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Z0380 西要鈔諺註 湛澄 画像

続浄の割書は、青字で小さく表示。

巻_頁段行 本文
Z08_0163A01: たのむ念佛なれば。わがかたにめでたき事のあるに
Z08_0163A02: はあらず。みどり子のなきたらんによりて。なにほど
Z08_0163A03: のことかあらん。母の慈悲ふかきゆへに。なくこゑを
Z08_0163A04: き〻ていだき。乳をふくましむるに似たり。日夜十二
Z08_0163A05: 時にをこたらずとなふとも。われからなる心なくし
Z08_0163A06: て。となふるたびごとに。佛の御ちかひをのみ。たのむ
Z08_0163A07: べきなり。已上●(四九)これ信心の間斷するをなげき
Z08_0163A08: て。信心をす〻むる方便をとふなり。さすがとは。一か
Z08_0163A09: たによりはてぬ詞なり。ひたすらとは。ひとへなり。●
Z08_0163A10: (五〇)煩惱は。無始よりのならひにて。家になれたる
Z08_0163A11: 犬の。逐どもまたかへるごとし。善心は。今生にはじ
Z08_0163A12: めてのまなびなれば。山にすむ鹿の。まねけどもちか
Z08_0163A13: づかざるがごとし。これをそのま〻うちすて〻をか
Z08_0163A14: ば。惡念はいよ〱長じ。信心はます〱しりぞくべ
Z08_0163A15: し。みづからす〻めずばあるべからず。○すべてとは。
Z08_0163A16: 總じて人の心をいふ。○そともとは。八雲御抄に。家
Z08_0163A17: の外なりとあり。○かせぎとは。鹿の事なり。角の體
Z08_0163A18: かせ木に似たればいふなり。このたとへは。𣵀槃經に
Z08_0163A19: ある事なり。聖行品。又如家犬於人。山
Z08_0163A20: 林野鹿。瞋恚キヿハ。如
Z08_0163B01: 。慈心キヿ。如鹿已上徃生要集
Z08_0163B02: 盡日念佛スルニ。閑ルノ其實淨心。是一兩ニM(シテ)。其
Z08_0163B03: 皆濁亂ナリ。野鹿難。家狗常〓リ已上又云。善業
Z08_0163B04: 今世學。雖〓レハ退妄。心永劫
Z08_0163B05: 厭猶已上●(五一)はしとは端の字にて。はじめて
Z08_0163B06: といふがごとし。この五緣の中に。はじめの三は。往生
Z08_0163B07: 要集。助道人法の章に見えたり。第四は相傳の義に
Z08_0163B08: して。傳通記等にあり。第五は信機略釋の心なり。●
Z08_0163B09: (五二)人木石にあらず。信心は緣よりおこる。いくた
Z08_0163B10: びも淨土の法を聽聞すべし。かのつかれたりしつは
Z08_0163B11: もの〻。梅のすきことをき〻て。喉のうるほひしがご
Z08_0163B12: とく。佛力のいみじきことをきくより。いつとなく信
Z08_0163B13: 心もす〻むものなり。たとひわがよくしれる事をも。
Z08_0163B14: 說法とてきく時は。さらに殊勝にて。涙のおつる事も
Z08_0163B15: 侍るなり。總じて老少によらず。正見の人を師とし。別
Z08_0163B16: しては法然上人の。正流をつたはれる人を師とすべ
Z08_0163B17: し。をよそ世間にさま〲の邪師あり。智辯世にきこ
Z08_0163B18: えて。道心なき人。心に慈悲なくして。財色をむさぼる
Z08_0163B19: 人。玄理〓狂解して。因果をかろしむる人。小智にほ
Z08_0163B20: こりて。頓悟を談ずる人。戒律の持犯にと▲こほりて。

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