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Z0390 父子相迎諺註 湛澄 画像

続浄の割書は、青字で小さく表示。

巻_頁段行 本文
Z08_0260A01: むかし楚の襄王ときこえし君。陽臺といふ處に行幸
Z08_0260A02: したまひて。ひるやすみし。ねたまへる夢に。神女あ
Z08_0260A03: りて王にあひたり。わかれにのぞみていはく。われは
Z08_0260A04: 巫山の陽にあり。朝には行雲となり。暮には行雨とな
Z08_0260A05: らんとなん申ける。夢さめて心ぐるしくおぼして。か
Z08_0260A06: の神女をまつられけり。その廟を朝雲といふとぞ。此
Z08_0260A07: 事を劉禹錫。爲。今知。小侍從
Z08_0260A08: が歌。雲となり雨となりても身にそは〻。むなしきそ
Z08_0260A09: らをかたみとやみん。●(一三六)今は不知といふ詩
Z08_0260A10: の詞をうつす。萬葉に。去方の字をゆくゑと訓ず。是は
Z08_0260A11: 魂の事。次は形の事をいふ。●(一三七)是も。もろこし
Z08_0260A12: にて。死人をおくる處なり。東都の西にある山の名な
Z08_0260A13: り。都の北に舟岡山あるがことし。述征記。北邙
Z08_0260A14: 洛陽北邙嶺。靡&クル長阜。自榮陽。山連嶺脩M(シテ)
Z08_0260A15: 于東垣。●(一三八)むかしより此ごろまで埋
Z08_0260A16: し骸骨なり。●(一三九)對句なり。●(一四〇)前には
Z08_0260A17: 魂の事にて。いづ方へさるぞといひ。是は骨の事にて。
Z08_0260A18: いつ迄かのこるぞといふなり。いくばく時といふ詞
Z08_0260A19: なり。●(一四一)七女經。骨節支。解レハ灰
Z08_0260A20: 。智論。若則爲灰。在レハ則腐壞M(シテ)
Z08_0260B01: 。魏阮藉。良時忽一。身體爲土灰
Z08_0260B02: ●(一四二)五體の骨の。あとも。かたちもなきなり。明
Z08_0260B03: 賢阿闍梨云。かなしひかなや。いかなる山のふもと。い
Z08_0260B04: づれの野の中にすてられて。身分ところ〲に散在
Z08_0260B05: して。塵にならんとする。●(一四三)そのぬしこそな
Z08_0260B06: くなるとも。あとのしるしは。のこるべきことなるに。
Z08_0260B07: 骸骨のかたなきのみにあらず。墓もそとばも。ほどな
Z08_0260B08: く。たえはつるものぞとなり。●(一四四)はかのしる
Z08_0260B09: しに。名をかきてたてたるそとばなり。率都婆といふ
Z08_0260B10: は。天竺の語なり。此方には功德聚といふ。大日の三昧
Z08_0260B11: 耶形なり。光明眞言儀軌。奉-置率都婆。立-
Z08_0260B12: 父母墓處云云。なを子細ある事なり●(一四五)な
Z08_0260B13: き人の法名俗名をそとばに書くなり。亡者を廻向す
Z08_0260B14: るにも名をよぶなり。寶篋印呪經。稱亡者
Z08_0260B15: 神呪云云。●(一四六)文字まで見えず。そへは
Z08_0260B16: 副の字なり。つたかずら。そとばをまとひ。苔。五輪を封
Z08_0260B17: じて。字も見ゆべからず。●(一四七)雨にあたり。霧に
Z08_0260B18: 打たるれば。黑も落て見るかたなきなり。●(一四八)大
Z08_0260B19: かた消えてわづかにのこる事なり。當寺の藏本にも
Z08_0260B20: きえなると有。ある人。是は。きえたるとか。きえなん

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