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Z0380 西要鈔諺註 湛澄 画像

続浄の割書は、青字で小さく表示。

巻_頁段行 本文
Z08_0169A01: たじけなく。罪惡の衆生にかはりて。身命をおしま
Z08_0169A02: ず。難行苦行し。萬善まどかにつとめもて。つゐに佛
Z08_0169A03: になり給ひにしのち。あらゆる因行果德を。こと〲
Z08_0169A04: く名號の中におさめて。のこりなく衆生にゆづり給
Z08_0169A05: ひぬ。(三四)これによりて。その名號をとなふれば。お
Z08_0169A06: さまるところの功德。みな衆生のくちのうちになが
Z08_0169A07: れいりて。さながらお(を)のが物となるゆへに。念
Z08_0169A08: 佛の行者の功德は。またく彌陀とひとしくして。こと
Z08_0169A09: なることなし。まことに佛。か〻るはかりごとをめぐ
Z08_0169A10: らし給はずば。いかでかをろかなるわれら。たやすく
Z08_0169A11: 大善をえんや。(三五)抑佛果圓滿の御身には。萬德ひ
Z08_0169A12: とつもかけず。(不闕)これを。つかね(束)たる名號な
Z08_0169A13: れば。又いづれの善根かおさまらざらむ。一々の諸善
Z08_0169A14: は。た▲わづかに。その中の小分にこそあたりたれ。
Z08_0169A15: 念佛にをよばん事。さらにはし(階)たて〻も。かな
Z08_0169A16: ひがたし。(三六)しかれば名號は一念なれども。滅罪
Z08_0169A17: 生善の功おほきに。諸行は。ちからをつくせども。除
Z08_0169A18: 障獲益此四字出安樂集上の用すくなし。かるがゆへに阿彌陀
Z08_0169A19: 經には。餘行をば少善根とおとし(貶)めて。かの國に
Z08_0169A20: うまれがたしと〻き。名號をば大善根とほめて。往生
Z08_0169B01: する事やすしといへり。(三七)さるを人ごとに。無
Z08_0169B02: 上の名號をばみだりにかろしめ。無下の諸善をばか
Z08_0169B03: へりてをもくする。これ返す〱(ヘキ)(〓ン)なり。(三八)す
Z08_0169B04: でに。土ツチクレをつみて泰山のたかき事をなせり。はやく
Z08_0169B05: (セキ)(レキ)をすて〻玉淵のふかきをうか▲へと思ふ。(三九)
Z08_0169B06: さても無始よりこのかた。六賊のためにかすめられ
Z08_0169B07: て。一善をだにもたくはへざりつる身の。いかで。か
Z08_0169B08: かる超世の本願にあひて。大善の名號をき〻えつら
Z08_0169B09: ん。これしかしながら。大慈大悲の善巧。難酬難謝の
Z08_0169B10: 佛恩なり。たとひほねをくだきても。たやすく報じつ
Z08_0169B11: くさんや。すべからく身のたへん程となへて。むくひ
Z08_0169B12: たてまつるべし。(四〇)それ又。いかにいみじくとも。
Z08_0169B13: たもちがたくば。いか▲せましに。萬善をつかねて。
Z08_0169B14: 六字につ▲(縮)めたれば。名號は稱しやすくして。功
Z08_0169B15: 德ははかりがたし。されば無上の(ホウ)(ジユ)。もとめざるに
Z08_0169B16: お(を)のづからえたり。往生の業因。たやすくして
Z08_0169B17: 又たりぬ。あはれ。雜善の功すくなくして。行じがた
Z08_0169B18: きにはにぬ物かな。(四一)をろかなるわれらがため
Z08_0169B19: には。げにかくこそ。たくみ給ふべけれ。これまでも。
Z08_0169B20: 佛の御心ざしのせめてなれば。おぼしのこす事もな

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