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Z0380 西要鈔諺註 湛澄 画像

続浄の割書は、青字で小さく表示。

巻_頁段行 本文
Z08_0191A01: 事は。た▲釋尊ひとりの御ことばにあらず。十方恆沙
Z08_0191A02: の諸佛も。ことごとく證人にたちて。いま念佛すれば。
Z08_0191A03: 往生すといふことはまことなり。うたがふべからず
Z08_0191A04: と。同時にした(舌)をの(舒)べて。同音に證誠〓給ひ
Z08_0191A05: き。(四五)さしも。いつはりおほき人のことばだにも。
Z08_0191A06: あまたになれば。たのまる〻事にてこそあれ。(四六)
Z08_0191A07: まして佛語虛妄ならねば。たとひ。釋迦一佛の說なら
Z08_0191A08: んすら。(尙)かろしむべきにあらざるを。諸佛さへ(副)
Z08_0191A09: 又。一同にまことのことば(誠實言)をの(演)べ給ひけん。
Z08_0191A10: その會會座ナリの儀式み(見)る心ちして。身のけ(毛)も
Z08_0191A11: よだ(竪)ちたうとくこそおぼゆれ。(四七)これをき〻
Z08_0191A12: ながら。いか▲さは。いさ〻かの不審をものこし侍る
Z08_0191A13: べき。はやく。三千の長舌に。往生のうたがひをすて
Z08_0191A14: て。六字の口稱に。決定の信をおこし給へ。(四八)そ
Z08_0191A15: のうへ。かやうに諸佛こぞ(悉)萬葉ノ點りて。一大事と。し
Z08_0191A16: 給ふ稱名なれば。往生に他力をくはへらる〻事。又ひ
Z08_0191A17: とつにあらず。(四九)いはゆる。彌陀の本願のちから。
Z08_0191A18: かしこ(彼)よりよば(喚)ひてむか(迎)へ。釋迦の勸讚の
Z08_0191A19: ちから。こ〻(此)よりいだしたて〻つかは(發遣)し。諸
Z08_0191A20: 佛の證誠のちから。方々よりまほ(護)りてをく(送)る。
Z08_0191B01: この(ミツ)のちからをあはせて。念佛のひとつ異本ニ人トアルハ非
Z08_0191B02: をたすくるゆへに。極樂にうまる〻事。もともや
Z08_0191B03: す(最易)し。(五〇)されば孤山の釋に。如大海。旣得
Z08_0191B04: 。仍良導。加以便風。必能速到彼岸也といへり。
Z08_0191B05: (五一)たとへば。(五二)彌陀本願をたて〻。しづめ
Z08_0191B06: るをすくふは。苦界ニ沈メル衆生ラふねのごとし。(五一)釋迦
Z08_0191B07: 慈悲をも(以)て。まよ(迷)へるをみちびきやるは。わ
Z08_0191B08: たしもり(渡子)日本紀ノ點におなじ。(五四)諸佛護念して。淨
Z08_0191B09: 土へをくりとづくるは。風のたよりをえたるにに
Z08_0191B10: たり。(五五)いまは南無阿彌陀佛のこゑをほ(帆)にあ
Z08_0191B11: (擧)げて。生死のうみをわたらんこと。さらに逗留ある
Z08_0191B12: べからず。(五六)かくのごとく。諸佛。はからひあはせ
Z08_0191B13: て。よろづの事。そなはりたる緣にあひながら。なをあ
Z08_0191B14: やぶみて穢土にと▲まらんは。前ノ逗留ノ字ニカヽル首尾ナリげにた
Z08_0191B15: れがとがぞ。さらにうらみどころこそ侍るまじけれ。
Z08_0191B16: (五七)せめても。つみ(罪)のくる(狂)をしにぞ。しゐ
Z08_0191B17: (强)てもうたがはしかるらん。いとおし(最惜)くこそ
Z08_0191B18: と。かなし(悲)みくど(口說)き給ふ。(五八)
Z08_0191B19: 又おとこのこゑして問て云。疑心あるは邊地にうま
Z08_0191B20: るとかや。うけたまはる。〓いかなる事にて侍るぞや。

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