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Z0390 父子相迎諺註 湛澄 画像

続浄の割書は、青字で小さく表示。

巻_頁段行 本文
Z08_0238A01: 也。○あなどる也。●(三四〇)我身にきずをつけし世
Z08_0238A02: に。そしられぬやうにとおもふ心は。やがて名聞な
Z08_0238A03: り。●(三四一)勸心往生論に。有しやうに閻魔の呵責。
Z08_0238A04: 獄卒の杖をうけん時。賢聖冥衆のみるところ。大なる
Z08_0238A05: 恥にあらずや。●(三四二)此世をすつるといへば。損
Z08_0238A06: をするに似たれども。未來の樂をおもへば。大なる得
Z08_0238A07: なり。さればすつるといふもすてぬゆへなり。此世を
Z08_0238A08: すてぬは。未來をすつる也。解脫上人云。實ント
Z08_0238A09: 此身。勿ヿフ此身。早。以助此身。詞
Z08_0238A10: 花集。よみ人しらず。身をすつる人はまことにすつる
Z08_0238A11: かは。すてぬ人こそすつるなりけれ。玉葉集。西行。お
Z08_0238A12: しむとておしまれぬへき此世かは。身をすて〻こそ
Z08_0238A13: 身をもたすけめ。●(三四三)此身をすてぬは。此世ば
Z08_0238A14: かりのたのしみ也。世をすつる人は。此世もひまにて
Z08_0238A15: 心やすく。後の世にまた大なるたのしみあり。はたと
Z08_0238A16: は又也。○此處は源氏を用ひ給へり。柳の卷に。此世も
Z08_0238A17: つれ〲ならず。後の世はた。たのもしげなりと有。●
Z08_0238A18: (三四四)これは空也上人の一言也。千觀內供。ある時四
Z08_0238A19: 條河原にて。空也上人にあひ給ひて。いかにしてか後
Z08_0238A20: 世たすかる事は。仕るべきと〻ひ給ひけるに。いかに
Z08_0238B01: も身を捨てこそ。とばかりいひて行き過ぎ給ひにけ
Z08_0238B02: り。くはしく蓮胤の發心集に有。ひろくまなびても。つ
Z08_0238B03: ▲まやかにしる事なれば要なし。古德。一言芳談をあ
Z08_0238B04: つめられしも。心あるしはざなるべし。法句經。雖
Z08_0238B05: スト一レ。不ンハ。解ス𪜈法句。行セハ
Z08_0238B06: 。●(三四五)右の空也上人の詞をいへり。摠じて
Z08_0238B07: 世を捨といふがよき事ぞとなり。●(三四六)まことの
Z08_0238B08: 道は菩提也。のりとは道の緣語也。●(三四七)たれも。
Z08_0238B09: 空也千觀の跡はまなびがたし。●(三四八)新古今。荒
Z08_0238B10: 木田長延。つくつくとをもへはやすき世の中を。心
Z08_0238B11: となけく我身なりけり。向師の歌に。をなし世を心ひ
Z08_0238B12: とつにすみかへて。すつれはやすきわか身なりけり。
Z08_0238B13: ●(三四九、三五〇)すてじとするゆへ也。○右段々の所詮
Z08_0238B14: 也。●(三五一)心を根として名利のわづらひおこる也。
Z08_0238B15: 。心。又云。心人毒。●(三五二)
Z08_0238B16: 愚人の境をすてんとするは。犬の塊を逐ふに似たり。
Z08_0238B17: 智者の心をすつるは。獅子の人を逐ふがごとし。續古
Z08_0238B18: 今。隆衡。奧山に身をはのかれぬあはれ又。心をすつる
Z08_0238B19: 道をしらはや。●(三五三)心の師となりて。惡念を取立
Z08_0238B20: てぬ事なり。寶雲經。心相大患之本ナリ。不

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