ウィンドウを閉じる

Z0390 父子相迎諺註 湛澄 画像

続浄の割書は、青字で小さく表示。

巻_頁段行 本文
Z08_0266A01: の世のおろかなる我等は。冥より冥に入て。いのらん
Z08_0266A02: とおもふこ〻ろざしもなし。これぞ。げに。聖はますま
Z08_0266A03: す聖にして。愚はます〱愚なり。かなしきかな。●(一
Z08_0266A04: 九九)前には無常を觀ずる德をのべたり。是は智者な
Z08_0266A05: れども。無常をしらぬは。佛法の本意にそむくことを
Z08_0266A06: あかす。智解より下は。摩訶止觀の文を用ひ給へり。止
Z08_0266A07: 。或出家人。智解溢。或精進滅。而𪜈
Z08_0266A08: 無常。諺可怜(ヲモシロ)ケレ𪜈シト。精進スレ𪜈
Z08_0266A09: 道心。此之謂也。末可怜精進。五媚道心。媚
Z08_0266A10: 好姿也。●(二〇〇)いかほど智慧ありて。佛法の義を解
Z08_0266A11: するとも。●(二〇一)みちてあるとも也。博學多才。觀解
Z08_0266A12: に不足なき也。●(二〇二)をほよそ佛法は。生死をはな
Z08_0266A13: れ。菩提にいらんためなり。無常を觀じ。修行せよとて
Z08_0266A14: ぞ。釋尊も御法をとき給ふなるに。今の世には。佛法を
Z08_0266A15: 藝能とし。智慧をくらべて。名利のなかだちとのみ。お
Z08_0266A16: もひあへり。されば智者はたとふにたらず。道者はま
Z08_0266A17: ことにうやまふべし。心あらん人。指を爰にそめざら
Z08_0266A18: んや。●(二〇三)道心あらば。まづこそ無常を觀ずべけ
Z08_0266A19: れ。佛法しりたるかほのみして。いかにして。生死をは
Z08_0266A20: なれんとは。おもひもよらぬにこそ。起信。楞嚴に。眼を
Z08_0266B01: さらす人も。いまだかならずしも無常をばしらず。淨
Z08_0266B02: 土の聖敎を。わきばさむともがらも。おほくは人にす
Z08_0266B03: ぐれ。世にしられて。名利をたのしませんとのみおも
Z08_0266B04: へり。あやまれるかな。釋尊の因位にも。智者學道にて
Z08_0266B05: はましまさず。半偈のために。身をなげし道心者にて
Z08_0266B06: こそ。まし〱しか。黑谷上人起請文の趣も。道心を專
Z08_0266B07: として。智解を。もちひざれとこそみえたれ。●(二〇四)
Z08_0266B08: 此事。止觀の末疏にも見あたり侍らず。こ〻かしこ。た
Z08_0266B09: づね侍りしに。たしかにしれる人なし。如空法師。台宗
Z08_0266B10: の碩學に傳る說に云。此ことむかしより。いろ〱說
Z08_0266B11: あれども。眉と眼と耳と鼻と口と。此いつ〻うるはし
Z08_0266B12: きを。五媚といふなり。又愚僧京都なる宗匠にたづね
Z08_0266B13: 侍りしは。後漢の梁冀が妻の孫壽。いつ〻の媚惑を
Z08_0266B14: なしたりし事を引て。いはゆる五媚は是なりといへ
Z08_0266B15: り。風俗通。愁眉者。細M(シテ)而曲折。啼粧者。薄
Z08_0266B16: 。墮馬髻者。側在一邊。折腰步者。足不
Z08_0266B17: 體下。齲齒笑者。若齒痛忻々云云。梁氏が家よ
Z08_0266B18: り始て。京都みなこれにならへり云云●(二〇五)はぢ
Z08_0266B19: しめらる〻也。●(二〇六)二人丸祕に片輪の字也。智解
Z08_0266B20: はありても。道心のなきは。面のみありて五の相なき

ウィンドウを閉じる