ウィンドウを閉じる

Z0390 父子相迎諺註 湛澄 画像

続浄の割書は、青字で小さく表示。

巻_頁段行 本文
Z08_0251A01: きに。常ならぬ人の身なれば。いと▲といふ也。●(一〇)
Z08_0251A02: 無常なり。不定なり。しばらくも油斷すべきや。又此
Z08_0251A03: 身のあやうき事。風の前の燈にひとしく。水の上の泡
Z08_0251A04: に似たり。心地觀經。知-念ス〓〓危脆。●
Z08_0251A05: (一一)處といひ。身といひ。いかにしてのがれんや。●
Z08_0251A06: (一二)しばらく生きのびたりとも。終にはのがれがた
Z08_0251A07: し。●(一三)はつるといふが詮なり。六十をのがれ。七
Z08_0251A08: 十をのがる〻とも。のがれはてたるにはあらず。●
Z08_0251A09: (一四)ことはりのなきにまよふが凡夫の習にて。千
Z08_0251A10: 秋萬歲とのみおもひあへり。かの四仙の死を避しも。
Z08_0251A11: 終にはのがれざりき。寒山。誰
Z08_0251A12: 死。死事舊來均。●(一五)上に摠じてのがれがたき
Z08_0251A13: ことはりをさだめて。是より正しく無常を示すなり。
Z08_0251A14: ●(一六)凡そ人間の生は。上に線なく。下に根なし。む
Z08_0251A15: なしくうかぶこと。水の上の泡に似たり。又人世の定
Z08_0251A16: めなき事。うかべる雲のごとし。韵府。其
Z08_0251A17: ベルカ。其死スルカ。文集。浮生水上泡。●
Z08_0251A18: (一七)我身の上に引うけて。かへり見るといへり。●
Z08_0251A19: (一八)爰の老死の二字を標して。下に分て書きのべた
Z08_0251A20: り。老はやうやくいたるゆへ。程なくといひ。死は若き
Z08_0251B01: をもゆるさねば。すみやかといふ。かならず老て死ぬ
Z08_0251B02: る身なりとも。程なき事也。いはんや若くして死ぬべ
Z08_0251B03: きもしらず。とかくわづかの世としるべし。●(一九)
Z08_0251B04: 是は老も程なき事をいへり。月日のはやくすぐるこ
Z08_0251B05: と。足はやき馬のはしるを。物のすきまより。見るが
Z08_0251B06: 如し。莊子。天地無。人者有時。操
Z08_0251B07: 時之具。託無窮之間。忽然トシテコト騏驥之馳
Z08_0251B08: ルニ一レ𨻶也。新勅撰。源有房。程もなくひまゆく駒を
Z08_0251B09: 見てもなを。あはれ羊の步をそおもふ。●(二〇)是は
Z08_0251B10: 死もすみやかなりといふたとへなり。屠處の羊とて。
Z08_0251B11: 摩耶經に有ことなり。屠處とは。羊をきる處なり。羊を
Z08_0251B12: きらんとて。あゆませてゆくに。その足の。一足ごと
Z08_0251B13: に死ぬ〓方へ。ちかづくといふ心なり。人間の春をお
Z08_0251B14: くり。秋を待つは。みな死ぬる方へいそぐ道なり。幼も
Z08_0251B15: のの成人をよろこぶも。死ぬるかたへちかづくをよ
Z08_0251B16: ろこぶなり。羊は愚なる畜生なれば。人の心にたとへ
Z08_0251B17: ていふ也。摩耶經。譬如旃陀羅クニ
Z08_0251B18: 屠處。步々死地。人亦如。法句經。心
Z08_0251B19: 地觀經にも此事あり。あはた▲しとは。周章の字にて。
Z08_0251B20: とりあへぬ心なり。●(二一)年は人をまたねば。まて

ウィンドウを閉じる