の集にも有るがごとし。此類あげていひがた
Z08_0351A15: し。あやしむことなかれ。
Z08_0351A16: 法花勸持品云。我不身命。但惜無上道
Z08_0351A17: 云云。散善義云。不身命。決定M(シテ)依行セヨ云云。
Z08_0351A18: 同記云。不顧身命者。輕スルヲ於身命。名
Z08_0351A19: 。此二類。若上機。頓身命。如
Z08_0351A20: 。或高嶺ヨリ。或深泉。或
Z08_0351B01: 高枝ヨリ。焚供養セシ。略聞四遠。向タリ
Z08_0351B02: 百餘人已上若其劣機。不スルヿ。纔
Z08_0351B03: 意樂。臨命終。一向身命財也云云。
Z08_0351B04: 空花和歌集卷中
Z08_0351B05: ○勝尾寺にて
Z08_0351B06: 柴の戶にあけくれか〻るしら雲を
Z08_0351B07: いつむらさきの色に見なさん
Z08_0351B08: 此歌玉葉集に入りたり。上人御年七十六。建永二年
Z08_0351B09: の春。門弟の過に依て。讚岐の國へ遷り給ふことあ
Z08_0351B10: りけり。然れども同年の冬。勅免ありて。攝津國勝尾
Z08_0351B11: 寺に。しばし閑居し給へり。是はその西谷の草庵に
Z08_0351B12: ての歌也。上の句は平生の景氣。下の句は臨終の願
Z08_0351B13: 也。○柴の戶は。おほく山家の事によめり。○あけ
Z08_0351B14: くれといふは。戶をあくるといふ緣の語也。此例も
Z08_0351B15: おほかり。
Z08_0351B16: 拾芥抄玉葉集廿卷。正和二年癸丑八月日依
Z08_0351B17: 見院勅。前大納言爲兼卿奏之云云。

ウィンドウを閉じる