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Z0380 西要鈔諺註 湛澄 画像

続浄の割書は、青字で小さく表示。

巻_頁段行 本文
Z08_0140A01: なはち信心のあるしるしなり。信心のなきほどのも
Z08_0140A02: のは。なげく心ざしもなし。たとへば。いそぐ道には足
Z08_0140A03: のをそきをなげく。いそがざる道には。これをなげか
Z08_0140A04: ざるがごとし。蓮胤の發心集に云。元興寺に伊賀の
Z08_0140A05: 聖。道寂といふ人ありけり。因果の道理にくらからざ
Z08_0140A06: りければ。ふかく佛道をおもへり。年わかくして長谷
Z08_0140A07: に參て。道心を祈奉りけり。夢中に僧ありて示ていは
Z08_0140A08: く。道心は體なし。た▲かくのごとくの心を。道心とい
Z08_0140A09: ふと。のたまふとぞ見たりける。釋書十四●(三〇)これ領
Z08_0140A10: 納したる詞なり。○信心のおこりやすき事をしれば。
Z08_0140A11: 往生もたやすくおもはる〻ものなり。しかるに未練
Z08_0140A12: の學者は。この信心をこと〱しくいひなすほどに。
Z08_0140A13: 人の心をさまたげて。往生のさはりとなる。大切の事
Z08_0140A14: なり。よく〱吟味すべし。●(三一)これは座中の人
Z08_0140A15: を。す〻めもよほすなかだちの詞なり。○なを信心の
Z08_0140A16: 事講談を聞べし云云。●(三二)此男は。もとよりなま
Z08_0140A17: ざかしくして。經釋などをも。よめる人と見ゆ。○こ
Z08_0140A18: れ三心の得がたき事をなげきて。そのおこしやうを
Z08_0140A19: 問ふなり。●(三三)本願の事。三心のありさまなどは。
Z08_0140A20: 經釋をまなびて。おほかたに心得たれば。別して何の
Z08_0140B01: うたがひもなき身ながら。又しみ〲と。本願がたう
Z08_0140B02: とくも覺へず。往生も決定とおもはれぬは。われなが
Z08_0140B03: ら不審なる事なり。○いたくは。甚の字にて。つよき心
Z08_0140B04: なり。●(三四)右の事を。よく〱思案して見たれば。
Z08_0140B05: 不審がはれたり。所詮三心のなまをこりなるゆへに。
Z08_0140B06: 往生も決定とおもはれぬぞと。わが心にて合點した
Z08_0140B07: るなり。●(三五)もてさばくるとは。もてあつかふ義
Z08_0140B08: なり。(萬水一露に見ゆ)。蘭の卷にも。人にもてさは
Z08_0140B09: がるべき身なめりとあり。●(三六)これはまづ非を
Z08_0140B10: えらぶなり。○久修の人は。心に目をかけずして。直
Z08_0140B11: に念佛するゆゑ。自然に三心も。そなはりやすきな
Z08_0140B12: り。初心のものは。まづ信心をこしらへすまして後
Z08_0140B13: に。念佛せんとおもふゆへに。一期は。程なくはせすぐ
Z08_0140B14: れども。三心のおこることはかたし。又この次の法譬
Z08_0140B15: のごとくすべし。●(三七)たれとても。本願のたうと
Z08_0140B16: き子細を聞きわくる迄は。やすきものなり。その上に。
Z08_0140B17: 心にひしとおもひつく事がなりがたきなり。それを
Z08_0140B18: あしく心得て。われ。いまだ三心をくはしくしらぬゆ
Z08_0140B19: へに。まことしき心がおこらぬなるべしとて。本願の
Z08_0140B20: 事をばさしをきて。一向に三心沙汰にうちか〻るな

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