浄土宗全書を検索する
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巻_頁段行 | 本文 |
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Z08_0261A01: | とか。有べき事なり。もし寫書のあやまりかといへり。 |
Z08_0261A02: | されども。きえたるといへば。みな消えうせたるにな |
Z08_0261A03: | るなり。かすかにとあるゆへ。此義は非なり。摠じて。な |
Z08_0261A04: | るといふ詞おほし。とひなる。いひなる。過なる。戀なる |
Z08_0261A05: | の類なり。●(一四九)新撰六帖。夫木集などにある。そ |
Z08_0261A06: | とばの歌。おもひあはせ侍る。されば古人も古碑無M(シテ)レ |
Z08_0261A07: | 字草芊々タリといひ。碑版無M(シテ)レ文荆棘深シともいへる。 |
Z08_0261A08: | ●(一五〇)かすかに見えしそとばまでも。●(一五一) |
Z08_0261A09: | あとかたもなく。●(一五二)西行云。ふるきそとば。 |
Z08_0261A10: | 霧に朽てかたぶきたてるさま。おもひ入て見侍れば。 |
Z08_0261A11: | す▲ろにあはれにも侍るかな。しばしは。名をばうづ |
Z08_0261A12: | まねども。それさへ。すえはてしなく。とぶらひきざ |
Z08_0261A13: | みしそとばも。あとかたなく。をなじ上につみあげて。 |
Z08_0261A14: | をなじ蕀が下に。うづみかさねて。やけばけぶりとの |
Z08_0261A15: | ぼり。うづめば土となるさま。身にしみて。あはれに侍 |
Z08_0261A16: | る。兼好云。からは。けうとき山の中におさめて。さる |
Z08_0261A17: | べき日ばかり。まうでつ〻みれば。ほどなくそとばも |
Z08_0261A18: | 苔むし。木葉ふりうづみて。夕の嵐。夜の月のみぞ。こ |
Z08_0261A19: | と〻ふよすがなりけり。●(一五三)是は樂天の文集 |
Z08_0261A20: | 第二にあり。續古詩の內の二句なり。此詩を賴基中納 |
Z08_0261B01: | 言の詠ぜられし事を。江帥の往生傳に載せられしよ |
Z08_0261B02: | り。あなたこなたに引て。人の口にも有る句なり。掩テレ |
Z08_0261B03: | 涙ヲ別レ二鄕里ヲ一。飃颻トM(シテ)將二遠ク行ント一。茫々タル緑野ノ中。春ハ |
Z08_0261B04: | 盡ス孤客ノ情。驅テレ馬ヲ上レハ二丘隴ヲ一。高低路不レ平ナラ。風吹二 |
Z08_0261B05: | 棠梨ノ花ヲ一。啼鳥時ニ一聲。古墓何ノ代ノ人ソ。不レ知姓ト與レ |
Z08_0261B06: | 名。化M(シテ)作M(シテ)二路傍ノ土ト一。年々春ノ草生ス。感M(シテ)レ彼ヲ忽自悟ル。 |
Z08_0261B07: | 我今何ソ營々ナル。此心は春の末つかた。古鄕をはなれて |
Z08_0261B08: | 遠き旅にをもむき。茫々たる野原に出て。馬に乘て丘 |
Z08_0261B09: | をのぼり。たかく。ひくき路をすぐれば。ふるき墓あま |
Z08_0261B10: | たあり。苔むし蘿おひて。何の代の人やらん。氏もしら |
Z08_0261B11: | ず。名もしらず。是もむかしは。はなやかなる人なるべ |
Z08_0261B12: | きに。いたく化して。路の傍の土となりて。いくとしか。 |
Z08_0261B13: | かくのごとく春の草のみ。おひかはるらん。古人をみ |
Z08_0261B14: | て家身をおもうに。此世の營もなにかせんとの心也。 |
Z08_0261B15: | 慈鎭和尙。此心をうづもれぬ名をだにきかぬ苔の下 |
Z08_0261B16: | に。いくたび草のおひかはるらん。又山家集に。なきあ |
Z08_0261B17: | とをたれとしらねと鳥邊山。をの〱すこき塚の夕 |
Z08_0261B18: | くれ。●(一五四)萬葉に口號の字也。●(一五五)定家。 |
Z08_0261B19: | ○身のはてを此世はかりと知てたに。はかなかるへ |
Z08_0261B20: | きのへのけふりを。●(一五六)此詞まへに註す。まこと |