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Z0390 父子相迎諺註 湛澄 画像

続浄の割書は、青字で小さく表示。

巻_頁段行 本文
Z08_0281A01: かしの事也。すでにと云ふもすぎさりし詞なり。古今
Z08_0281A02: に。よしの川岩波たかくゆく水の。はやくそ人をおも
Z08_0281A03: ひそめてしと有り。昔の事也。○(三五一)極樂の古里の
Z08_0281A04: 家也。●(三五二)四十八願莊嚴淨土といひ。一々誓願爲
Z08_0281A05: 衆生とて。我等がために願をたて〻。かざり給ひし淨
Z08_0281A06: 土なるに。卑下して往生をうたがふものは。佛の恩に
Z08_0281A07: そむくなり。地下地上より。虛空まで二十九種の莊嚴。
Z08_0281A08: めでたくつくりみが〻せ給へり。廣略相入。思議すべ
Z08_0281A09: からず。經。成-就是功德莊嚴。論。具-足
Z08_0281A10: 妙莊嚴。●(三五三)父の子をまつ心にひとしく。此本願
Z08_0281A11: の有るゆへに。念佛の衆生を待ち給ふなり。●(三五四)
Z08_0281A12: かまへて。心行おこたらずして。此たびさはりなくう
Z08_0281A13: まれよと念じ給ふなり。●(三五五)同體の大悲。とく
Z08_0281A14: うまれよとまち給ふらん。げにたのもしき方人にこ
Z08_0281A15: そ。寂然法師の歌に。をとにきく君かりいつかいきの
Z08_0281A16: 松。まつらんものをこ〻ろつくしに。●三五六)此慈
Z08_0281A17: 父の本願をき〻ながら。●(三五七)何とてそのやうに。
Z08_0281A18: ●(三五八)風雅集に。善光寺如來の御歌とて。待ちか
Z08_0281A19: ねてなけくとつけよみな人に。いつをいつとていそ
Z08_0281A20: かさるらん。此歌につきて聖德太子。いそけ人彌陀の
Z08_0281B01: 御舟のかよう世に。のりをくれなはいつかわたらん。
Z08_0281B02: 次に引くは定善義の文なり。これ此界をいとひて。か
Z08_0281B03: の國をねがへとの御す〻め也。●(三五九)歸去來とは。
Z08_0281B04: いざなふ詞也。魔鄕とは。三界の事也。不可停とは。逗
Z08_0281B05: 留すべからずといふ心也。去來の二字を。萬葉にいざ
Z08_0281B06: と訓ず。歸去來の字は。淵明が詞に出たり。聖德太子の
Z08_0281B07: 。よしさらは五濁の水はのますとも。いさかへ
Z08_0281B08: りなん彌陀の御くにへ。●(三六〇)曠劫とは。はるかな
Z08_0281B09: るむかしの事也。流轉とは。六道をめぐりし事なり。●
Z08_0281B10: (三六一)六の道にまよひていたらぬ處なし。●(三六二)
Z08_0281B11: 三界の內は。いづくにゆきても。たのしみはなき也。餘
Z08_0281B12: 樂とは。しばらくのたのしみの事也。●(三六三)天上
Z08_0281B13: には五衰。人間には八苦。修羅にた〻かひ。畜生に殘
Z08_0281B14: 害。餓鬼に飢渴。地獄に劇苦。愁嘆の聲のみなり。●
Z08_0281B15: (三六四)此一生涯すぎての事也。生平の二字を。日本
Z08_0281B16: 紀に。いけりし時と訓ず。●(三六五)極樂を𣵀槃の城
Z08_0281B17: といふ也。さとりの都なればなり。●(三六六)さそ
Z08_0281B18: ふことなり。●(三六七)右の善導大師の釋文なり。●
Z08_0281B19: (三六八)極樂の道の案內也。みちびきの心也。菩提寺
Z08_0281B20: の講堂の柱に。蟲のくひたる歌。新古今入。しるへあ

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