浄土宗全書を検索する
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巻_頁段行 | 本文 |
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Z08_0270A01: | 名。わが衣物。わが田。わが家。わがしつる事。わがい |
Z08_0270A02: | ひし事。われよく念佛し。われよく戒をたもつ。われよ |
Z08_0270A03: | く物をしり。われに思案ふかし。われはなにがしの子 |
Z08_0270A04: | なり。たれの末孫なり。われに藝能あり。わがかたち。 |
Z08_0270A05: | 人にすぐれたりなど。おもふ心より。身をたかぶり。人 |
Z08_0270A06: | をかろしめ。名をおしみ。欲もふかく。さま〲の煩 |
Z08_0270A07: | 惱おこりて。罪をつくり。生死にと▲まるなり。そも |
Z08_0270A08: | そも此身は。地水火風のあつまりてなれるもの也。か |
Z08_0270A09: | たきところは土なり。うるほひあるは水なり。あた〻 |
Z08_0270A10: | かなるは火なり。うごくは風なり。此中に我といふべ |
Z08_0270A11: | きものなし。地水火風をわれといは▲。我といふ物四 |
Z08_0270A12: | つ有や。さればこそ。氣たえぬれば心もうせ。身も本に |
Z08_0270A13: | かへりて。やけばつめたき灰となり。うづめば。こま |
Z08_0270A14: | かなる土となりて。あとかたもなし。わが身だになき |
Z08_0270A15: | ものなれば。なにをかわがものといはんや。無住和尙 |
Z08_0270A16: | の歌に。よしもなく地水火風をかりあつめ。我とおも |
Z08_0270A17: | ふそくるしかりける。又この妄心もわれにはあらず。 |
Z08_0270A18: | 此外に眞我といふものあり。下卷にてしるべし。● |
Z08_0270A19: | (二二九)一期のあいだ。●(二三〇)五蘊の假なるもの |
Z08_0270A20: | を。なづけて我とすといひて。此色身の上に。受想行識 |
Z08_0270B01: | の四つの心のよりあひたるを。かりに我といふ名を |
Z08_0270B02: | 付たる也。●(二三三)頌疏ニ云ク。唯有二五蘊ノミ一。更ノミ無二實 |
Z08_0270B03: | 我一。於テ二此ノ蘊上ニ一。假ニ立M(シテ)爲レ我ト。釋要鈔ニ云ク。於二五蘊ノ |
Z08_0270B04: | 身ノ上ニ一。假ニ立二我ノ稱ヲ一。夫木抄に。爲家。いつまてか〻た |
Z08_0270B05: | ちにやとるたましゐの。はなれぬほとをありとた |
Z08_0270B06: | のまん。玉葉集。永福門院。かりそめに心の宿となれ |
Z08_0270B07: | る身を。あるものかほになにおもひけん。●(二二三) |
Z08_0270B08: | そのま〻いつ迄もある我にはあらずとなり。七賢 |
Z08_0270B09: | 女經に。譬を引て說き給へり。たとへば。雀を瓶の中に |
Z08_0270B10: | 入て。縠をもて。その口をおほひたるに。その口な |
Z08_0270B11: | る縠やぶる〻時は。その鳥やがてとびさるが如し。 |
Z08_0270B12: | 此身は瓶のごとく。心は雀に似たり。命は口をはれる |
Z08_0270B13: | 縠にたとふ。命の縠のやぶれざるうちは。此心この |
Z08_0270B14: | 身にやどり。命の縠やぶるれば。心の雀は飛び出て。六 |
Z08_0270B15: | 道の內。いづれの身になりともうつりかはる也。● |
Z08_0270B16: | (二三三)此たとへは。何方にも有へし。しばらく南山ノ |
Z08_0270B17: | 云ク。喩ハ如下一人行テ二千萬里ヲ一。經ルニ二多ノ屋宿ヲ一。屋ハ雖𪜈二多 |
Z08_0270B18: | 種ト一。人ハ是レ一人ナルカ上云云。●(二三四)とまりは。旅の宿 |
Z08_0270B19: | たり。みちゆき人は。旅人なり。是は譬なり。下は法な |
Z08_0270B20: | り。●(二三五)生死に間斷なきをつねといふ。無始よ |