浄土宗全書を検索する
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巻_頁段行 | 本文 |
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Z08_0138A01: | る〻とは。あやうく心もとなき義なり。○一定とは。か |
Z08_0138A02: | ならずの義なり。○いまひときはとは。もとより往生 |
Z08_0138A03: | の心もなき上に。此詞を聞て。又一しほ氣遣のおこる |
Z08_0138A04: | をいふ。○うきたつとは。落つかぬ事なり。●(二〇)こ |
Z08_0138A05: | れは。われとうたがひをはらしてみるなり。すでに本 |
Z08_0138A06: | 願にあやまりなきものを。などか往生せざらんと。を |
Z08_0138A07: | し信ずる義なり。●(二一)右のごとくおもひかへし |
Z08_0138A08: | て信ずる上に。まだ此うたがひがのこるなり。信心あ |
Z08_0138A09: | る上にこそ。本願のちからも。くわへたまふべけれと。 |
Z08_0138A10: | おもはる〻なり。○これなれば。心がうきて。いまださ |
Z08_0138A11: | だまらぬなり。●(二二)た▲本願をたのみて念佛す |
Z08_0138A12: | れば。往生するなり。又その信心といふものを。そなは |
Z08_0138A13: | らねば往生せぬや。此兩樣の內。いづかたにか。心をさ |
Z08_0138A14: | だめ侍らんとの問なり。●(二三)右の語を聞くに。なる |
Z08_0138A15: | ほど信心のおこりたる人なり。それをこそよろこぶ |
Z08_0138A16: | べき事なるに。我に信心なしとなげくは。心からおも |
Z08_0138A17: | ひさますなり。信心といふ言におどろきて。各別にむ |
Z08_0138A18: | つかしき事とはおもふべからず。いと得やすき心も |
Z08_0138A19: | ちなり。經釋をうか▲はぬゆへに。信心を得がたきも |
Z08_0138A20: | のとおもふなり。上人ノ云ク。おほかたこの信心の樣を。 |
Z08_0138B01: | 人の心えわかぬとおぼゆるなり。心のしみ〲と身 |
Z08_0138B02: | の毛もいよだち。涙もおつるをのみ。信のおこると申 |
Z08_0138B03: | すは。ひが事にてあるなり。それは歡喜。隨喜。悲喜とぞ |
Z08_0138B04: | 申べき。信といふは。うたがひに對する心にて。うたが |
Z08_0138B05: | ひをのぞくを。信とは申べきなり。見る事につけても。 |
Z08_0138B06: | きく事につけても。その事。一定。さぞとおもひとりつ |
Z08_0138B07: | る事は。人いかに申せども。不定におもひなることは |
Z08_0138B08: | なきぞかし。これをこそ。物を信ずるとは申せ。その |
Z08_0138B09: | 信の上に。歡喜。隨喜なんどもおこらんは。すぐれたる |
Z08_0138B10: | にてこそあるべけれ。往生大要抄●(二四)先これ信心とう |
Z08_0138B11: | たがひとを。ならべてをしゆるなり。是は信心の樣を |
Z08_0138B12: | いふなり。○機のわろきとは。前に五逆の惡人も。えら |
Z08_0138B13: | ばれずとあるなり。○行のすくなきとは。前に一念の |
Z08_0138B14: | 稱名も。すてられずとあるなり。○うたがはしからぬ |
Z08_0138B15: | は。澄淨の義なり。○たのもしきは。忍許の義なり。○ |
Z08_0138B16: | 所詮本願のたのもしき心が。すなはち信心なり。され |
Z08_0138B17: | ばたれ〱の胸にも。信心はおこりてあるを覺ずし |
Z08_0138B18: | らずして。なほその上に。しみ〲と。涙のおつるや |
Z08_0138B19: | うになければ。我には信心がなきとて。是をなげきか |
Z08_0138B20: | なしむ。實にこれ。衣の裏にかけたる。寶の珠をしら |