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Z0390 父子相迎諺註 湛澄 画像

続浄の割書は、青字で小さく表示。

巻_頁段行 本文
Z08_0239A01: 是心ヲシテ自在。●(三五四、三五五)いろ〱望のおこ
Z08_0239A02: る心也。○菩提心論。妄心若ラハ。知而莫フヿ
Z08_0239A03: ●(三五六、三五七)何の用にた〻ぬ事におもふ也。○此樣
Z08_0239A04: にして。●(三五八)いづくへ。いかやうに行めぐると
Z08_0239A05: も。●(三五九)流浪する事也。日本紀。流離の字を訓
Z08_0239A06: す。江匡房の歌に。さすらふか身はさためたる方もな
Z08_0239A07: し。うきたか舟の波にまかせて。●(三六〇)心の根ざ
Z08_0239A08: したえぬれば。末のわづらひはあるべくもなし。是よ
Z08_0239A09: り下には。一旦名利を捨たりとも。心は緣に引れてう
Z08_0239A10: つるものなれば。なを〱。とをく世をたちさりて。よ
Z08_0239A11: き事をしめす也。●(三六一)是は聖人などの上の事な
Z08_0239A12: り。凡夫は是を學びがたし。ひとへに世をもてはなれ
Z08_0239A13: ず。俗に混じて塵にけがれず。●(三六二)浮雲の風に
Z08_0239A14: なびくがごとく。無著にしてふるまふなり。●(三六三)
Z08_0239A15: 水の器に隨て。方圓なるがごとく。無心にして物に應
Z08_0239A16: ずる也。○此は樂天の語を用ひ給へり。然に初の句は。
Z08_0239A17: 其身を雲にすと有べき事也。按ずるに。對句の爲なる
Z08_0239A18: べし。前に世の字ふたつ有ゆへ。心の字を二にして對
Z08_0239A19: し給へるならん。文集六十九碑銘序。若有人。
Z08_0239A20: モニ一代。彼。我。不
Z08_0239B01: トセ。不自汙。不巢許ニモ。不伊呂ニモ。水ニシ其心
Z08_0239B02: ニス其身。浮沈消息。無キハクトM(シテ)而不自得者。非
Z08_0239B03: 乎。この文を引て。後光明峰寺攝政。身をは雲こ〻
Z08_0239B04: ろは水になしつれは。世をも人をもうらみさりけり。
Z08_0239B05: ●(三六四)王康琚。小隱陵藪。大隱
Z08_0239B06: 朝市。伯夷竄首陽。老聃伏柱史。續給遺。圓經の歌
Z08_0239B07: に。世をいとふ心はさてもすきぬへし。かならす山の
Z08_0239B08: 奧ならすとも。●(三六五、三六六)評の詞也。○心にさ
Z08_0239B09: とりある人也。●(三六七、三六八、三六九)おこなふ事也。
Z08_0239B10: 行迹の字也。○日本紀に行の字也。○鈍の字なり。か
Z08_0239B11: しこからぬなり。●(三七〇、三七一)朝市にありて名利
Z08_0239B12: の塵緣にあふなり。○いかさま凡夫なれば。●(三七二)
Z08_0239B13: 是は往生要集を引き給へり。心は緣に引れて。善惡に
Z08_0239B14: うつるといふ現證也。むかし。華氏國の王に。しろき𧰼
Z08_0239B15: あり。罪をおかす者あれば。此𧰼をかくるに。害せず
Z08_0239B16: といふ事なし。ある時。火事ありて𧰼をつなぐ處やけ
Z08_0239B17: ぬ。かの𧰼をうつして寺の邊にをくに。僧の經をよむ
Z08_0239B18: を聞しほどに。𧰼の心いつしか柔になりて。罪人にか
Z08_0239B19: くれども。舌をもて舐て。つや〱ころす心なし。そ
Z08_0239B20: の後また。牛馬などを切り割くあたりへうつしたれ

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