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Z0390 父子相迎諺註 湛澄 画像

続浄の割書は、青字で小さく表示。

巻_頁段行 本文
Z08_0300A01: おほかり。生涯いまをかぎりとおもふに。恩愛のわか
Z08_0300A02: れといひ。名利の餘執といひ。此世のなごりといひ。後
Z08_0300A03: 生のをそれといひ。みるものきくものにふれつ〻。心
Z08_0300A04: 肝をくだかずといふことなし。●(八一)わが死のお
Z08_0300A05: そろしきうへに。●(八二)一かたならぬ心ぼそさ也。
Z08_0300A06: 殊に冥途のゆくさきをおもへば。まことにあぢきな
Z08_0300A07: し。萬葉五。常しらぬ道のなが手をくれ〲と。いかに
Z08_0300A08: かゆかんかれひはな〓に。●(八三)死ぬ〓事なり。決
Z08_0300A09: 疑鈔。當知。一切𪜈一事。●
Z08_0300A10: (八四)〓のがれがたき死の道なれども。おそろしくて
Z08_0300A11: 斟酌するなり。いせ物語に。敵のことばしらざりけれ
Z08_0300A12: ば。すまひけれど〻有。愚見抄に。いやがる心也といへ
Z08_0300A13: り。遊仙窟云。不。●(八五)前の世より。つ
Z08_0300A14: くりおきし惡業のことなり。業は業因。繫は繫縛なり。
Z08_0300A15: 此二字經論釋におほし。●(八六)いと▲は。いよ〱。
Z08_0300A16: 惡業の力は。臨終にいよ〱つよくなりて。それ〲
Z08_0300A17: の惡道へ。ひきおとさんとせむる也。ひくは牽の字也。
Z08_0300A18: 正法念經。如ヲ以クニ飛鳥。雖𪜈スレハ
Z08_0300A19: ルカ。衆生被ヿモ。當知。亦如是。○西要抄
Z08_0300A20: に。相照してみるべし。●(八七)三惡道を火の坑とい
Z08_0300B01: ふ。地獄。餓鬼。畜生の事也。今をかぎりの命なれば。足
Z08_0300B02: の下にのぞむといふ。には。やすめ字也。○釋。三
Z08_0300B03: 火坑。臨々トシテント。又云。三惡火坑。闇
Z08_0300B04: 之足下。●(八八)引接とは。觀音の蓮臺にのぼせて。
Z08_0300B05: 佛のみちびき給ふ事也。息のきれんこと只今にあり。
Z08_0300B06: ●(八九)直の字也。たんてきの事。●(九〇)泥梨は
Z08_0300B07: 地獄の事也。上卷に註す。上には三惡道を火坑といへ
Z08_0300B08: ども。おほくは地獄におつべきゆへ。こ〻には泥梨と
Z08_0300B09: いふ。●(九一)命は一刹那につ▲まる。地獄におちん
Z08_0300B10: 事。息の間にあり。ふかき淵にのぞみて。うすきこほり
Z08_0300B11: をふむがごとし。●(九二)せんかたなく。をそれかな
Z08_0300B12: しむ也。○是より下。來迎のもよほし也。●(九三)淨
Z08_0300B13: 。慈愛念。悲愍傷。業に引れて。惡
Z08_0300B14: 道におちぬべきをおどろき。來迎をもよほして。さは
Z08_0300B15: ぎたまふなり。●(九四)聖衆とは。聲聞諸天なり。しづ
Z08_0300B16: 心なくとは。しづかなる心なきなり。河海に。無閑心と
Z08_0300B17: 有。○古今に。久かたの光のどけき春の日に。しづ心
Z08_0300B18: なく花のちるらん。●(九五)來迎の出立なり。儀は行
Z08_0300B19: の威儀なり。●(九六)片時もはやくと。いそぎたまふ。
Z08_0300B20: ●(九七)せちは深切の心也。前に註す。御心ざしのち

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