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Z0390 父子相迎諺註 湛澄 画像

続浄の割書は、青字で小さく表示。

巻_頁段行 本文
Z08_0269A01: 驚忙といふなり。驚忙は。おどろきいそがはしとよむ
Z08_0269A02: なり。病おもりて死のいたる時になりて。こはいか▲
Z08_0269A03: せんとおどろくなり。後生の支度なかりしゆへ。その
Z08_0269A04: きわになりて。念佛申さんとすれば。心もまどいてい
Z08_0269A05: そがはしく。あわた▲しき也。平生より覺悟〓たる人
Z08_0269A06: は此事なし。古人。閑時急時用。免タリ
Z08_0269A07: 手脚忙キコトヲ。大莊嚴論。智者
Z08_0269A08: 臨終意不。不レハ習心專至ナラ。臨終必散亂。●
Z08_0269A09: (二二四)上の二句は臨終のありさまをしめし。此二句
Z08_0269A10: は平生の覺悟を〻しへ給へり。平生は因なり。臨終は
Z08_0269A11: 果なり。平生こ〻ろにかくれば。臨終にいそがはしか
Z08_0269A12: らず。萬事とは。此世のよき事。あしき事。妻子の事。財
Z08_0269A13: 寶の事。みなこと〲くすてよ。はなれよとなり。家
Z08_0269A14: 生とは。それ〲の家の業の事なり。篇海類編。生
Z08_0269A15: は產也。產業也。經に治生產業とあり。家職の事もわ
Z08_0269A16: すれよと也。妻子は舟の〻りあひのごとし。命をはれ
Z08_0269A17: ば。ちり〲になる也。藏にみつる寶も。冥途の糧とな
Z08_0269A18: らず。みなわがために益なし。執心をのこすことなか
Z08_0269A19: れとの心なり。●(二二五)專心とは。心に餘事のまじは
Z08_0269A20: らぬ事也。萬事家生を捨離して。た▲此事をおもへと
Z08_0269B01: 也。發願とは。是非に此度ほとけをたのみて。極樂
Z08_0269B02: に生ぜばやと。ねがひをお〓す事也。向西方とは。念佛
Z08_0269B03: の行をもて。往生の爲に廻向せよと也。●(二二六)此
Z08_0269B04: 詞は論語に有。大經にも侍る。行末をおもひやる事也。
Z08_0269B05: さしあたる目の前の事にのみ。まぎれくらして。臨終
Z08_0269B06: の事。後生をわすれゐたるは。とを〓思案のなき也。や
Z08_0269B07: がてちかきうれへ有べし。●(二二七)なにとて思案は
Z08_0269B08: なきぞと也。さてもな。是ほどにことはりをつくし。こ
Z08_0269B09: とばをかさねて。かへす〲いさめ給へる上人の御
Z08_0269B10: 恩。大悲のふかくいまそかりける事。いまさらにかた
Z08_0269B11: じけなくこそおぼゆれ。まことにふかき御法を。さる
Z08_0269B12: までこそかたからめ。無常のことはりは。我も人も。目
Z08_0269B13: にも耳にもあまる事なれば。わきまへしるべきを。常
Z08_0269B14: あるものとのみをもへるは。まよひのはなはだしき
Z08_0269B15: なり。はやく向師の恩海にまかせ。かく無常なる境を
Z08_0269B16: いとひて。常住の極樂國をねがふべし。●(二二八)是
Z08_0269B17: も前に准じて摠標なり。無我に二あり。人無我。法無
Z08_0269B18: 我なり。爰に人法ともあかすなり。執するとは。おもひ
Z08_0269B19: しむる心なり。。華嚴經。凡夫無智ニM(シテ)。執-著於我
Z08_0269B20: 云云。凡夫まよひて我なきに我ありと執し。我身。わが

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