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Z0390 父子相迎諺註 湛澄 画像

続浄の割書は、青字で小さく表示。

巻_頁段行 本文
Z08_0264A01: 迄いくる身ぞ。久しからずして死ぬる身也。●(一七八)
Z08_0264A02: いかでかそれほどにといふ心。●(一七九)淸少納言
Z08_0264A03: が枕草子に。うちをかんも。人わろし。猶つかふもあ
Z08_0264A04: やにくなりと有は。人目のわろき心也。無常をおもは
Z08_0264A05: ば。人目をも。さのみかざるまじとの心か。○また。家も
Z08_0264A06: 人も。程なく死ぬべきものをとおもひながせば。人
Z08_0264A07: のわろさの。うらみもはる〻なり。續拾遺に。人の身
Z08_0264A08: も我身もむなしうつせみの。たかうき世とてね
Z08_0264A09: をはなくらん。●(一八〇)上は人のわろさ。是は
Z08_0264A10: 身のうへの事也。●(一八一)すぐれてよき事也。
Z08_0264A11: ●(一八二)やるかたとは。おもひのけぶりを。はらふ手
Z08_0264A12: だてなり。無常をおもへば。なげきもはれ。うれへも
Z08_0264A13: やむ也。新拾遺に。世のうきもいかばかりかはなげか
Z08_0264A14: れん。はかなきゆめとおもひなさずば。遠賀門院兵衛續千載
Z08_0264A15: に。巖敎。うきことも有はてぬ世とおもはすは。いつ
Z08_0264A16: をかきりに身をなけかまし。兼好の歌。うき事もしは
Z08_0264A17: しはかりの世の中を。いくほといとふ我身なるらん。
Z08_0264A18: 山家集。世の中のうきもうからすおもひとけは。あさ
Z08_0264A19: ちにむすふ露のしらたき。●(一八三)あつぱれと。ね
Z08_0264A20: がふ詞也。西行云。あはれふかき御法を。しるまでの心
Z08_0264B01: は侍らずとも。無常を。つねに心にわすれぬほどのこ
Z08_0264B02: ころざしの。佛のつけ給りて我身をさしはなちて。思
Z08_0264B03: をと▲めて。後の世のつと〻し侍らばや。閑居友にも
Z08_0264B04: 此こ〻ろあり。●(一八四)右に道理をつくし。證人ま
Z08_0264B05: でをしめしたるにも。しみ〲とおもひしらぬ人は。
Z08_0264B06: 佛の冥加をあふぎて發心すべし。●(一八五)一期とい
Z08_0264B07: ふに心有。人ごとにさしあたる事に感じて。しばらく
Z08_0264B08: 無常をおもへども。やがてうちわすれて常住になる
Z08_0264B09: なり。一期といへば。命あるかぎり。わすれぬ身とな
Z08_0264B10: らばやとなり。口には。たれも無常をかたれども。心
Z08_0264B11: におもひつかぬゆへ。心にわすれぬといふなり。兼好
Z08_0264B12: 。人はだ▲無常の。身にせまる事を。ひしと心にか
Z08_0264B13: けて。つかのまもわするまじきなり。○爰は念死なり。
Z08_0264B14: 下は念佛なり。○聖光上人の持言に云。安心起行の要
Z08_0264B15: は。念死念佛に有。いづる息。いる息を待ず。たすけ給
Z08_0264B16: へあみだほとけ。南無阿彌陀佛と云云。有本に。無常を
Z08_0264B17: わすれずと有。下の句に對して。をの字なきがよし。
Z08_0264B18: ●(一八六)心に無常をわするれば。口に念佛も〻のう
Z08_0264B19: きなり。心にひしと無常を念ずれば。はげまざるに申
Z08_0264B20: さる〻念佛なり。●(一八七)此をの字を。上へ付てよ
Z08_0264B21: むはわろし。をやまぬとは。念佛のしばらくもた〻ぬ

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