ウィンドウを閉じる

Z0390 父子相迎諺註 湛澄 画像

続浄の割書は、青字で小さく表示。

巻_頁段行 本文
Z08_0276A01: いたらん時。天にあふぎ。地をた〻きて。千たび百たび
Z08_0276A02: さけぶとも。その甲斐あらんや。はや〲。たれ〲も
Z08_0276A03: ねぶりをさましたまへ。●(二九九)われとなしをきた
Z08_0276A04: る善を自業といひ。そのむくひをうくるを自得とい
Z08_0276A05: ふなり。その善力あれば。重苦をたすかり。そのちか
Z08_0276A06: らなければ。主君妻子のちからもおよばぬなり。自業
Z08_0276A07: 自得の字は。正法念經にあり。●(三〇〇)いかに主人
Z08_0276A08: の恩すてがたくおもふとも。後の世のためには。さら
Z08_0276A09: に用にた〻ず。主にかはりて罪をつくる事なかれ。往
Z08_0276A10: 生講式。主君。親眤替。●(三〇一)つ
Z08_0276A11: たなきかな。世人のありさま。さまざまの惡業をもて
Z08_0276A12: 財をあつめ。妻子をやしなひて樂とすれども。臨終に
Z08_0276A13: 苦痛ある時。妻子さらに身の代とならず。まして地獄
Z08_0276A14: に入て後は。妻子の名をもきかず。いかでか。そのく
Z08_0276A15: るしみをたすくるものあらんや。大經。身自當
Z08_0276A16: 。無。地藏本願經。父子至𪜈。岐路各
Z08_0276A17: 。縱然相𪜈。無。正法念經。汝獨
Z08_0276A18: 地獄。爲惡業。妻子兄弟親眷救。
Z08_0276A19: 十勝論。夫黃金珠玉之寶。不洞然猛火
Z08_0276A20: 之苦。綾羅錦繡之貯。無獄卒呵嘖之悲。閻魔
Z08_0276B01: 之札ニハ。免之詞鮮矣。獄卒ニハ。請
Z08_0276B02: 涙多焉。(オヤ)及之處ナレハ。誰一日。子
Z08_0276B03: 聞之境ナレハ。何萬圍。呌喚M(シテ)暇。
Z08_0276B04: 念佛之意。宛轉不緩。焉ンソ淨刹之身。●
Z08_0276B05: (三〇二)主君妻子は。をのれ〱が業にひかれて。そ
Z08_0276B06: れ〲の處へうまるべし。我は又わが業にひかれて。
Z08_0276B07: いづくへもうまるべし。●(三〇三)これ大經の文
Z08_0276B08: なり。此身の生れたりし時も。我ひとりうまれた
Z08_0276B09: り。死する時も。我ひとり死するなり。●(三〇四)
Z08_0276B10: 此たましゐの。冥途へさる時にもひとりさるな
Z08_0276B11: り。此たましゐの母の胎內へやどりし時も。ひとり
Z08_0276B12: やどりしなり云云。大經。人在世間愛欲之中
Z08_0276B13: 獨生獨死。獨去獨來。同鈔。生死
Z08_0276B14: 生有死有トニ。去來シテ中有等也。又義寂に
Z08_0276B15: 異解あり云云。●(三〇五)生死の間。六の道なり。●
Z08_0276B16: (三〇六)後拾遺。哀傷。一條院皇后宮。しる人もなき
Z08_0276B17: わかれちにいまはとて。心ほそくもいそきたつか
Z08_0276B18: な。善光寺緣起に。皇極天皇の御歌とて。わくらはにと
Z08_0276B19: ふ人あらはくらき道。なく〱ひとりゆくとこたへ
Z08_0276B20: よ。●(三〇七)人ごとに我を愛せぬ人なし。た▲一期

ウィンドウを閉じる