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Z0390 父子相迎諺註 湛澄 画像

続浄の割書は、青字で小さく表示。

巻_頁段行 本文
Z08_0262A01: にせんかたなき事これにすぎす。文選古詩。古
Z08_0262A02: レテ。松柏。つれ〲。おも
Z08_0262A03: ひいでてしのぶ人あらんほどこそあらめ。そも又ほ
Z08_0262A04: どなくうせて。聞つたふるばかりのすゑ〲は。あは
Z08_0262A05: れとやはおもふ。さるは。後とふわざもたえねれば。い
Z08_0262A06: づれの人と名をだにしらず。年々の春の草のみぞ。心
Z08_0262A07: あらん人はあはれと見るべきを。はては嵐にむせび
Z08_0262A08: し松も。千とせをまたで薪にくだかれ。ふるきつかは。
Z08_0262A09: すかれて田となりぬ。其かただに。なくなりぬるぞか
Z08_0262A10: なしき云云。いかにたれ〱も。心をしづめて右のこと
Z08_0262A11: はりを案じ給へ。とてもいたづらに野山の塵となる。
Z08_0262A12: われ人の身なり。おなじくば。ほとけの道にすてねと
Z08_0262A13: おもひて。よろづの事をさしをき。後生の支度いそぎ
Z08_0262A14: たまひてよ。●(一五七)上に死後の事までいひをは
Z08_0262A15: りて。是より評してす〻めたり。是とは上の無常の事。
Z08_0262A16: ●(一五八)をりは時なり。新古今に。つく〱とおも
Z08_0262A17: へはかなしいつまてか。人のあはれをよそにきくへ
Z08_0262A18: き。●(一五九)前にも有し詞也。人の心。いは木なら
Z08_0262A19: ぬゆへなり。●(一六〇)あはれにかなしき心。又あつ
Z08_0262A20: ぱれとおそる〻なり。●(一六一)わが身の死ぬる事
Z08_0262B01: は。おもひもよらず。●(一六二)けしき也。げにつた
Z08_0262B02: なき人の心かな。目のまへに此本をよみても。あとな
Z08_0262B03: く人の上とのみおもへるにや。ひし〱と身にしむ
Z08_0262B04: 事なし。そのしるしには。禮拜も〻のうく。念佛も口
Z08_0262B05: おもし。これ無常をひしと身にうけぬゆへなり。た▲
Z08_0262B06: し。氣力のよわきゆへかとおもへば。名利の方には心
Z08_0262B07: もまめなり。とかく道心のなきゆへなり。つたなしと
Z08_0262B08: も中々いはんかたなし。新續古今。和泉式部。き〻と
Z08_0262B09: きく人はなくなる世の中に。けふもわか身はすき
Z08_0262B10: んとやする。●(一六三)なんは助字也。不知の詞なりとあり)
Z08_0262B11: (一六四)たれとても。ことばのはしには無常をかたり
Z08_0262B12: て。よくしりたるがほなれども。心の底には油斷して。
Z08_0262B13: 我身のしぬる事をしらず。眞實に無常をしれる人は。
Z08_0262B14: 萬に執心すくなく。あながちにもとめず。たくはへず。
Z08_0262B15: 心つねに淨土にありて。口に念佛たえぬもの也。新古
Z08_0262B16: に慈圓師の歌。みな人のしりかほにしてしりぬかな。
Z08_0262B17: かならすしぬるならひありとは。砂石集。口には
Z08_0262B18: 無常の道理をいひて。しりがほなれども。心には常住
Z08_0262B19: の思に住して。百年のたくはへをまうく。無常をしる
Z08_0262B20: としらざるとは。執心の有と無とにわかれたり。口に

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