浄土宗全書を検索する
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| 巻_頁段行 | 本文 |
|---|---|
| Z08_0271A01: | りこのかた生死にた▲よひ。駒となりては。森の下草 |
| Z08_0271A02: | をすさめ。牛となりては。しづがあら田をかへし。峯 |
| Z08_0271A03: | にをきふすさを鹿となりては。妻をこひ野原にあさ |
| Z08_0271A04: | る。きぎすとなりては。鷹をおそれし時も侍りき。地 |
| Z08_0271A05: | 獄。餓鬼。修羅。人。天ともなりて。それ〱の心をお |
| Z08_0271A06: | こしぬ。業にまかせて。六の道の間をめぐりて。うきし |
| Z08_0271A07: | づむ事さらにさだまらず。あともさだめずとは。足を |
| Z08_0271A08: | とめぬ心也。一道にかぎらぬをいふ。歌にも。たつね |
| Z08_0271A09: | よと敎ゆる宿をよそに見て。六の道には足もやすめ |
| Z08_0271A10: | すと有り。は〻木に。その物とあともさだまらぬはと |
| Z08_0271A11: | あり。●(二三六)是は譬也。下は法也。●(二三七)一生 |
| Z08_0271A12: | の間也。●(二三八)たびねのとこは。一夜のとまり也。 |
| Z08_0271A13: | 此身もわづか命ある內。たましゐにやどかすばかり |
| Z08_0271A14: | 也。一夜の旅の宿は。わが家にあらざれば。おしむ心 |
| Z08_0271A15: | もなきぞかし。しからばなどか。此身を愛せんや。わ |
| Z08_0271A16: | が身とおもふはまよひ也。此心を仁王經にも。形に常 |
| Z08_0271A17: | の主なく。神に常の家なしと〻かれたり。●(二三九) |
| Z08_0271A18: | 是より下は。家なきところを慥にしめす也。今は身の |
| Z08_0271A19: | 有るかぎりを一生涯といふ也。莊子ニ云ク。吾カ生ハ有レ涯。 |
| Z08_0271A20: | 口義ニ云ク。涯ハ際也。人之生也。各有二涯際一。●(二四〇)是 |
| Z08_0271B01: | は命のつくる事也。先の世の報にて得たる命なれば。 |
| Z08_0271B02: | ながきみじかき不同あるなり。資持記ニ云ク。命之延 |
| Z08_0271B03: | 促ハ。宿因ノ所ナリレ招ク。故ニ云二報命ト一。●(二四一)こ〻ろ |
| Z08_0271B04: | とは。第八識心王の事也。六識は分散して。心王は冥 |
| Z08_0271B05: | 途にゆくなり。●(二四二)此字をくらきみちとよむ |
| Z08_0271B06: | 也。冥は幽冥の義。顯明に對する詞也。あきらかなる |
| Z08_0271B07: | 此生に對して。後生の事をくらき途といふ也。又は三 |
| Z08_0271B08: | 途におもむく間の。くらやみなるをもいふ。●(二四二) |
| Z08_0271B09: | 下の句に。露と有に對して風といふ也。冥途へいたる |
| Z08_0271B10: | 人。業の風にふかれて。ゆくゑもしらず。はしりまよふ |
| Z08_0271B11: | 也。さすらふとは。𨂲の字なり。十因ニ云ク。神ニ無二常ノ家一。 |
| Z08_0271B12: | 獨リ𨂲二中有之旅一。字書ニ云。𨂲ハ散走ナリ。又徐ニ行テ不レ正 |
| Z08_0271B13: | 貌。又日本紀に。流離の字をさすらうと訓ず。新千載。 |
| Z08_0271B14: | 澄覺法親王。六の道四の姿にさすらひて。はしめも |
| Z08_0271B15: | はてもしらぬかなしさ。○又風は形なくしてめぐる |
| Z08_0271B16: | ものなれば。心のまよひめぐるによせていふ也。露は |
| Z08_0271B17: | 形ありてきゆる物なれば。身のくちはつるによそへ |
| Z08_0271B18: | ていふなるべし。●(二四四)此身は此世にのこる也。 |
| Z08_0271B19: | 南山律師云ク。一生ノ形骸。委二之ヲ溝壑ニ一。累世ノ神靈。繫ル二 |
| Z08_0271B20: | 於業道ニ一。●(二四五)人すまぬ野原の事也。爾雅ニ云ク。 |