浄土宗全書を検索する
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巻_頁段行 | 本文 |
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Z08_0269A01: | 驚忙といふなり。驚忙は。おどろきいそがはしとよむ |
Z08_0269A02: | なり。病おもりて死のいたる時になりて。こはいか▲ |
Z08_0269A03: | せんとおどろくなり。後生の支度なかりしゆへ。その |
Z08_0269A04: | きわになりて。念佛申さんとすれば。心もまどいてい |
Z08_0269A05: | そがはしく。あわた▲しき也。平生より覺悟〓たる人 |
Z08_0269A06: | は此事なし。古人ノ云ク。閑時ニ做シ下ス急時ノ用。免レ得タリ |
Z08_0269A07: | 臨テレ時ニ手脚忙キコトヲ。大莊嚴論ニ云ク。智者ハ懃テ投シレ心ヲ。 |
Z08_0269A08: | 臨終ニ意不レ散セ。不レハ二習心專至ナラ一。臨終ニ必散亂ス。● |
Z08_0269A09: | (二二四)上の二句は臨終のありさまをしめし。此二句 |
Z08_0269A10: | は平生の覺悟を〻しへ給へり。平生は因なり。臨終は |
Z08_0269A11: | 果なり。平生こ〻ろにかくれば。臨終にいそがはしか |
Z08_0269A12: | らず。萬事とは。此世のよき事。あしき事。妻子の事。財 |
Z08_0269A13: | 寶の事。みなこと〲くすてよ。はなれよとなり。家 |
Z08_0269A14: | 生とは。それ〲の家の業の事なり。篇海類編ニ云ク。生 |
Z08_0269A15: | は產也。產ハ業也。經に治生產業とあり。家職の事もわ |
Z08_0269A16: | すれよと也。妻子は舟の〻りあひのごとし。命をはれ |
Z08_0269A17: | ば。ちり〲になる也。藏にみつる寶も。冥途の糧とな |
Z08_0269A18: | らず。みなわがために益なし。執心をのこすことなか |
Z08_0269A19: | れとの心なり。●(二二五)專心とは。心に餘事のまじは |
Z08_0269A20: | らぬ事也。萬事家生を捨離して。た▲此事をおもへと |
Z08_0269B01: | 也。發願とは。是非に此度ほとけをたのみて。極樂 |
Z08_0269B02: | に生ぜばやと。ねがひをお〓す事也。向西方とは。念佛 |
Z08_0269B03: | の行をもて。往生の爲に廻向せよと也。●(二二六)此 |
Z08_0269B04: | 詞は論語に有。大經にも侍る。行末をおもひやる事也。 |
Z08_0269B05: | さしあたる目の前の事にのみ。まぎれくらして。臨終 |
Z08_0269B06: | の事。後生をわすれゐたるは。とを〓思案のなき也。や |
Z08_0269B07: | がてちかきうれへ有べし。●(二二七)なにとて思案は |
Z08_0269B08: | なきぞと也。さてもな。是ほどにことはりをつくし。こ |
Z08_0269B09: | とばをかさねて。かへす〲いさめ給へる上人の御 |
Z08_0269B10: | 恩。大悲のふかくいまそかりける事。いまさらにかた |
Z08_0269B11: | じけなくこそおぼゆれ。まことにふかき御法を。さる |
Z08_0269B12: | までこそかたからめ。無常のことはりは。我も人も。目 |
Z08_0269B13: | にも耳にもあまる事なれば。わきまへしるべきを。常 |
Z08_0269B14: | あるものとのみをもへるは。まよひのはなはだしき |
Z08_0269B15: | なり。はやく向師の恩海にまかせ。かく無常なる境を |
Z08_0269B16: | いとひて。常住の極樂國をねがふべし。●(二二八)是 |
Z08_0269B17: | も前に准じて摠標なり。無我に二あり。人無我。法無 |
Z08_0269B18: | 我なり。爰に人法ともあかすなり。執するとは。おもひ |
Z08_0269B19: | しむる心なり。。華嚴經ニ云ク。凡夫ハ無智ニM(シテ)。執二-著ス於我ニ一 |
Z08_0269B20: | 云云。凡夫まよひて我なきに我ありと執し。我身。わが |