浄土宗全書を検索する
AND検索:複数の検索語をスペースで区切って入力すると、前後2行中にそれらを全て含む箇所を検索します。
巻_頁段行 | 本文 |
---|---|
Z08_0267A01: | がごとし。口おしきかたわものなり。予がごとき者は。 |
Z08_0267A02: | 道智ともになければ。さながら畜類にちかし。●(二〇 |
Z08_0267A03: | 七)右の智道のことはりを。よくおもひわかちて。● |
Z08_0267A04: | (二〇八)たとひ一世に智者のほまれを得て。人の恭敬 |
Z08_0267A05: | にあたるとも。道心なき人は。臨終に後悔すべし。かの |
Z08_0267A06: | 鄴洛禪師の例なきにあらず。月淸集に。月日のみなす |
Z08_0267A07: | ことなくてあけくれは。くやしかるへき身のゆくえ |
Z08_0267A08: | かな。遺敎經ニ云ク。無M(シテ)レ爲スヿ空ク死ハ。後ニ致ンレ有ヲレ悔ルコト。 |
Z08_0267A09: | 莊嚴論ニ云ク。臨テ二爲ニレ死ノ所一レ呑。方ニ悔テ求ムレ修ンコトヲレ善ヲ。 |
Z08_0267A10: | ●(二〇九)くやしきは臨終のこと也。此はからひは平 |
Z08_0267A11: | 生の事也。策をめぐらすべし。●(二一〇)是より下へか |
Z08_0267A12: | かりてみるべし。無常の章の摠結なり。●(二一一)一期 |
Z08_0267A13: | の年月をかぞへて見るべし。きはめてすくなきこと |
Z08_0267A14: | なり。たとひ八十まで生くる人も。わづかに二萬八千 |
Z08_0267A15: | 八百餘日にして。三萬日迄は生きぬ身なり。よし百歲 |
Z08_0267A16: | の命にもせよ。よくかぞへてみれば。わづかの間なり。 |
Z08_0267A17: | 十四五までは物のわきまへもなし。八十になれば。老 |
Z08_0267A18: | にほれて世にあるかひなし。その外たしかなる月日 |
Z08_0267A19: | は。四十年ほど有。その四十年も。夜はねいりて。死人 |
Z08_0267A20: | のごとくなれば。又半分をすて〻。のこるところは廿 |
Z08_0267B01: | 年ばかりの事也。その廿年の中に。わが病にくるしみ。 |
Z08_0267B02: | 人の禍にか〻り。よろこびごとに日をついやし。惡事 |
Z08_0267B03: | に夜をあかし。一月の內に。口を開てうちわらふ日は |
Z08_0267B04: | 四五日にはすぎずといへり。此事くはしく增一阿含 |
Z08_0267B05: | 經。五王經などに有。古人ノ詩ニ云ク。人壽百歲七十稀ナリ。 |
Z08_0267B06: | 一分ハ衰老一分ハ癡。中間二十餘年ノ〓事。幾多カ歡樂〓幾 |
Z08_0267B07: | 多カ悲ム。明惠上人此心を。いときなくおひてよはら |
Z08_0267B08: | ぬさかりには。まきらはしくてつゐにくらしつ。●(二 |
Z08_0267B09: | 一二)何のおもしろき事もなき世なり。●(二一三)たか |
Z08_0267B10: | きもいやしきも。心に物のかなはぬ世なり。●(二一四) |
Z08_0267B11: | か〻づらふとは。か〻わる事也。幻の卷にも此詞有。世 |
Z08_0267B12: | にか〻はりゐてなり。●(二一五)そこらはおほき事也。 |
Z08_0267B13: | 若干の字を。日本紀に。そこらと訓す。家隆の歌に。あ |
Z08_0267B14: | ら玉のとしのいくとせけふくれて。そこらの人の身 |
Z08_0267B15: | につもるらん。●(二一六)後の世のために。さりともと |
Z08_0267B16: | おもふ支度もせずして。むなしく此世のいとなみに。 |
Z08_0267B17: | 日をついやしたるは。みないたづらになしたる也。法 |
Z08_0267B18: | 然上人云。あるひは金谷の花をもてあそびて。遲々た |
Z08_0267B19: | る春の日をむなしく〻らし。あるひは南樓に月をあ |
Z08_0267B20: | ざけりて。漫々たる秋の夜をいたづらにあかす。ある |