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Z0390 父子相迎諺註 湛澄 画像

続浄の割書は、青字で小さく表示。

巻_頁段行 本文
Z08_0261A01: とか。有べき事なり。もし寫書のあやまりかといへり。
Z08_0261A02: されども。きえたるといへば。みな消えうせたるにな
Z08_0261A03: るなり。かすかにとあるゆへ。此義は非なり。摠じて。な
Z08_0261A04: るといふ詞おほし。とひなる。いひなる。過なる。戀なる
Z08_0261A05: の類なり。●(一四九)新撰六帖。夫木集などにある。そ
Z08_0261A06: とばの歌。おもひあはせ侍る。されば古人も古碑無M(シテ)
Z08_0261A07: 字草芊々タリといひ。碑版無M(シテ)文荆棘深ともいへる。
Z08_0261A08: ●(一五〇)かすかに見えしそとばまでも。●(一五一)
Z08_0261A09: あとかたもなく。●(一五二)西行云。ふるきそとば。
Z08_0261A10: 霧に朽てかたぶきたてるさま。おもひ入て見侍れば。
Z08_0261A11: す▲ろにあはれにも侍るかな。しばしは。名をばうづ
Z08_0261A12: まねども。それさへ。すえはてしなく。とぶらひきざ
Z08_0261A13: みしそとばも。あとかたなく。をなじ上につみあげて。
Z08_0261A14: をなじ蕀が下に。うづみかさねて。やけばけぶりとの
Z08_0261A15: ぼり。うづめば土となるさま。身にしみて。あはれに侍
Z08_0261A16: る。兼好云。からは。けうとき山の中におさめて。さる
Z08_0261A17: べき日ばかり。まうでつ〻みれば。ほどなくそとばも
Z08_0261A18: 苔むし。木葉ふりうづみて。夕の嵐。夜の月のみぞ。こ
Z08_0261A19: と〻ふよすがなりけり。●(一五三)是は樂天の文集
Z08_0261A20: 第二にあり。續古詩の內の二句なり。此詩を賴基中納
Z08_0261B01: 言の詠ぜられし事を。江帥の往生傳に載せられしよ
Z08_0261B02: り。あなたこなたに引て。人の口にも有る句なり。掩
Z08_0261B03: 鄕里。飃颻トM(シテ)ント。茫々タル緑野中。春
Z08_0261B04: 孤客情。驅レハ丘隴。高低路不ナラ。風吹
Z08_0261B05: 棠梨。啼鳥時一聲。古墓何。不知姓
Z08_0261B06: 名。化M(シテ)M(シテ)路傍。年々春草生。感M(シテ)忽自悟
Z08_0261B07: 我今何營々ナル。此心は春の末つかた。古鄕をはなれて
Z08_0261B08: 遠き旅にをもむき。茫々たる野原に出て。馬に乘て丘
Z08_0261B09: をのぼり。たかく。ひくき路をすぐれば。ふるき墓あま
Z08_0261B10: たあり。苔むし(ツタ)おひて。何の代の人やらん。氏もしら
Z08_0261B11: ず。名もしらず。是もむかしは。はなやかなる人なるべ
Z08_0261B12: きに。いたく化して。路の傍の土となりて。いくとしか。
Z08_0261B13: かくのごとく春の草のみ。おひかはるらん。古人をみ
Z08_0261B14: て家身をおもうに。此世の營もなにかせんとの心也。
Z08_0261B15: 慈鎭和尙。此心をうづもれぬ名をだにきかぬ苔の下
Z08_0261B16: に。いくたび草のおひかはるらん。又山家集に。なきあ
Z08_0261B17: とをたれとしらねと鳥邊山。をの〱すこき塚の夕
Z08_0261B18: くれ。●(一五四)萬葉に(クチ)(ズザミ)の字也。●(一五五)定家。
Z08_0261B19: ○身のはてを此世はかりと知てたに。はかなかるへ
Z08_0261B20: きのへのけふりを。●(一五六)此詞まへに註す。まこと

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