浄土宗全書を検索する
AND検索:複数の検索語をスペースで区切って入力すると、前後2行中にそれらを全て含む箇所を検索します。
巻_頁段行 | 本文 |
---|---|
Z08_0260A01: | むかし楚の襄王ときこえし君。陽臺といふ處に行幸 |
Z08_0260A02: | したまひて。ひるやすみし。ねたまへる夢に。神女あ |
Z08_0260A03: | りて王にあひたり。わかれにのぞみていはく。われは |
Z08_0260A04: | 巫山の陽にあり。朝には行雲となり。暮には行雨とな |
Z08_0260A05: | らんとなん申ける。夢さめて心ぐるしくおぼして。か |
Z08_0260A06: | の神女をまつられけり。その廟を朝雲といふとぞ。此 |
Z08_0260A07: | 事を劉禹錫カ詩ニ云ク。爲リレ雨ト爲テレ雲ト。今ハ不トレ知。小侍從 |
Z08_0260A08: | が歌。雲となり雨となりても身にそは〻。むなしきそ |
Z08_0260A09: | らをかたみとやみん。●(一三六)今は不レ知といふ詩 |
Z08_0260A10: | の詞をうつす。萬葉に。去方の字をゆくゑと訓ず。是は |
Z08_0260A11: | 魂の事。次は形の事をいふ。●(一三七)是も。もろこし |
Z08_0260A12: | にて。死人をおくる處なり。東都の西にある山の名な |
Z08_0260A13: | り。都の北に舟岡山あるがことし。述征記ニ曰ク。北邙ハ |
Z08_0260A14: | 洛陽北ノ邙嶺。靡&クル長阜。自二榮陽一連ル。山連リ嶺脩M(シテ)。 |
Z08_0260A15: | 亙テ曁フ二于東垣ニ一。●(一三八)むかしより此ごろまで埋 |
Z08_0260A16: | し骸骨なり。●(一三九)對句なり。●(一四〇)前には |
Z08_0260A17: | 魂の事にて。いづ方へさるぞといひ。是は骨の事にて。 |
Z08_0260A18: | いつ迄かのこるぞといふなり。いくばく時といふ詞 |
Z08_0260A19: | なり。●(一四一)七女經ニ云ク。骨ノ節支。解レハ消テ爲ル二灰 |
Z08_0260A20: | 土ト一。智論ニ云ク。若シ投ハレ火ニ則爲リレ灰ト。在レハレ地ニ則腐壞M(シテ) |
Z08_0260B01: | 爲ルレ土ト。魏阮藉カ詩ニ云ク。良時忽一ヒ過テ。身體爲ル二土灰ト一。 |
Z08_0260B02: | ●(一四二)五體の骨の。あとも。かたちもなきなり。明 |
Z08_0260B03: | 賢阿闍梨云。かなしひかなや。いかなる山のふもと。い |
Z08_0260B04: | づれの野の中にすてられて。身分ところ〲に散在 |
Z08_0260B05: | して。塵にならんとする。●(一四三)そのぬしこそな |
Z08_0260B06: | くなるとも。あとのしるしは。のこるべきことなるに。 |
Z08_0260B07: | 骸骨のかたなきのみにあらず。墓もそとばも。ほどな |
Z08_0260B08: | く。たえはつるものぞとなり。●(一四四)はかのしる |
Z08_0260B09: | しに。名をかきてたてたるそとばなり。率都婆といふ |
Z08_0260B10: | は。天竺の語なり。此方には功德聚といふ。大日の三昧 |
Z08_0260B11: | 耶形なり。光明眞言ノ儀軌ニ云ク。奉下安二-置シ率都婆ヲ一。立中- |
Z08_0260B12: | 置シ父母ノ墓處ニ上云云。なを子細ある事なり●(一四五)な |
Z08_0260B13: | き人の法名俗名をそとばに書くなり。亡者を廻向す |
Z08_0260B14: | るにも名をよぶなり。寶篋印呪經ニ云ク。稱テ二亡者ノ名ヲ一。 |
Z08_0260B15: | 誦ヨ二上ノ神呪ヲ一云云。●(一四六)文字まで見えず。そへは |
Z08_0260B16: | 副の字なり。つたかずら。そとばをまとひ。苔。五輪を封 |
Z08_0260B17: | じて。字も見ゆべからず。●(一四七)雨にあたり。霧に |
Z08_0260B18: | 打たるれば。黑も落て見るかたなきなり。●(一四八)大 |
Z08_0260B19: | かた消えてわづかにのこる事なり。當寺の藏本にも |
Z08_0260B20: | きえなると有。ある人。是は。きえたるとか。きえなん |