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Z0390 父子相迎諺註 湛澄 画像

続浄の割書は、青字で小さく表示。

巻_頁段行 本文
Z08_0296A01: 道交已上この外はしるすに遑あらず。●(二五)十劫正
Z08_0296A02: 覺の曉より。廿五有の霧をはらひて。われらが行衞を
Z08_0296A03: たづねわびたまひしに。此度さいはい人界にいで〻。
Z08_0296A04: 閻浮提の日本國にて。わが慈父のましますことをき
Z08_0296A05: きて。はじめてその御名をよばふ。此一こゑを。きこし
Z08_0296A06: めしつけられたる佛の御心。筆にもいか▲しるしあ
Z08_0296A07: へん。さぞよろこびの御なみだに。攝取の袖をしぼり
Z08_0296A08: たまひぬべし。○をきどころなくとは。うれしさの身
Z08_0296A09: にあまる事なり。詞花集の歌に。秋の夜の露もくもら
Z08_0296A10: ぬ月を見て。をきどころなきわが心かな。○前と對句
Z08_0296A11: のやう。心を付べし。●(二六)さうあればこそなり。よ
Z08_0296A12: く〱よろこび給へばこそとて。そのしるしを出す
Z08_0296A13: なり。●(二七)極樂と娑婆の間は。十萬億の佛士をへ
Z08_0296A14: だて〻。はる〲の道なり。●(二八)とをき道なり。每
Z08_0296A15: 日なり。千遍なり。よろこびたまふ御心は。これにてし
Z08_0296A16: るべし。●(二九)されば念佛の行者は。そのあたりを
Z08_0296A17: 掃除し。きよむべしとぞ。○經。極樂敎主彌陀尊
Z08_0296A18: -順M(シテ)念佛諸衆生。每日千遍來住處。踊躍歡喜
Z08_0296A19: フヿ譬喩已上眞如堂緣起に有。かの本尊の御歌。千た
Z08_0296A20: びだに我はかよふにいかなれば。日に一たびのもの
Z08_0296B01: うかるらん。是は右の經文とおなじ心なり。●(三〇)
Z08_0296B02: 右の千遍影向の事を評していへり。親の子をあはれ
Z08_0296B03: む樣體なり。かはるとは。凡夫は癡愛一片なり。佛は悲
Z08_0296B04: 智平等なり。●(三一)これ佛の。衆生をおぼしめすこ
Z08_0296B05: となり。かしこきとは。萬葉に。貴。畏。恐の字を訓ず。お
Z08_0296B06: それうやまふ詞也。さとりとは。佛自覺の德をいふ。是
Z08_0296B07: は如に達する智慧門なり。●(三二)法藏の發願より。
Z08_0296B08: 千遍の影向まで。とりあつめたる御心づくしは。三界
Z08_0296B09: を一子になで給ふがゆへなり。是は權に通ずる慈悲
Z08_0296B10: 門なり。○兼輔朝臣。人の親の心はやみにあらねども。
Z08_0296B11: 子をおもふ道にまどひぬるかな。●(三三)前に法藏
Z08_0296B12: 五劫といふより。やるかたもなく。おぼしけんといふ
Z08_0296B13: までは大悲なり。それより下は大慈なり。○是より下
Z08_0296B14: は。佛は衆生をおぼしめせども。衆生は佛をおもはぬ
Z08_0296B15: ことをいさむるなり。然阿上人。衆生憶-念M(シテ)彌陀
Z08_0296B16: ルヿ絕。如犢子一レ。彌陀還M(シテ)衆生。不ルヿ
Z08_0296B17: 玉ハ魚母一レ。●(三四)これ大悲をおもふ
Z08_0296B18: 也。あはれなるかな四十八願の法王。子をたづねんと
Z08_0296B19: おぼすがゆへに。大悲の肝をくだき給ふ。●(三五)こ
Z08_0296B20: れ大慈をおもふ也。われらをすくはんとおぼして。滿

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