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Z0390 父子相迎諺註 湛澄 画像

続浄の割書は、青字で小さく表示。

巻_頁段行 本文
Z08_0263A01: いふをたのむべからず。●(一六五)なまものしりなり。
Z08_0263A02: 心の熟さぬ事也。●(一六六)わかなの卷に。なをしど
Z08_0263A03: ころもなくと有。新續古今。心海上人。世の中を夢そ
Z08_0263A04: とまては知なから。おとろきかたき身こそつらけれ。
Z08_0263A05: ●(一六七)せんかたもなく。もてあつかふ也。あはれ
Z08_0263A06: つたなきわ〓らかな。しらずばさてもやみぬべし。す
Z08_0263A07: でに無常をしりながら。後の世をなげかぬ事のはか
Z08_0263A08: なさよ。○右のごとく。をろかなる人は。直に死人を見
Z08_0263A09: て。無常をおもひしれとのいひかけにて。下へつ▲け
Z08_0263A10: たり。●(一六八)むかしも此ためし有。ことを引てす
Z08_0263A11: すむる也。是は求證人經と。法句經とに有ることなり。
Z08_0263A12: 法苑。弘決に引れ。榻鴫曉筆にも。か〻れたりと。その
Z08_0263A13: 心をとりて見やすきやうにしるし侍らん。むかし釋
Z08_0263A14: 尊。舍衛國にましませし時。ひとりの比丘。山田の細道.
Z08_0263A15: かきわけて。塚の間にいたる。朝にゆき夕にかよふ事。
Z08_0263A16: 日數つもりければ。小田の主いかりをなし。制してい
Z08_0263A17: はく。いかなる比丘ぞ。道業をば修せずして。常に家田
Z08_0263A18: にあそぶと。比丘云。われ人とあらそふ事有。證人をも
Z08_0263A19: とめんがために來れり。田主云。證人は誰人ぞ。比丘す
Z08_0263A20: なはち田主を得て。屍の狼藉して。鳥けだもの〻。つか
Z08_0263B01: みはめるを見せて。此もろ〱の鳥けだもの。これわ
Z08_0263B02: が證人なりと。田主そのゆへをとふ。比丘のいはく。わ
Z08_0263B03: れ案ずるに。萬の煩惱は心よりおこる。心は身の怨な
Z08_0263B04: り。さればつねに心の師となりて。心とあらそへども。
Z08_0263B05: 心われに從ひがたし。かれがひがみにあらそひかね
Z08_0263B06: て。爰に來りて證人をもとむといひければ。田主き〻
Z08_0263B07: て信を〻こし。涙にむせびぬ云云。今爰に略して記し
Z08_0263B08: たまへり。●(一六九)せんかたなさの事也。●(一七〇)
Z08_0263B09: かくのごとくにしてなりとも。無常をおもひしるべ
Z08_0263B10: き事也。十二頭陀の中に。塚間坐といふ事あり。それも
Z08_0263B11: 無常をしらんためなり。●(一七一)尤と同心したる
Z08_0263B12: 詞なり。●(一七二)死をおどろかぬ心なり。●(一七三)
Z08_0263B13: 心の師となりてをしへたきもの也。●(一七四)是は
Z08_0263B14: 無常をしりて德ある事をいふ也。●(一七四)世にす
Z08_0263B15: めば。いかる事あり。うらむこと有。ねがひ有。なげき
Z08_0263B16: あり。心に物のかなはぬゆへ。むねもわづらはしき也。
Z08_0263B17: 無常を切におもへば。望たゆるゆへに。大なるなぐさ
Z08_0263B18: みなり。新續古今。武子內親王。是もまたありてなき
Z08_0263B19: 世とおもふをそ。うき折ふしのなくさめにする。●
Z08_0263B20: (一七六)おもひはらふことばなり。●(一七七)いつ

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