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Z0390 父子相迎諺註 湛澄 画像

続浄の割書は、青字で小さく表示。

巻_頁段行 本文
Z08_0273A01: て。淨顛倒を破するなり。受とは五根に物を領納する
Z08_0273A02: 義なり。それ〲の根に受てたのしむ事。みなこれ苦
Z08_0273A03: なりと觀じて。樂顛倒を破するなり。心とは第六識な
Z08_0273A04: り。此識新々に代謝し。念々に生滅して。みな無常な
Z08_0273A05: りと觀じて。常顛倒を破す。法とは。善惡の諸法はみ
Z08_0273A06: な。我々所にあらずと觀じて。我顛倒を破するなり。●
Z08_0273A07: (二五六)四念處の內にて。●(二五七)めでねがひて
Z08_0273A08: 心をとむるなり。●(二五八)此四顛倒。四念處を細判
Z08_0273A09: せば。經論の說いと詳なれど。略してしめし給ふとの
Z08_0273A10: 義なり。●(二五九)是四顛倒の摠結勸なり。●(二六〇)
Z08_0273A11: いかにつたなくとも。人の心。いわ木にしあらねば。
Z08_0273A12: 此ことはりをき〻ては感ずべきぞとなり。白氏文集
Z08_0273A13: 。人非木石皆有情。●(二六一)いか▲は蓋の字
Z08_0273A14: の心あるべし。又下になからんと有にかけて見るべ
Z08_0273A15: し。木石にあらぬゆへ。げに最も。おもはぬ人あるべ
Z08_0273A16: きかとなり。●(二六二)おもひとは。此おしへを尤と
Z08_0273A17: おもふ事なり。おどろくとは。いま〻でまよひし事を。
Z08_0273A18: はじめておどろくなり。●(二六三)甘心とは。尤しか
Z08_0273A19: なりと心にふかく感ずる義なり。西要抄に註す。○是
Z08_0273A20: までに四倒の別段をはりぬ。以下は妄習の改めがた
Z08_0273B01: き事をいひて。かさねてのす〻めなり。●(二六四)以
Z08_0273B02: 前四倒の別段をさす。●(二六五)無始のむかしより。生
Z08_0273B03: 生世々のまよひなればなり。●(二六六)すみやかの
Z08_0273B04: 心なり。急度の字。屹の字なるべし。●(二六七)解脫
Z08_0273B05: 上人。妄心え迷。往昔串習。僅ルモ彌盛也。●
Z08_0273B06: (二六八)されども心は緣にひかれてうつるものゆへ。
Z08_0273B07: 世をすて〻。閑居の身と成りたらば。まよひもあらた
Z08_0273B08: めやすかるべし。●(二六九)松の林うちおほひて。かす
Z08_0273B09: かなる門なり。隱者のすむ處をいふ。源氏の註にも。松
Z08_0273B10: の木のあるあたりの門なるべしと有。白氏文集
Z08_0273B11: 松門柏城幽閉M(シテ)シト。又は松の生木を。そのま〻もちひ
Z08_0273B12: て門にしたるなるべし。●(二七〇)あとは足の跡な
Z08_0273B13: り。ふかく山などにかくれて。人にしられぬ事也。●
Z08_0273B14: (二七一)永の字の心にて。ながく世をはなる〻事也。
Z08_0273B15: ●(二七二)妻子をもすて。世間のうれへをわすれて。
Z08_0273B16: 後生の事のみいとなむ身なり。●(二七三)自然にと
Z08_0273B17: いふ心。もしはといふ心も有。萬葉に自然の字を訓ず。
Z08_0273B18: ●(二七四)ひたすら世をはなれたらば。善心もをの
Z08_0273B19: づからおこるべしといふ事也。山のかせぎとは。山に
Z08_0273B20: すむ鹿なり。佛法にて善心を山の鹿にたとへ。煩惱を

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