浄土宗全書を検索する
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巻_頁段行 | 本文 |
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Z08_0256A01: | あり。住所をかへし時。わが妻をもとの家にわすれて |
Z08_0256A02: | おきぬ。それをこそ。天下の物わらひにはせしに。我身 |
Z08_0256A03: | の死ぬる事をわする〻は。をろかなりともいはんか |
Z08_0256A04: | たなし。●(八四)兼好云ク。老きたりて。はじめて道を行 |
Z08_0256A05: | ぜんとまつことなかれ。古づか。おほくはこれ少年の |
Z08_0256A06: | 人也。はからざるに病をうけて。忽に此世をさらんと |
Z08_0256A07: | する時にこそ。はじめてすぎぬるかたの。あやまれる |
Z08_0256A08: | 事はしらるなれ。その時くゆともかひあらんや。● |
Z08_0256A09: | (八五)寒山も。古墳多是少年人といひ。樂天も。少二於 |
Z08_0256A10: | 我ヨリ一者半爲ルレ土トといへり。げに此寺の墓をみるにも。 |
Z08_0256A11: | 童男童女のそとばのみぞをほき。いはんや。二十に |
Z08_0256A12: | あまり。三十にたらずして死ぬる人おほかり。●(八六) |
Z08_0256A13: | 前にをほくはといふをうけて。そのといへり。新古今。 |
Z08_0256A14: | 大僧正行尊。さためなきむかしかたりをかそうれは。 |
Z08_0256A15: | 我身も數に入ぬへきかな。われらは數ならぬ身なれ |
Z08_0256A16: | ば。餘の事にはもらさるれども。死ぬる數にはもる〻 |
Z08_0256A17: | 事なし。●(八七)又といふ詞なり。●(八八)はなは |
Z08_0256A18: | だの心なり。●(八九)つれ〲に云ク。わかきにもよ |
Z08_0256A19: | らず。つよきにもよらず。おもひがけぬは死期なり。け |
Z08_0256A20: | ふまでのがれきにけるは。ありがたき不思議なり。● |
Z08_0256B01: | (九〇)文殊の化身なり。天台山の寒巖といふ處に有 |
Z08_0256B02: | しゆへ。寒山子といふ。まことには。氏も名もなし。古 |
Z08_0256B03: | 鄕もしれず。つねにやぶれたる布の衣を著て。樺皮の |
Z08_0256B04: | 冠をいただき。大なる木屐をはき。國淸寺に來り。拾得 |
Z08_0256B05: | 菜滓の殘れる物を。竹筒に入てあたふれば。すなはち |
Z08_0256B06: | 負てさる。ある時は廊下にやすらひ。高く吟じてひと |
Z08_0256B07: | りうそぶく。寺僧。杖を以て逐へば。手を打てわらふ。語 |
Z08_0256B08: | に味あり。後に天台山の巖穴に入るに。その穴みづか |
Z08_0256B09: | ら閉ぢてふた〻びいでず。竹木石壁に詩を書き置た |
Z08_0256B10: | りしを。世の人。あがめ慕ひてうつしあつめ。寒山詩と |
Z08_0256B11: | なづくるもの也。●(九一)人の無常の事也。爰には五言 |
Z08_0256B12: | 八句の中の。一二五六の句を略して。三四七八の四句 |
Z08_0256B13: | を引き給へり。その詩ニ云ク。一ヒ向テ二寒山ニ一坐シ。淹留スルコト |
Z08_0256B14: | 三十年。昨來テ訪シ親友。太半入ル二黃泉ニ一。漸ク減スルコト如二 |
Z08_0256B15: | 殘燭ノ一。長ニ流テ似タリ二逝川ニ一。今朝對シテ二孤影ニ一。不レ覺涙雙 |
Z08_0256B16: | 懸ス。●(九二)きのふ迄たづね來りし人。●(九三)太半 |
Z08_0256B17: | とは。半分過の事也。漢書ノ註ニ云ク。分ツレ三ヲ之一ヲ爲ス二大 |
Z08_0256B18: | 半ト一。一ヲ爲ス二小半ト一。黃泉とは。左傳ノ註ニ云ク。天ハ玄ク地ハ |
Z08_0256B19: | 黃ナリ。泉ハ在リ二地中ニ一。故ニ言二黃泉ト一。●(九四)ひとりわが |
Z08_0256B20: | 身の影を見る也。●(九五)自他の無常を觀じて也。● |