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Z0390 父子相迎諺註 湛澄 画像

続浄の割書は、青字で小さく表示。

巻_頁段行 本文
Z08_0230A01: たるなり。それにまふは。物にくるふなり。●(一七五)地
Z08_0230A02: 獄餓鬼畜生を三途といふなり。みづから罪をつくり
Z08_0230A03: しゆへ。いなとあらそひがたし。●(一七六)女の事也。●
Z08_0230A04: (一七七)のがれえぬ事也。日本紀に。敢不去の字を訓ず。
Z08_0230A05: 夢の浮橋に。えさらぬ事も數そひてとあり。●(一七八)
Z08_0230A06: ほだしとは。かけと▲めらる〻心也。八雲御抄に。物の
Z08_0230A07: はなれがたき事をいふなりと有。色をこのみては。そ
Z08_0230A08: の愛のはなれがたき事。ほだしをさ〻れたるがごと
Z08_0230A09: し。順和名に。鋜の字をかなほだしと訓ず。鏁
Z08_0230A10: なり。絆の字をも。ほだしと訓ず。古今に。世のうきめ見
Z08_0230A11: えぬ山ぢへいらんには。おもふ人こそほだし也けれ。
Z08_0230A12: ●(一七九)一生の微樂にふけりて。永劫の大苦をうく
Z08_0230A13: べし。●(一八〇)是一章の摠結。●(一八一)はやく不淨を
Z08_0230A14: 淨とまよひし事を翻せとなり。●(一八二)八苦の內に。
Z08_0230A15: 生老病死の苦と。求不得等をあそばしたり。●(一八三)
Z08_0230A16: 是も一章の摠標なり●(一四八)是は法華經の文に。欲
Z08_0230A17: 界色界無色界の內は。いづくに生れても。苦のなき處
Z08_0230A18: なし。諸の苦にせめらる。たとへば火の付たる宅の內
Z08_0230A19: にあれば。奧も端もあつきがごとし。六道の形。いづれ
Z08_0230A20: も苦なり。○三界をいとひて。淨土をねがへとの勸な
Z08_0230B01: れば。先づ摠じて三界の事をいふなり。●(一八五)いづ
Z08_0230B02: く也。廿五有の間をさす。萬葉に。何處の字也。●(一八六)
Z08_0230B03: 氣をゆるめて。●(一八七)河海に。緩の字にてのどかな
Z08_0230B04: る心なりと有。ゆる〱としたるなり。●(一八八)下卷
Z08_0230B05: に云。地獄は。劇苦ひまなくしてひさし。鬼畜は。苦報を
Z08_0230B06: もくしていやし。人間には八苦のけぶりたらず。天上
Z08_0230B07: には五衰の露かはかず。三界みな苦にして。いづくも
Z08_0230B08: やすき事なかりき。●(一八九)六道は事おほきゆへ。ち
Z08_0230B09: かく人間をいへり。○心の內。のどかならぬ事也。歌に。
Z08_0230B10: いまさらに春をわする〻花もあらし。おもひのとめ
Z08_0230B11: てけふもくらさん。忠岑の歌に。心のとけき人はあら
Z08_0230B12: しな。●(一九〇)心に有を憂といひ。身に有を苦といふ。
Z08_0230B13: ●(一九一)心と身とは木の根のごとく。憂と苦とは枝
Z08_0230B14: 葉のごとし。●(一九二)憂苦の枝葉。微細多端にして筆
Z08_0230B15: も及びがたし。爰は心地觀經に依り給へり。其文
Z08_0230B16: 。餘苦枝葉已上●(一九三)憂苦はな
Z08_0230B17: にゆへぞといふて見れば也。螢に。いひもてゆけば。ひ
Z08_0230B18: とつむねにありてと有。●(一九四)是より末まで。身と
Z08_0230B19: 心をわけて書きのべたる也。身を根として。四苦を莖
Z08_0230B20: とし。衣食等の枝葉しげし。心を根とし。四惑を莖とし。

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