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Z0390 父子相迎諺註 湛澄 画像

続浄の割書は、青字で小さく表示。

巻_頁段行 本文
Z08_0265A01: 事なり。雨のしばしも。ふりやまぬことを。をやみなき
Z08_0265A02: 雨といふ。無小止とかくなり。風雅十七雜下に雨を題
Z08_0265A03: にて。つく〱とをもへはかなしかすならぬ。身をし
Z08_0265A04: る雨よをやみたにせよ。金葉集。大納言經信。ほと〻き
Z08_0265A05: す雲路にまよふこゑすなり。をやみたにせよ五月雨
Z08_0265A06: のそら。●(一八八)その身になりおほせたらば。●(一八
Z08_0265A07: 九)いかほどか。●(一九〇)世の中の人。いまに死ぬべ
Z08_0265A08: き身をわすれて。名利にしづむ有さまなり。●(一九一)
Z08_0265A09: はやく萬事をやめて。後の世の勤をせぬ事よと。もど
Z08_0265A10: かしうおもはるべし。げにつたなきわれらにも侍る
Z08_0265A11: かな。しみ〲と無常をおもひしらば。何のいさみあ
Z08_0265A12: りてか。此世をいとなまん。いづる息。引息をまたぬ
Z08_0265A13: 命を。さ〻へながら。いたづらに月日をおくる事よ。は
Z08_0265A14: づべし〱。かなしむべし〱。●(一九二)うき世のに
Z08_0265A15: ごりなく。いさぎよき心なり。ありがたや。かやうにつ
Z08_0265A16: ねにおもひとり給なり。向阿上人の御心の內。いかば
Z08_0265A17: かりいさぎよく。すみわたりて侍りけん。●(一九三)
Z08_0265A18: なんは。ことばのたすけなり。下知の詞うらやむべしと也とあり)●(一九四)
Z08_0265A19: これにすぎたる事あらじ。●(一九五)ありたきこ〻ろ
Z08_0265A20: 也。●(一九六)身の上の事を佛に申詞也。●(一九六)ね
Z08_0265B01: んごろにたのむ詞也。●(一九七)そ〻のかすとは。も
Z08_0265B02: よほしたつるやうの心也。唆の字なり。末つむにも此
Z08_0265B03: 詞有。宿善ある人は。をのづから道心有。又心かしこき
Z08_0265B04: 人は。道理を案じ。經釋をよみて道心をおこす。我等
Z08_0265B05: ごときものは。知識のをしへをき〻て。道心をもとむ
Z08_0265B06: べきに。天性こ〻ろつたなくして。なをうちおどろか
Z08_0265B07: ぬ身なれば。いかにせん。此うへは。佛の御はからひを
Z08_0265B08: たのみて。いさ〻かのこ〻ろざしをもおこすべし。此
Z08_0265B09: ほかには。なすべきやうなし。まづこ〻ろみに。神佛に
Z08_0265B10: いのりて見給へ。たしかにそのしるし侍るべし。それ
Z08_0265B11: 佛神の世にまします事は。衆生利益のためなり。その
Z08_0265B12: 利益にさま〱有。現世安穩は。神佛の御本意にあら
Z08_0265B13: ず。後生をいのる人を。第一本意としてよろこび給ふ。
Z08_0265B14: すでに。あなたよりす〻みて思召すことなるを。こな
Z08_0265B15: たよりねがひたてまつらんに。いかでかそのしるし
Z08_0265B16: なからめや。されば增賀は伊勢にまうで。道宿は初瀨
Z08_0265B17: にこもりて道心をいのり。法然上人。向阿上人は。眞如
Z08_0265B18: 堂。釋迦堂に參籠して。出離の道を祈給ひしかば。響の
Z08_0265B19: ごとく靈應まし〱き。あ〻。いにしへのかしこき人
Z08_0265B20: は。明より明に入て。神佛にさへいのり給へるに。いま

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