浄土宗全書を検索する
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| 巻＿頁段行 | 本文 |
|---|---|
| Z08_0172A01: | 悲心ヲ一乎。已上●（七）をよそ衆生のたましゐ。業にひか |
| Z08_0172A02: | れて六道に流轉し。かたみに。おやとなり子となり。 |
| Z08_0172A03: | 六親となり。九族となり。無始より生々の間。たがひ |
| Z08_0172A04: | に恩をうけずといふことなし。されば今。地獄餓鬼の |
| Z08_0172A05: | 形と成てくるしみをうくるともがら。目の前の鳥け |
| Z08_0172A06: | だものも。みな過去のわれらが父母なるべし。むか |
| Z08_0172A07: | し面々に子を愛せしまよひより。おほくのつみをつ |
| Z08_0172A08: | くりて。三途にしづめるなり。かの法藏の母は。地獄 |
| Z08_0172A09: | の釜中にして。兒孩を生育せる癡愛の故とこたへ。讚 |
| Z08_0172A10: | 岐房の母は。餓鬼となりて。あれやしなふとて。おほ |
| Z08_0172A11: | くのつみをつくりて。此むくひをうけたりといへり。 |
| Z08_0172A12: | いはゆる子をおもふ道にまどふおやの心は。此世の |
| Z08_0172A13: | みならず。後生のやみにまよふなり。あはれなるか |
| Z08_0172A14: | な。かなしきかな。心地觀經ノ偈ニ云ク。世人爲ニレ子ノ造リ二 |
| Z08_0172A15: | 諸罪ヲ一。墮二-在Ｍ（シテ）三途ニ一長ニ受レ苦ヲ。男女非レハレ聖ニ無二神通一。 |
| Z08_0172A16: | 不レハレ見二輪廻ヲ一難シレ可キヿレ報ス。有情輪廻Ｍ（シテ）生二六道ニ一。猶ヲ |
| Z08_0172A17: | 如Ｍ（シテ）二車輪ノ一無二始終一。或ハ爲二父母ト一爲二男女ト一。世々生々 |
| Z08_0172A18: | 互ニ有レ恩。已上梵網經ニ云ク。一切ノ男子ハ是我カ父。一切ノ |
| Z08_0172A19: | 女人ハ是レ我カ母。我レ生々無レ不下從テレ之ニ受上レ生ヲ。故六道ノ |
| Z08_0172A20: | 衆生ハ。皆ナ是レ我カ父母ナリ。已上惠心ノ云ク。業果推シ遷テ。生 |
| Z08_0172B01: | 處相ヒ隔。六趣四生。不レ知二何ノ處ヲ一。野獸山禽モ。誰カ辨セン二 |
| Z08_0172B02: | 舊親ヲ一。已上玉葉集行基。山鳥のほろ〱となくこゑき |
| Z08_0172B03: | けば。ち〻かとぞおもふは〻かとぞおもふ。○後撰雜一大和物語 |
| Z08_0172B04: | 人のおやのこ〻ろはやみにあらねども。子をおもふ |
| Z08_0172B05: | みちにまどひぬるかな。●（八）いと▲は。いよ〱な |
| Z08_0172B06: | り。○いかでとは。いか▲してといふ心なり。○男女 |
| Z08_0172B07: | より下の十四字は。心地觀經の偈の二句なり。全文は |
| Z08_0172B08: | 前の註に引がごとし。○男女とは。男の子。女の子の |
| Z08_0172B09: | 事なり。その子みな凡夫にして。天眼通を得ざれば。お |
| Z08_0172B10: | やのまよへるゆくゑをもしらず。身に通力なければ。 |
| Z08_0172B11: | 冥途にもいたりがたし。せんかたなくあぢきなき事 |
| Z08_0172B12: | なり。○かの目連尊者は。六通を得て。はじめて母の |
| Z08_0172B13: | 餓鬼道におちぬる事をしり。わが朝の祈親法師は。長 |
| Z08_0172B14: | 谷寺にいのりて。わづかにおやの生處をしれり。● |
| Z08_0172B15: | （九）なのめならずとは。よのつねならぬ心なり匠材。そ |
| Z08_0172B16: | れ果號の三字は。因位願行の薰習する所にして。果海 |
| Z08_0172B17: | 萬德の圓融せる大善なれば。自然に此勝能あり。たか |
| Z08_0172B18: | く六字の妙音をあぐれば。三途黑闇の耳根にふれて。 |
| Z08_0172B19: | 滅罪生善し。拔苦與樂す。これ佛力の不可思議なるゆ |
| Z08_0172B20: | へなり。さればこそ地獄の中にして。一たび佛號をと |