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Z0380 西要鈔諺註 湛澄 画像

続浄の割書は、青字で小さく表示。

巻_頁段行 本文
Z08_0149A01: りて一念は。いはればかりか。多念や。まことならむと
Z08_0149A02: の給ひつる。(カヘス)()さかさまなるうたがひなり。(三三)
Z08_0149A03: た▲し。たとひはげみえずとも。かまへてとは。なを
Z08_0149A04: 存ずべきなり。かくて機の多念にと思ふ心ざし。佛の
Z08_0149A05: 一念をもと。おぼしめす御心ざしに相應しなば。感應
Z08_0149A06: 水月にひとしく。往生のみち。そら(暗)に通じ侍りな
Z08_0149A07: ん。(三四)すでに心ざしかなふ時は。胡越も昆弟たり
Z08_0149A08: といへば。などか又。心ざしかなはんとき。淨穢も親眤
Z08_0149A09: たらざらん。(三五)いはんや。つねにとなへんにいた
Z08_0149A10: りては。いよ〱むつびふか〻るべし。これによりて。
Z08_0149A11: 善導大師は。衆生ほとけを念ずれば。佛も衆生を念じ
Z08_0149A12: 給ふゆへに。佛と衆生と。したしき緣ありと釋し給へ
Z08_0149A13: り。(三六)いはゆる佛の衆生を念じ給ふとは。このと
Z08_0149A14: なふるこゑをきこしめすごとに。かならずわが國に
Z08_0149A15: うまれよと。(ゲン)(ネン)し給ふなるべし。(三七)さしもをろ
Z08_0149A16: かなる凡夫の思ひだにも。念力は。はしたなき(强)物に
Z08_0149A17: てこそあなるに。まいて佛の御心ざし。せちにかまへ
Z08_0149A18: てと念じ給はむ。いかでか。むなしく侍るべき。(三八)
Z08_0149A19: これをおもふに。いと▲往生はさうゐ(い)あらじと。
Z08_0149A20: たのもしくこそおぼゆれ。か〻るにつけても。ます
Z08_0149B01: ます佛をとなへて。佛にもつねに念ぜられたてまつ
Z08_0149B02: るべし。(三九)そのうへ多念をはげむおりこそ。お(
Z08_0149B03: を)のづから。一念もむなしからずと思ふ信心もおこ
Z08_0149B04: れり。十聲一聲もといふに。うちゆる(緩)びて。あまり
Z08_0149B05: 懈怠になりぬれば。はて(盡)は。さりとものたのみも。
Z08_0149B06: なくなる事にて侍り。(四〇)
Z08_0149B07: 又問ていはく。一念といひ。多念とす〻むるいはれ。あ
Z08_0149B08: きらかにうけ給はりひらきぬ。た▲し。かく多念には
Z08_0149B09: げまんと思はんは。さて自力の心とはなり侍るまじ
Z08_0149B10: きにや。(四一)
Z08_0149B11: 答云。自力他力の法門は。こ〻ろ。龍樹の論判よりいで
Z08_0149B12: て。ことば。鸞師の釋義にあり。そのお(を)もむきを
Z08_0149B13: みるに。穢土にありながら。不退にいたるみちを自力
Z08_0149B14: といひ。淨土にゆきて。無生にかなふ門を他力となづ
Z08_0149B15: けたり。(四二)そのほかに。また(全)く聖敎に念佛お
Z08_0149B16: ほく申すを。自力ときらひたる文なし。しかるを。をろ
Z08_0149B17: かなる學者。經釋にもなき事を。つくりいで〻。みだ
Z08_0149B18: りにをのが心を。ほしきま〻にする。これさたのほか。
Z08_0149B19: さらにもちゐるにたらず。(四三)詮ずるところ。南無
Z08_0149B20: 阿彌陀佛と〻なふるは。たすけ給へ。阿彌陀ほとけと

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