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Z0380 西要鈔諺註 湛澄 画像

続浄の割書は、青字で小さく表示。

巻_頁段行 本文
Z08_0188A01: より臨終まで。心ぐるしからぬみちづたひなり。(八)
Z08_0188A02: さればかまへて。つねに光明のなかにある心ちをし
Z08_0188A03: て。ま心に念佛し給ひあへ。(九)
Z08_0188A04: 又云。物はいか程も。こまやかにこそきくべかりけれ。
Z08_0188A05: さしもあやうげなりつる。二河のたとへのおもひや
Z08_0188A06: りも。この不捨の光のたのもしさには。いまひときは。
Z08_0188A07: 人にてをひかれたらんやうにて。みちのほそさも。い
Z08_0188A08: と▲心ぐるしからず思ひわたりぬ。(一〇)さればこ
Z08_0188A09: の光明の。かくまでたうとき事にて侍りけるよ。なを
Z08_0188A10: 又。いかなる利益かと。おくゆかしくおぼゆるは。三垢
Z08_0188A11: 消滅すとかや。いふなる事を。ちと。(少)み〻にふ(歷)れ
Z08_0188A12: てしやうにてといへば。(一一)
Z08_0188A13: 聖のいはく。さる事侍り。この攝取の光明にてらさる
Z08_0188A14: るものは。貪瞋癡の三垢。こと〲く消滅すと〻けり。
Z08_0188A15: (一二)そのいはれは。たとへば日のひかりは。火の玉
Z08_0188A16: よりいでたれば。物をかはかし。月のひかりは。水
Z08_0188A17: の玉よりいでたれば。物をうるほす用あるがごとく。
Z08_0188A18: (一三)いまこの光明は。佛の無貪。無瞋。無癡の三善
Z08_0188A19: 根よりいでたれば。衆生の貪欲。瞋恚。愚癡の三毒をけ
Z08_0188A20: す德あり。(一四)又いかにふる雪も。かたへ(傍)の空
Z08_0188B01: に日かげたえぬ程は。かつ。(且)カツ〱也うちきえて。つも
Z08_0188B02: りかねたるやうに。妄念しばしば(數)しげ〻れども。ひ
Z08_0188B03: かり不斷にてらせば。罪障かつ〲滅して。さらにし
Z08_0188B04: ばしもつもる事なし。(一五)おほよそ(大凡)これらの
Z08_0188B05: 利益は。みな阿彌陀佛。造惡の凡夫をあはれみて。そ
Z08_0188B06: のつみを滅してたまはんがために。願をたて。行をお
Z08_0188B07: こして。か〻る不思議の光をえ給へるゆへなり。(一六)
Z08_0188B08: しかるに。この光明は。た▲し念佛のものをのみ攝取
Z08_0188B09: すといへば。われら。すでに名をとなふ。ひかりさだ
Z08_0188B10: めて〻らすらん。(一七)名をとなへて。無上の功德を
Z08_0188B11: う(得)れば。淨土の業ふそく(不足)あるべからず。ひか
Z08_0188B12: りにふれて。無量の罪惡を滅すれば。往生のみち。な
Z08_0188B13: にのさはりかあらん。まことに光明名號のちからに
Z08_0188B14: あらずは。いかでか。滅罪生善のすみやかなる事をえ
Z08_0188B15: ん。(一八)これひとへに。大慈慇懃の方便。他力本願
Z08_0188B16: の御恩なり。しづかにおもへば。よろこびにた(堪)へ
Z08_0188B17: たり。などか身をくだきても。むく(酬)ひん心なきや。
Z08_0188B18: (一九)
Z08_0188B19: 又おとこのこゑにて云。すべて人の臨終ほどに。物の
Z08_0188B20: 大事なるこそ侍らね。あるひは正念もなくなりて。一

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