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Z0390 父子相迎諺註 湛澄 画像

続浄の割書は、青字で小さく表示。

巻_頁段行 本文
Z08_0217A01: つしかなるこ〻ろがはりかな。(一四二)戀んなみだの
Z08_0217A02: いろは。榮華物語鳥部野卷ニ此歌ノ事アリ。おもひをく心のみしほれて。
Z08_0217A03: (一四三)野ばらの露ほども。(一四四)こけのした(苔下)
Z08_0217A04: までは。か〻らぬなさけなりけりと。(一四五)かばね。
Z08_0217A05: (一四六)もしたもとにすがりてなきを(居)らば。なつ
Z08_0217A06: かしかりしなごりともなく。(一四七)いか▲(一四八)
Z08_0217A07: 身のけもよだちて(一四九)をそろしからむ。(一五〇)
Z08_0217A08: 先賢の(一五一)紅粉(一五二)翠黛は。(一五三)た▲うす
Z08_0217A09: きかはをいろど(彩)り。男女の婬樂は。たがひにくさ
Z08_0217A10: きかばねをいだくといひけんも。いまこそ思あはす
Z08_0217A11: べけれ。(一五四)いきても。し(死)にても。おなじ不淨
Z08_0217A12: なるに。(一五五)などか(一五六)なま(生)しきを(一五
Z08_0217A13: 七)愛し。か(死)れたるをにくむ。(一五八)樵夫の(一
Z08_0217A14: 五九)みちをゆくとて。さ(暴)れたるかうべ(髑髏)を
Z08_0217A15: (一六〇)みて。いゑに(一六一)ゆきて。をのがめ(己妻)
Z08_0217A16: の(一六二)かしらをさぐりて。すこしもたがはずと。
Z08_0217A17: (一六三)ひとりごち(獨言)けるが。(一六四)ふつ(都)に
Z08_0217A18: (一六五)おもひすてにけるは。うらやましき心もちな
Z08_0217A19: り。(一六六)あはれなど。(一六七)われも人も。か〻る心
Z08_0217A20: のおこらざるらん。(一六八)さしもほとけの。(一六九)汝
Z08_0217B01: 等勿臭屍スヿ。種々不淨とはぢ
Z08_0217B02: しめ給へるに。せめては我身ばかりをこそ。か〻へも
Z08_0217B03: ふさめ。(一七〇)あたりさびしとなげくまでは。(一七一)
Z08_0217B04: あまりうたてきまよひざまなり。(一七二)されば善導
Z08_0217B05: 大師は。(一七三)(クルハ)サレテ(ツヽムニ)驢骨。(一七四)三
Z08_0217B06: 自入爭との給へり。(一七五)げに。たがはぬ
Z08_0217B07: 馬のほねに。人のかわ(は)をきせたらんぞかし。これ
Z08_0217B08: を(一七六)えさらぬ(敢不去)(一七七)ほだしとして。(一七八)
Z08_0217B09: いかにぞ。のちの世のうきめをみんとするや。(一七九)
Z08_0217B10: よく思ひつ▲けて。(一八〇)心すみやかにおどろくべ
Z08_0217B11: し。(一八一)二には(一八二)苦を樂とおもふ。これ又き
Z08_0217B12: はめてつたなし。(一八三)三界無安。猶如火宅といへ
Z08_0217B13: ば。(一八四)いづこも(一八五)心とりの(舒)べて。(一八
Z08_0217B14: 六)ゆるらか(一八七)なるべき所にはあらねども。
Z08_0217B15: (一八八)ことに人間はめのまへならば。みるにおもひ
Z08_0217B16: のどめがたき事おほし。(一八九)その()()。(一一〇)枝
Z08_0217B17: 葉(一九一)しげかるべけれども。(一九二)た▲いひもて
Z08_0217B18: ゆけば。(一九三)身心を根元としておこれり。(一九四)
Z08_0217B19: 身に生老病死あり。(一九五)いづれかくるしみにあら
Z08_0217B20: ざる。(一九六)心に貪瞋癡慢あり。こと〱くわづら

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