浄土宗全書を検索する
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巻_頁段行 | 本文 |
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Z08_0251A01: | きに。常ならぬ人の身なれば。いと▲といふ也。●(一〇) |
Z08_0251A02: | 無常なり。不定なり。しばらくも油斷すべきや。又此 |
Z08_0251A03: | 身のあやうき事。風の前の燈にひとしく。水の上の泡 |
Z08_0251A04: | に似たり。心地觀經ニ云ク。知ルレ愛二-念ス〓〓危脆ノ身ヲ一。● |
Z08_0251A05: | (一一)處といひ。身といひ。いかにしてのがれんや。● |
Z08_0251A06: | (一二)しばらく生きのびたりとも。終にはのがれがた |
Z08_0251A07: | し。●(一三)はつるといふが詮なり。六十をのがれ。七 |
Z08_0251A08: | 十をのがる〻とも。のがれはてたるにはあらず。● |
Z08_0251A09: | (一四)ことはりのなきにまよふが凡夫の習にて。千 |
Z08_0251A10: | 秋萬歲とのみおもひあへり。かの四仙の死を避しも。 |
Z08_0251A11: | 終にはのがれざりき。寒山ノ詩ニ云ク。誰カ家カ長ク不ンレ |
Z08_0251A12: | 死。死ノ事舊來均シ。●(一五)上に摠じてのがれがたき |
Z08_0251A13: | ことはりをさだめて。是より正しく無常を示すなり。 |
Z08_0251A14: | ●(一六)凡そ人間の生は。上に線なく。下に根なし。む |
Z08_0251A15: | なしくうかぶこと。水の上の泡に似たり。又人世の定 |
Z08_0251A16: | めなき事。うかべる雲のごとし。韵府ニ云ク。其ノ生ハ若クレ |
Z08_0251A17: | 浮ベルカ。其死ハ若シレ休スルカ。文集ニ云ク。浮生ハ水上ノ泡。● |
Z08_0251A18: | (一七)我身の上に引うけて。かへり見るといへり。● |
Z08_0251A19: | (一八)爰の老死の二字を標して。下に分て書きのべた |
Z08_0251A20: | り。老はやうやくいたるゆへ。程なくといひ。死は若き |
Z08_0251B01: | をもゆるさねば。すみやかといふ。かならず老て死ぬ |
Z08_0251B02: | る身なりとも。程なき事也。いはんや若くして死ぬべ |
Z08_0251B03: | きもしらず。とかくわづかの世としるべし。●(一九) |
Z08_0251B04: | 是は老も程なき事をいへり。月日のはやくすぐるこ |
Z08_0251B05: | と。足はやき馬のはしるを。物のすきまより。見るが |
Z08_0251B06: | 如し。莊子ニ云ク。天ト與ハレ地無レ窮リ。人ノ死ハ者有レ時。操テ二 |
Z08_0251B07: | 有レ時之具ヲ一。託ス二無窮之間ニ一。忽然トシテ無レ異コト二騏驥之馳テ |
Z08_0251B08: | 過ルニ一レ𨻶ヲ也。新勅撰。源ノ有房。程もなくひまゆく駒を |
Z08_0251B09: | 見てもなを。あはれ羊の步をそおもふ。●(二〇)是は |
Z08_0251B10: | 死もすみやかなりといふたとへなり。屠處の羊とて。 |
Z08_0251B11: | 摩耶經に有ことなり。屠處とは。羊をきる處なり。羊を |
Z08_0251B12: | きらんとて。あゆませてゆくに。その足の。一足ごと |
Z08_0251B13: | に死ぬ〓方へ。ちかづくといふ心なり。人間の春をお |
Z08_0251B14: | くり。秋を待つは。みな死ぬる方へいそぐ道なり。幼も |
Z08_0251B15: | のの成人をよろこぶも。死ぬるかたへちかづくをよ |
Z08_0251B16: | ろこぶなり。羊は愚なる畜生なれば。人の心にたとへ |
Z08_0251B17: | ていふ也。摩耶經ノ偈ニ云ク。譬如下旃陀羅ノ驅テレ羊ヲ就クニ二 |
Z08_0251B18: | 屠處ニ一。步々ニ近カ中死地ニ上。人ノ命モ亦如レ是ノ。法句經。心 |
Z08_0251B19: | 地觀經にも此事あり。あはた▲しとは。周章の字にて。 |
Z08_0251B20: | とりあへぬ心なり。●(二一)年は人をまたねば。まて |