浄土宗全書を検索する
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巻_頁段行 | 本文 |
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Z08_0163A01: | たのむ念佛なれば。わがかたにめでたき事のあるに |
Z08_0163A02: | はあらず。みどり子のなきたらんによりて。なにほど |
Z08_0163A03: | のことかあらん。母の慈悲ふかきゆへに。なくこゑを |
Z08_0163A04: | き〻ていだき。乳をふくましむるに似たり。日夜十二 |
Z08_0163A05: | 時にをこたらずとなふとも。われからなる心なくし |
Z08_0163A06: | て。となふるたびごとに。佛の御ちかひをのみ。たのむ |
Z08_0163A07: | べきなり。已上●(四九)これ信心の間斷するをなげき |
Z08_0163A08: | て。信心をす〻むる方便をとふなり。さすがとは。一か |
Z08_0163A09: | たによりはてぬ詞なり。ひたすらとは。ひとへなり。● |
Z08_0163A10: | (五〇)煩惱は。無始よりのならひにて。家になれたる |
Z08_0163A11: | 犬の。逐どもまたかへるごとし。善心は。今生にはじ |
Z08_0163A12: | めてのまなびなれば。山にすむ鹿の。まねけどもちか |
Z08_0163A13: | づかざるがごとし。これをそのま〻うちすて〻をか |
Z08_0163A14: | ば。惡念はいよ〱長じ。信心はます〱しりぞくべ |
Z08_0163A15: | し。みづからす〻めずばあるべからず。○すべてとは。 |
Z08_0163A16: | 總じて人の心をいふ。○そともとは。八雲御抄に。家 |
Z08_0163A17: | の外なりとあり。○かせぎとは。鹿の事なり。角の體 |
Z08_0163A18: | かせ木に似たればいふなり。このたとへは。𣵀槃經に |
Z08_0163A19: | ある事なり。聖行品ニ云ク。又如下家犬ハ不レ畏二於人ヲ一。山 |
Z08_0163A20: | 林野鹿ハ見テレ人ヲ怖レ走ル上。瞋恚ノ難キヿハレ去リ。如二守ルレ家ヲ |
Z08_0163B01: | 狗ノ一。慈心ハ易キヿレ失ヒ。如シ二彼ノ野ノ鹿ノ一。已上徃生要集ニ曰ク。 |
Z08_0163B02: | 盡日念佛スルニ。閑ニ檢ルノ二其實ヲ一淨心ハ。是レ一兩ニM(シテ)。其ノ餘ハ |
Z08_0163B03: | 皆濁亂ナリ。野ノ鹿難クレ繫キ。家ノ狗常ニ馴〓リ。已上又云ク。善業ハ |
Z08_0163B04: | 是レ今世ニ所レ學。雖レ欣ト動〓レハ退妄。心ハ是レ永劫ニ所レ習フ。 |
Z08_0163B05: | 雖レ厭猶ヲ起ル。已上●(五一)はしとは端の字にて。はじめて |
Z08_0163B06: | といふがごとし。この五緣の中に。はじめの三は。往生 |
Z08_0163B07: | 要集。助道人法の章に見えたり。第四は相傳の義に |
Z08_0163B08: | して。傳通記等にあり。第五は信機略釋の心なり。● |
Z08_0163B09: | (五二)人木石にあらず。信心は緣よりおこる。いくた |
Z08_0163B10: | びも淨土の法を聽聞すべし。かのつかれたりしつは |
Z08_0163B11: | もの〻。梅のすきことをき〻て。喉のうるほひしがご |
Z08_0163B12: | とく。佛力のいみじきことをきくより。いつとなく信 |
Z08_0163B13: | 心もす〻むものなり。たとひわがよくしれる事をも。 |
Z08_0163B14: | 說法とてきく時は。さらに殊勝にて。涙のおつる事も |
Z08_0163B15: | 侍るなり。總じて老少によらず。正見の人を師とし。別 |
Z08_0163B16: | しては法然上人の。正流をつたはれる人を師とすべ |
Z08_0163B17: | し。をよそ世間にさま〲の邪師あり。智辯世にきこ |
Z08_0163B18: | えて。道心なき人。心に慈悲なくして。財色をむさぼる |
Z08_0163B19: | 人。玄理〓狂解して。因果をかろしむる人。小智にほ |
Z08_0163B20: | こりて。頓悟を談ずる人。戒律の持犯にと▲こほりて。 |