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Z0390 父子相迎諺註 湛澄 画像

続浄の割書は、青字で小さく表示。

巻_頁段行 本文
Z08_0233A01: の苦をかさねて也。●(二二六)衣食の苦の。のがれがた
Z08_0233A02: き事をいひて。先づ一段を結ぶ也。●(二二七)雲を身に
Z08_0233A03: 著ること也。仙人のごどく雲を著物とせば。衣の苦も
Z08_0233A04: あるまじきと也。文選。雲裝信。雲
Z08_0233A05: 。仙人以雲霓也。又熊孺登。來
Z08_0233A06: 玉女裁春服。剪-破湘山幾片雲。●(二二八)風をのむ
Z08_0233A07: 事也。仙人のごとく風を飮て命をつながば。食をもと
Z08_0233A08: むる累はあらじと也。すきてとは。食の字也。のみいる
Z08_0233A09: こと也。あげまきに。松の葉をすきてと有。莊子。藐
Z08_0233A10: 姑射之山神人。不五穀。吸。列子
Z08_0233A11: にも此事有。●(二二九)衣食につかはれて。しづかなる
Z08_0233A12: いとまなく。一生を雜事の小節にくるしむこそおろ
Z08_0233A13: かなれ。たうれふすとはたをれふすなり。●(二三〇)是
Z08_0233A14: は心からの苦のをもる事を云ふ。●(二三一)衣食の二
Z08_0233A15: なり。●(二三二)字は子思。魯國に生て。孔子の門人な
Z08_0233A16: り。淸貧にしてつ▲りを著たること。樂天の句に見ゆ。
Z08_0233A17: ●(二三三)百結と書て。も〻つ▲りとよむなり。いくつ
Z08_0233A18: もつぎあつめたる衣裳の事なり。逸士傳。晉
Z08_0233A19: 京在洛陽。隱-居白社。以殘絮縷帛。號
Z08_0233A20: 結衣。杜甫が詩に。妻子衣百結と有もこれなり。●
Z08_0233B01: (二三四)孔子の弟子顏淵なり。亞聖といはれて心かし
Z08_0233B02: こく。才すぐれたりしかども。身まづしき事類なかり
Z08_0233B03: けり。●(二三五)一瓢と書くなり。瓢はなりひさごなり。
Z08_0233B04: 用て水をくむ物なり。顏回まづしくして。食物はMに
Z08_0233B05: ひとつ。飮物は瓢にひとつのみ有けり。孔子此人をほ
Z08_0233B06: めて。一瓢の飮。一簞の食には過ずして。陋巷にあれど
Z08_0233B07: もその樂を改ずと。の給ひし事論語にあり。○右の原
Z08_0233B08: 憲より下は。樂天の句を用ひ給へり。文集第五。原
Z08_0233B09: 衣百結。顏子食一簞。すべて如此に本文をふくみ
Z08_0233B10: たる處おほし。猶かんがへ見るべし。●(二三六)それに
Z08_0233B11: て不足なきなり。兼好云。紙の衾。あさの衣。一鉢のま
Z08_0233B12: うけ。あかざのあつもの。いくばくか人の費をなさん。
Z08_0233B13: 求むるもやすく。其心はやくたりぬべし。●(二三七)
Z08_0233B14: をのが身の分に過てこのむなり。●(二三八)以
Z08_0233B15: スルヲ孝經註疏道をもて處るときは。その衣を
Z08_0233B16: 草にし。その食を木にしても晏然として自得すべし。
Z08_0233B17: 道なきゆへに足ることをしらぬなり。●(二三九)おも
Z08_0233B18: ふやうになき事なり。足ることをしらぬ人は。何をし
Z08_0233B19: ても。おもふやうになきものなり。定家卿の歌に。秋
Z08_0233B20: とたにわすれんとおもふ月かけを。さもあやにくに

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