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Z0390 父子相迎諺註 湛澄 画像

続浄の割書は、青字で小さく表示。

巻_頁段行 本文
Z08_0291A01: ば。いまは佛も御心おちゐ(落居)て。(一九四)さま〲
Z08_0291A02: かたじけなき事。かたら(談)ひつくし給なるに。さし
Z08_0291A03: も。心ぐるしう思ひやりし流轉のほどの。苦樂いか▲
Z08_0291A04: ありしと。とひ給へば。(一九五)むかしおぼゆるさと
Z08_0291A05: りありて。(一九六)こしかた。(一九七)なごりなくおも
Z08_0291A06: ひつ▲くるに。(一九八)地獄は。劇苦ひまなく(無間)し
Z08_0291A07: てひさし。(一九九)鬼畜は。苦報をもくしていやし。
Z08_0291A08: (二〇〇)人間には八苦のけぶりたえず。(二〇一)天上
Z08_0291A09: には五衰の露かはかず。(二〇二)三界みな苦にして。
Z08_0291A10: いづくもやすき事なかりきと思ひいづるも。心うげ
Z08_0291A11: (憂)に申ゐたれば。(二〇三)ことばごとに。(二〇四)む
Z08_0291A12: ねにたつこ〻ちし給ふべし。(二〇五)ほとけをはじめ
Z08_0291A13: たてまつりて。ならびゐ給へる菩薩たちまで。すぎに
Z08_0291A14: しかばともいはず。(二〇六)いまある事のやうに。かな
Z08_0291A15: しみあひ給へり。(二〇七)や〻。(二〇八)よく(二〇九)
Z08_0291A16: なきたまひて。又それなん。をのが心からうけしくる
Z08_0291A17: しみなり。人を怨むる事なかれと。なぐさめうけたま
Z08_0291A18: はるにも。いまさらくやしき流轉なるに。(二一〇)い
Z08_0291A19: まはかくなん。よくしえ給〓たりとや。(二一一)この
Z08_0291A20: 極樂とかの三界と。いづれにてありなんと。とひ給ふ
Z08_0291B01: は。(二一二)せめても。(二一三)うれしさのかぎりにこ
Z08_0291B02: そと。いと▲佛恩のみかなしうて。(二一四)た▲むせ
Z08_0291B03: かへる涙にことばもなし。(二一五)これあまりなる御
Z08_0291B04: なずらへ也。(二一六)中々なにとかは申もわかん。
Z08_0291B05: (二一七)淨穢ことのほかにして。(二一八)雲泥なをち
Z08_0291B06: かし。(二一九)まして何れかなどは。(二二〇)いか▲思
Z08_0291B07: ひもよるべき。(二二一)願智たくみにかざりて。(二二二)
Z08_0291B08: 依正ならびなければ。(二二三)くに泥#のごとくし
Z08_0291B09: て。(二二四)たのしみ四德をきはめたり。(二二五)一に
Z08_0291B10: (ツネ)にして。ながく無常をはなれたるゆへに。(二二六)
Z08_0291B11: かずかぎりなくながきいのち。佛とひとしくして。
Z08_0291B12: (二二七)おい(ひ)も。やまひもせぬ身なれば。(二二八)
Z08_0291B13: よはひいつもさか(壯)りなり。(二二九)かの(二三〇)
Z08_0291B14: (タウ)(イン)(キヨ)が。(二三一)仙方をとぶ(訪)らへば。(二三二)延
Z08_0291B15: 齡なをいくばくならざる事をそしる。(二三三)この無
Z08_0291B16: 量壽の淨域にのぞめば。(二三四)長生の。つゐになかば
Z08_0291B17: (央)ならざることをよろこぶ。(二三五)まことに慚愧
Z08_0291B18: して。(二三六)地につばきはき。(二三七)悲喜なみだな
Z08_0291B19: がる〻も。ことはりなり。(二三八)二には(ラク)のみにし
Z08_0291B20: て。(二三九)くるしみはその名をだにもきかず。(二四〇)

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