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Z0390 父子相迎諺註 湛澄 画像

続浄の割書は、青字で小さく表示。

巻_頁段行 本文
Z08_0231A01: 名利等の枝葉しげし。六道講式。有身有苦。有
Z08_0231A02: 心有憂。八大人覺經。心是惡ナリ。形
Z08_0231A03: 。●(一九五)是を四苦と云ふ。●(一九六)是は摠標。●
Z08_0231A04: (一九七)思惑の四なり。摠じて示す。●(一九八)胎內より
Z08_0231A05: いづる時のくるしみ。身の肉をけづるほど也。はじめ
Z08_0231A06: て生れ落たる身に。すこしも物のさはる事あれば。活
Z08_0231A07: ながら牛の皮をはぎて。壁にをしふる〻が如し。風の
Z08_0231A08: 身にしむこと。生たる龜の甲を脫がごとしと經釋
Z08_0231A09: にみえたり。智論。生時迫迮M(シテ)。骨肉如。冷風
Z08_0231A10: レハ。甚於劍戟ヨリモ。いはんや橫に生れ。逆に生る
Z08_0231A11: 苦をや。●(一九九)うまる〻とひとしく。なくにてしり
Z08_0231A12: ぬ。いたみ。くるしむ事有といふ事を。五王經。生
Z08_0231A13: ルニ。身體細軟ニM(シテ)。草觸ルニ。如ナレハ
Z08_0231A14: 。失M(シテ)。●(二〇〇)稚の字也。おさなき事也。
Z08_0231A15: 前にも出たり。●(二〇一)是顛倒也。た▲し產の時。母の
Z08_0231A16: くるしむにて。うまる〻子のくるしさを。おもひやる
Z08_0231A17: べし。●(二〇二)水火風の三大。支節に觸て死する苦な
Z08_0231A18: り。是を斷末摩の苦といふ。顯宗論に。人の心を傷し。害
Z08_0231A19: したるもの。臨終に。斷末摩の苦ありといへり。●(二〇
Z08_0231A20: 三)かの斷末摩の事也。つぎめは支節なり。たつは斷の
Z08_0231B01: 字なり。古人云。外則脚手牽抽。內肝腸痛裂。●
Z08_0231B02: (二〇四)死する人。みづから苦痛に堪がたくして。いか
Z08_0231B03: がせんとかなしみ。息をついでさけぶなり。正法念經
Z08_0231B04: 。若風大不レハ調。一切身分。相互割裂。從足至
Z08_0231B05: 。分散スルヿ。苦痛難忍。●(二〇五)神は冥途へゆ
Z08_0231B06: きて。その苦をかたらず。●(二〇六)いかさまにして死
Z08_0231B07: すとも。命のきる〻ほどなる苦なれば。言葉にものべ
Z08_0231B08: 難し。身の內のくるしさ。外へさほどは見えぬゆへ。妻
Z08_0231B09: 子も大かたの事とおもへり。おもひのほかの苦痛な
Z08_0231B10: るべし。古人云。縱使妻兒相𪜈。無ルニ。假
Z08_0231B11: 饒骨肉滿𪜈。有ルヿ一レ。生底只得悲啼痛
Z08_0231B12: 。死神識奔馳スルヿヲ。●(二〇七)地水火
Z08_0231B13: 風の增減によりて。四百四病の品あり。いかなる病も
Z08_0231B14: 苦にあらずといふことなし。●(二〇八)生を貪る心ふ
Z08_0231B15: かきゆへ也。是も例の顛倒也。●(二〇九)頭は雪とな
Z08_0231B16: り。身は鷄皮となり。肉おち。骨あらはれて。眼かすみ
Z08_0231B17: 耳とをし。氣あへぎ。聲わな〻き。手ふるひ。腰か▲ま
Z08_0231B18: る。鳩の杖にすがり。孫の肩にか〻り。いさ〻かたすか
Z08_0231B19: るおもひをなす。わか〻りしむかしは。世にもてなさ
Z08_0231B20: れ。おひぬる今は。人にいとはる。したしきものをさき

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