浄土宗全書を検索する
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巻_頁段行 | 本文 |
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Z08_0262A01: | にせんかたなき事これにすぎす。文選ノ古詩ニ云ク。古 |
Z08_0262A02: | 墓ハ犁レテ爲リレ田ト。松柏ハ摧テ爲ルレ薪ト。つれ〲ニ云ク。おも |
Z08_0262A03: | ひいでてしのぶ人あらんほどこそあらめ。そも又ほ |
Z08_0262A04: | どなくうせて。聞つたふるばかりのすゑ〲は。あは |
Z08_0262A05: | れとやはおもふ。さるは。後とふわざもたえねれば。い |
Z08_0262A06: | づれの人と名をだにしらず。年々の春の草のみぞ。心 |
Z08_0262A07: | あらん人はあはれと見るべきを。はては嵐にむせび |
Z08_0262A08: | し松も。千とせをまたで薪にくだかれ。ふるきつかは。 |
Z08_0262A09: | すかれて田となりぬ。其かただに。なくなりぬるぞか |
Z08_0262A10: | なしき云云。いかにたれ〱も。心をしづめて右のこと |
Z08_0262A11: | はりを案じ給へ。とてもいたづらに野山の塵となる。 |
Z08_0262A12: | われ人の身なり。おなじくば。ほとけの道にすてねと |
Z08_0262A13: | おもひて。よろづの事をさしをき。後生の支度いそぎ |
Z08_0262A14: | たまひてよ。●(一五七)上に死後の事までいひをは |
Z08_0262A15: | りて。是より評してす〻めたり。是とは上の無常の事。 |
Z08_0262A16: | ●(一五八)をりは時なり。新古今に。つく〱とおも |
Z08_0262A17: | へはかなしいつまてか。人のあはれをよそにきくへ |
Z08_0262A18: | き。●(一五九)前にも有し詞也。人の心。いは木なら |
Z08_0262A19: | ぬゆへなり。●(一六〇)あはれにかなしき心。又あつ |
Z08_0262A20: | ぱれとおそる〻なり。●(一六一)わが身の死ぬる事 |
Z08_0262B01: | は。おもひもよらず。●(一六二)けしき也。げにつた |
Z08_0262B02: | なき人の心かな。目のまへに此本をよみても。あとな |
Z08_0262B03: | く人の上とのみおもへるにや。ひし〱と身にしむ |
Z08_0262B04: | 事なし。そのしるしには。禮拜も〻のうく。念佛も口 |
Z08_0262B05: | おもし。これ無常をひしと身にうけぬゆへなり。た▲ |
Z08_0262B06: | し。氣力のよわきゆへかとおもへば。名利の方には心 |
Z08_0262B07: | もまめなり。とかく道心のなきゆへなり。つたなしと |
Z08_0262B08: | も中々いはんかたなし。新續古今。和泉式部。き〻と |
Z08_0262B09: | きく人はなくなる世の中に。けふもわか身はすき |
Z08_0262B10: | んとやする。●(一六三)なんは助字也。(イ不知の詞なりとあり)● |
Z08_0262B11: | (一六四)たれとても。ことばのはしには無常をかたり |
Z08_0262B12: | て。よくしりたるがほなれども。心の底には油斷して。 |
Z08_0262B13: | 我身のしぬる事をしらず。眞實に無常をしれる人は。 |
Z08_0262B14: | 萬に執心すくなく。あながちにもとめず。たくはへず。 |
Z08_0262B15: | 心つねに淨土にありて。口に念佛たえぬもの也。新古 |
Z08_0262B16: | に慈圓師の歌。みな人のしりかほにしてしりぬかな。 |
Z08_0262B17: | かならすしぬるならひありとは。砂石集ニ云ク。口には |
Z08_0262B18: | 無常の道理をいひて。しりがほなれども。心には常住 |
Z08_0262B19: | の思に住して。百年のたくはへをまうく。無常をしる |
Z08_0262B20: | としらざるとは。執心の有と無とにわかれたり。口に |