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Z0380 西要鈔諺註 湛澄 画像

続浄の割書は、青字で小さく表示。

巻_頁段行 本文
Z08_0129A01: (時)なをはれ〲(晴々)ともおぼえぬは。うたがひとま
Z08_0129A02: で。いはるべき事にあらず。(五四)さしも。かしこ(賢)
Z08_0129A03: かりし智者だにも。いは(岩)にも松はとき〻て。おぼ
Z08_0129A04: つかなさをはる(霽)け。(五五)むか(迎)へのはちす(蓮)
Z08_0129A05: を見てこそと。いぶかし(鬱悒)さを。のこされければ。
Z08_0129A06: (五六)まして。そのほかの人は。佛のつげ(吿)をもえ
Z08_0129A07: ず。(不得)(五七)來迎のけしきをも。見ざらんほどは。(五八)
Z08_0129A08: さらにいふにもたらず。わづかにき〻て。さてはとお
Z08_0129A09: もふ事を見て。(五九)げにもといはむやうには。いか
Z08_0129A10: がなぞら(准)へ侍るべき。(六〇)
Z08_0129A11: 是ハ願心ノヨハク。妄念ノオホキヲナゲキテトフナリおいらかなる女のこゑに
Z08_0129A12: て。としのつもるにしたがひては。さすが世のことは
Z08_0129A13: りも。しりはてらる〻け(氣)して。(六一)あだにはか
Z08_0129A14: なきならひ。おほくき〻かさぬるかずには。たれとて
Z08_0129A15: も。もるまじき身ぞかしと。おもふあぢきなさ(無爲)
Z08_0129A16: に。(六二)なにとなく念佛は申よしなれども。つやつ
Z08_0129A17: や往生の心ざしは。げに〱しくも侍らず。(六三)た
Z08_0129A18: ▲そこはかとなき事のみ。心のうちにはひきは(引延)
Z08_0129A19: へて。極樂を思ふ事はたまさかなり。(六四)さればと
Z08_0129A20: て。人まねなどはおぼえねど。(六五)か〻るは。いか
Z08_0129B01: にもねがふ心のうすければこそと。あさましくて。
Z08_0129B02: (六六)さりともとおもふも。おほけなき(無應氣)たの
Z08_0129B03: みにやと。つねはひげ(卑下)せられ侍るといへば。(六七)
Z08_0129B04: 答云。往生のみちは。ひげするこそさはりなれ。(六八)
Z08_0129B05: いさ〻かも心ざしのうすきに。と▲こほる事はある
Z08_0129B06: べくもなし。そこはかとなき心とは。貪瞋などの妄
Z08_0129B07: 念にや。これ又凡夫のくせにて。さらに思ひたゆむ
Z08_0129B08: (緩怠)まじくなん侍り。(六九)すべてなにかも。さもあ
Z08_0129B09: らばあれ。ゆめ〱めにかくまじき事なり。(七〇)も
Z08_0129B10: とより願心の淺深。妄念の多少によりて。す〻みしり
Z08_0129B11: ぞくみちならばこそ。た▲本願のちからにてする往
Z08_0129B12: 生なれば。なじか機分にわづらひ給はん。(七一)これ
Z08_0129B13: がために善導大師。ひとつのたとへをも(以)てくはし
Z08_0129B14: く安心のぶんざい(分齊)を釋せられたり。それをだに
Z08_0129B15: も。こまかにきこえなば。いぶかしさは。なごりなくは
Z08_0129B16: る(霽)け給ひなん。そのおもむきは。(七二)
Z08_0129B17: たとへば人ありて。にしにむかひてゆくさきを見れ
Z08_0129B18: ば。(七三)
Z08_0129B19: これは。われらが極樂をねがふにたとふ。
Z08_0129B20: みなみに。ひの河もえ。(七四)

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