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Z0380 西要鈔諺註 湛澄 画像

続浄の割書は、青字で小さく表示。

巻_頁段行 本文
Z08_0148A01: は。かなしけれども。(二一)又往生のやすき事は。本願
Z08_0148A02: に乘ずるゆへなれば。いくたびもちかはれたらむこ
Z08_0148A03: そ。よろこびにてはあるべけれ。(二二)すでに男子は。
Z08_0148A04: (ヒトツ)の願に乘ずるを。女人はかさねて(フタツ)の願に乘じぬ
Z08_0148A05: れば。他力いよ〱つよくなりぬ。往生なにのあやぶ
Z08_0148A06: みかあらん。中々女の身こそ。そねましきまでうら
Z08_0148A07: やましけれ。(二三)さるを女人なればと。ひげ(卑下)せ
Z08_0148A08: んやは。むげにさまあしきうたがひなるべし。(二四)
Z08_0148A09: たとひ又。お(を)のづから信をとりたるよしなるも。
Z08_0148A10: からくして。男子のつら(列)にたのみをかけて。さし
Z08_0148A11: も。とりわき。いまひときは(今一限)と。たて給へるちか
Z08_0148A12: ひまでをば。つや〱さらに思ひもしらず。これうた
Z08_0148A13: て。ほいなき事になん侍り。(二五)かまへてをんな心
Z08_0148A14: は。かたくなに。わが身ひとつの本願ぞかしと思ひい
Z08_0148A15: れて。そばめも見ず。ふか〲とたのみたてまつるべ
Z08_0148A16: きなり(二六)さても。千劫萬劫をふ(經)とも。あらた
Z08_0148A17: めがたき女の身の。わづかなる一念十念によりて。た
Z08_0148A18: やすく往生をとげんきざみ。すみやかに男子となら
Z08_0148A19: ん事。それいくばくのよろこびぞや。まめやかに。本願
Z08_0148A20: の世にこえたる程は。これにてことにあらはれたり。
Z08_0148B01: (二七)さる御慈悲は又。なに〻むけてもと。いと▲
Z08_0148B02: 男子の往生さへ。心やすくなぞら(准)へしられぬ。
Z08_0148B03: (二八)
Z08_0148B04: 又男のこゑにて問て云。一念もまめやかに不足なき
Z08_0148B05: 事ならば。なじかはさのみ。多念にとなへよとはいは
Z08_0148B06: む。これをおもふに。いかにも一念もといふは。た▲
Z08_0148B07: ことはりばかりにて。げには多念にはげみてすべき
Z08_0148B08: 往生なるにや。(二九)
Z08_0148B09: 答ていはく。かやうにゆる〱お(を)しへ。急にす〻
Z08_0148B10: むる。みなそのいはれ侍り。(三〇)たとへば。きみ臣を
Z08_0148B11: 愛するに。仁をもて(以)し。臣きみにつかふるには。忠
Z08_0148B12: をもてするがごとく。佛はいつくし(仁寵)み。ふかくま
Z08_0148B13: せ(在)ば。一念をもすてじとちかはれたり。機は忠ある
Z08_0148B14: べければ。多念にはげめとす〻むるぞかし。(三一)し
Z08_0148B15: かれども。つみふかき身のならひは。物うく(惰)て。を
Z08_0148B16: こたるおりあり。まぎれてわす〻る時あり。わづかに
Z08_0148B17: 心にははげまばやと。おもむけたれども。うるはしく
Z08_0148B18: (眞)身につとめうる事はかたし。(三二)されば。おち
Z08_0148B19: たちおりたち)ては。た▲乃至十念の本願が。たのむとこ
Z08_0148B20: ろの詮句となりて。往生の(ジユ)(ガン)をばする物を。あやま

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