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Z0390 父子相迎諺註 湛澄 画像

続浄の割書は、青字で小さく表示。

巻_頁段行 本文
Z08_0253A01: のみ身につもるらん。●(四〇)是は次に引たる古語の
Z08_0253A02: 心をふくみて書き給へり。●(四一)とめるも。まづし
Z08_0253A03: きも。たかきも。いやしきも。世のいとなみ。人のまじは
Z08_0253A04: り。その事しげければ。月日のたつもまぎれてわする
Z08_0253A05: るなり。●(四二)無常偈。人間怱々トシテ衆務
Z08_0253A06: 年分日夜ルコトヲ。大和物語に。物思ふとすくる
Z08_0253A07: 月日もしらぬまに。ことしもけふにくれぬとかきく。
Z08_0253A08: △次に引く詞は。唐の羅隱が詩句なり。頭註漁穩叢話後集第十八云。許彥周
Z08_0253A09: 詩話云。羅隱詩云。只知事逐眼前過。不覺老從頭上來。此殊有味云云。文字すこし相違す。是は
Z08_0253A10: 古風なり。四條大納言公任の和漢朗詠に。古章の句を。
Z08_0253A11: 一二字づ〻改て入る例もあり。郢曲などにも。本字を
Z08_0253A12: 改むることありとかや。源氏にも古詩の字を改て引
Z08_0253A13: り。故實なりとぞ。○さて是は水邊偶題の律詩なり。瀛
Z08_0253A14: 奎律髓の第三にあり。野水無M(シテ)情去回。水邊華好
Z08_0253A15: ニカ。唯知眼前コトヲ。不覺老
Z08_0253A16: コトヲ。窮似丘軻嘆息。達如周召亦塵埃。思-
Z08_0253A17: シテ何人。家邑先生最有才。●(四三)
Z08_0253A18: 目の前に萬の事のうつりかはるをのみ見るなり。●
Z08_0253A19: (四四)身の上に年のつもる事をしらぬなり。枕上の
Z08_0253A20: 二字。本には頭上とあり。頭の上より老の來るとは。白
Z08_0253B01: 髮の見ゆる事也。夜のまに。われしらず年のよる心也。
Z08_0253B02: 看枕の二字に心をつくべし。●(四五)いひをしゆる義
Z08_0253B03: なり。この詞を聞て。その理をしれとなり。悅目抄
Z08_0253B04: き〻しれと云は。こ〻をいはんとて。よそを云ふ事な
Z08_0253B05: り。●(四六)げにとは。右の詩をうけていふ。●かくと
Z08_0253B06: は。目のまへにかくのごとくなり。萬葉には是の字な
Z08_0253B07: り。●(四七)四季の轉變。目にふれて我をす〻む。はな
Z08_0253B08: やかなりしあたりは。人すまぬのらとなり。かはらぬ
Z08_0253B09: すみかは。人あらたまりぬ。こしかたをおもひつ▲く
Z08_0253B10: るに。處もかはり。人もかはり。よろこびしも。なげき
Z08_0253B11: しも。いまは。ほのかにして夢となりぬ。●(四八)潦倒
Z08_0253B12: の字をおちぶる〻と訓ず。文集。今江湖
Z08_0253B13: 倒翁。●(四九。五〇)なにとしてか。●我身もこれなり
Z08_0253B14: とおもふ事。新古今に。けふすきぬ命もしかとおとろ
Z08_0253B15: かす。いりあひのかねのこゑそかなしき。●(五一)思
Z08_0253B16: 准の字なり。おもひくらぶるなり。●(五二。五三)何と
Z08_0253B17: しても。●七叟の歌に。さかさまにとしもゆかなんと
Z08_0253B18: りもあへす。すくるよはひやともにかへると。●(五四)
Z08_0253B19: 是より上には。老のほどなき事を述て。生者必滅をあ
Z08_0253B20: かし。是より下には。死のすみやかなる事をいひて。老

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